オーヘントッシャン&ボウモアセミナー開催

February 25, 2014

モリソン・ボウモア・ディスティラーズのグローバルブランドアンバサダー ゴードン・ダンダス氏が来日してのセミナーが開催された。本日発売となる新商品もお披露目されたセミナーをレポートする。

モリソン・ボウモア・ディスティラーズ(以下MBD社)はスコットランドでボウモア、オーヘントッシャン、グレンギリーの3蒸溜所を有し、1994年からサントリーグループ傘下となったことでも知られている。3つの蒸溜所はアイラ、ローランド、ハイランドに位置し、それぞれの個性を生かしたウイスキーをつくっているが、MBD社ではブレンデッドウイスキーの生産は行っておらず、シングルモルトのみを販売する「シングルモルト・スペシャリスト」のウイスキーメーカーである。

セミナーは、オーヘントッシャンとボウモアに焦点を置いて行われたが、今回はオーヘントッシャンについてご紹介したいと思う。
グラスゴーからクライド川に沿って北西に進むと、十数キロのところで現れるアーカイン橋。オーヘントッシャンはそのたもとに建つ、創業1823年(1800年頃からアイルランド移民が始めていたという説もある)の蒸溜所だ。ローランドウイスキーはスコットランドのなかでも気候の温暖な地域であることに加え、3回蒸溜を行うためライトボディのものが多いが、ゲール語で「野原の片隅」という意味のオーヘントッシャンは、その名の通り穏やかで繊細な味わいが特徴だ。

No.1ローランドモルトであるオーヘントッシャンのユニークな点は、初溜・再溜の2つのスチルの間に、中溜釜(Intermediate Still)と呼ばれるスチルがあり、この3基で蒸溜を行う点だ。アルコール度数7~8%のウォッシュが初溜で19~20%になり、中溜で54~56%になる。そして最後の再溜釜を出た時には81%と、ポットスチルウイスキーとしては非常に高い度数になるのである。ここまでの蒸溜を行うことでスピリッツはひときわ磨き上げられ、軽やかさを増す。
蒸溜回数が多いということは、単に「良い部分を抽出する回数が多い」だけではない(もちろんそれも特筆すべき点ではあるが)。銅に触れる回数が増えてよりクリアな風味になり(銅には異臭などを補足する効果があるとされているため)、さらに過熱回数が多い分、熱化学反応によって新たな成分が生成されるのだ。そのため軽やかながらもフルーティーかつエステリーという特長が生まれるのである。
蒸溜後のスピリッツはもちろんそのままの度数で樽詰めされるわけではなく、水を加えて63.5%に下げた後バーボン、シェリー、ポートなどの樽に詰めて熟成される。これによって、3回蒸溜ならではのピュアなスピリッツに様々な個性が与えられ、時を重ねてローランドウイスキーへと生まれ変わっていく。セミナーでは、その違いを確かめる4アイテムのテイスティングが用意されていた。

まずは本日(2月25日)発売の「オーヘントッシャン アメリカンオーク」、バーボン樽のファーストフィル。ひときわ明るい色が示す通り、ライトでエレガントなバーボン樽由来のバニラ香がまず現れる。生き生きとしたシトラス、青リンゴとスパイシーなウッディさのバランスが良い。味わいにはほのかにミントやグレープフルーツなどの爽やかさとともに、ココナッツクリームの甘味もある。ローランドの華やかさと優しさを体現したボトルといえるだろう。ライムを絞ったハイボールにも合いそうだ。
次は「12年」。バーボン樽とシェリー樽で熟成した原酒をマリッジしており、ぐっと厚みが出る。ナッティさも感じられ、カスタードクリームやオレンジなどのフレーバーが複雑に絡み合う。このラインナップの中では最もエレガントな印象を受ける。
「トリプルウッド」はバーボン樽で熟成した後にオロロソ、さらにペドロヒメネスと2種類のシェリー樽で追加熟成している(熟成期間はバーボン樽内が一番長い)。心地よいビターチョコレートの苦味とレーズン、鉛筆などシェリー樽の影響を強く感じるが、オーヘントッシャン本来のスムースさのため重くなりすぎず、余韻も長く楽しめる。

そして最後に蒸溜所のVIPツアー参加者のみが試せるスペシャルボトル。今回のものは2001年蒸溜で52.7%、ファーストフィルのバーボン樽。少し硬いが加水をすると爆発的に香りが開く。ヘーゼルナッツ、マーマレード。青々とした草原を思い起こさせ、ローランド好きの記者にはたまらないウイスキーだ。こちらは蒸溜所まで足を運ばなければ味わえないが、グラスゴー空港からも近い「都会派シングルモルト」の蒸溜所なので、スコットランド訪問の際にはぜひ訪れてお試しいただきたい。

しかし蒸溜所に行けないからといって残念がることはない。本日発売となる「アメリカンオーク」の登場で、3タイプのオーヘントッシャンが気軽に楽しめるようになるのだ。オーヘントッシャンという長い名前も「オーキー」という愛称で呼べばより親しみやすく、シチュエーションを問わずいつでも手に取れる、フレンドリーな存在になるはずだ。そして口にした瞬間に、あなたをスコットランドの野原へ運んでくれるだろう。

商品詳細

商品名:オーヘントッシャン アメリカンオーク
アルコール分:40%
容量:700ml
希望小売価格(税別):3,600円
発売日:2月25日(火)発売開始

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