ウイスキー用語集―AからZまで【E・F】

February 20, 2014

ウイスキー用語を学ぶシリーズ最新版では、EとFから始まる用語を解説する

ウイスキー用語集―AからZまで【D】

ウイスキーづくりでは、Fで始まる用語が数多く使われる。主な蒸溜工程には、Fで始まる用語がいくつもある。

まずFermentation(発酵)。これは「マッシュ」―大麦麦芽を粉砕したものと水を混ぜ合わせた液体―が、「ウォッシュ」―ビールに似たアルコール―に変わる工程だ。

モルトウイスキーをつくるには、まず原料の大麦を発芽させたるところから始まる。芽が出たところで乾燥させて成長を止める。この工程は、大麦を麦芽(モルト)にするため「モルティング」と呼ばれる。

次に、麦芽を粉末状に挽き、マッシュタンに入れ、熱湯を注ぐ。ちょうど、巨大なカップでお茶を入れているような感覚だ。麦の栄養素は湯に溶け込み、麦のスープのような状態になる。この工程を終え、マッシュタンの下のラインから液体が組みだされる。その際に殻が取り除かれ、必要となる麦汁のみが発酵槽に送られる。

発酵槽にて麦汁に酵母を加えると、糖分と結びつき、酵素の働きによってアルコールと二酸化炭素に変化する。これが発酵作用であり、アルコール度7%から9%の「ディスティラーズ・ビール」Bの項参照)ができる。
この発酵には数日かかる。発酵の温度や時間は蒸溜所により異なる…

その他に重要なFの用語には、Feints(フェインツ)とForeshot(フォアショット)があり、このふたつは蒸溜工程の中で登場する。Dの項をご参照いただきたい。

用語集―【E】

酵素(Enzymes)
酵素は、発酵工程の中で酵母が糖分をアルコールに変える媒介の役割を果たす。麦には含まれないが、発芽させることで酵素が生成されるため、モルティングの工程が必要となる。

用語集―【F】

発酵槽(Fermenter / Washbachとも)
発酵を行う金属製のタンク、または木製の桶。どちらも一長一短があり、蒸溜所の判断に依る。ステンレスは衛生面に優れ、木製のものは乳酸菌の増殖に適した環境となる。

フィリング(Fillings)
樽に新たに詰められた出来たてのスピリッツのこと。一定の期間熟成した後にはじめて、ウイスキーと呼ばれる。

フロアモルティング(Floor Malting
従来、大麦は広い床の上に広げ、手作業でひっくり返しながら麦を育てる方法を取っていた。効率が悪いため、今ではほとんどがドラムで回転させる方法で麦芽が製造されている。しかしこの伝統的なスタイルを頑なに守る蒸溜所や、再び取り入れる蒸溜所も多い。

フルフラール(Furfurol)
ウイスキーづくりの中で作り出される風味のひとつ。ウイスキーにトースト香、焦げた香味を与えるが、強すぎるのは望ましくないとされている。

フーゼル油(Fusel Oil)
蒸溜工程では脂肪分や油分も作り出され、ウイスキーに風味を与える。イソブチルアルコール、イソアミルアルコールなどが主成分。多く含まれすぎると不快感をもたらす。

【ショート・メモ】樽材の種類

ウイスキーの樽は、通常アメリカ産ヨーロッパ産オークで作られる。ヨーロッパ産のオーク樽は、シェリーの熟成に使われていたものが多い。一方、アメリカ産のオーク樽は主にバーボン熟成に使用されたもの。スペインのボデガ(シェリー製造業者)が、アメリカ産オークを使ってオロロソのようなシェリーをつくり、その樽をスコットランドに送ることもある。マッカランはヨーロッパ産のオーク材にこだわり、またオロロソシェリーに使われていたものを好むため、スペインで樽を作り、ウイスキーを詰めている。

カテゴリ: Archive, テクノロジー