バランタインのキーモルトを味わう

September 10, 2020

ブレンデッドスコッチウイスキーを代表する「バランタイン」。5代目マスターブレンダーのサンディー・ヒスロップ氏が、特別なテイスティング会でブレンディングの秘密を明かしてくれた。

文:WMJ

 

ジョージ・バランタインによって1827年に設立され、1895年にはヴィクトリア女王から英国王室御用達に指定された「バランタイン」。ハイランド、ローランド、スペイサイド、アイラの4地方からモルト原酒とグレーン原酒を厳選し、卓越したブレンド技術で優雅な風味を受け継ぐスコッチの象徴だ。

200年近い伝統のなかで、バランタインのマスターブレンダーは5人しかいない。当代は5代目のサンディ・ヒスロップ氏。幸運にも3代目ジャック・ガウディ氏と4代目ロバート・ヒックス氏の両名から薫陶を受け、膨大な原酒ストックも管理しながらバランタイン全商品のウイスキーづくりを統括している。

日本が大好きだというヒスロップ氏だが、コロナ禍の影響で旅行は自粛中。だがこのたびオンラインでテイスティング会を実施してくれるという嬉しい知らせが入った。事前に届いた原酒6種類をグラスに入れて開始時間を待つ。そのうち2つはロングセラーの「バランタイン17年」と、日本限定の「バランタイン17年 トリビュートリリース」。残りの4つは、今年9月から新ラインナップで発売されているシングルモルト商品だ。そもそもブレンデッドウイスキーのブランドが、キーモルトをシングルモルトとして商品化するのは極めて珍しい。

「バランタインのサンプルルームへようこそ」

画面に現れたヒスロップ氏が、仕事場から語りかける。手書きラベルのボトルが並ぶ背後の棚には、スコットランドの柔らかな朝日が差し込んでいる。日本でのイベントに登壇するときよりもリラックスした様子だ。オンラインとはいえ、世界最高峰のブレンダーの仕事場をリアルタイムで訪問できるのは貴重な体験である。

 

日本限定の特別なブレンド

 

「まずはバランタイン17年から始めましょう。バランタインの豊富なラインナップのなかでも、個人的に大好きなウイスキーです」

グラスから立ち上がる香りだけで、心はスコットランドへと飛んでいく。「バランタイン17年」は、1937年に生まれて以来、卓越したバランスで「ザ・スコッチ」の異名をとる。ウイスキー評論家のジム・マレー氏が「驚くほど構造化された、偉大なるスコッチの象徴」と評した味わいをしばし堪能する。

至高のフレーバーが生まれるバランタインのサンプルルーム。5代目マスターブレンダーのサンディ・ヒスロップ氏が、オンラインで日本とスコットランドをつないでくれた。

その隣には「バランタイン17年 トリビュートリリース」がある。「バランタイン17年」のオリジナルレシピをヒントにしながら、フレーバーの豊かさに重きを置いた特別なブレンドなのだという。

「スコッチウイスキーをこよなく愛してくださる日本の皆さんのために、レシピを組み直しました。1930年代につくられたオリジナルのバランタイン17年をヒントにしています。アルコール度数も48%にまで引き上げ、冷却濾過をせずにボトリングしました」

オリジナルよりも、赤リンゴを思わせるフルーティーな香りが強い。少し室温の水を加えると、いっそうリッチな香りがグラスで花開く。口に含むと、舌触りはベルベットのように滑らかだ。洋ナシやホワイトチョコレートを思わせる芳醇な甘味があり、最後にはシナモンのようなスパイスや繊細なスモーク香も顔を出す。

「通常よりもアメリカンオーク樽の香りを強調することで、さらに複雑な風味を表現しているんです」とヒスロップ氏がレシピの秘密を明かす。こんなウイスキーが日本限定発売とは、実に贅沢な話だ。

 

ブレンドの中核をなす蒸溜所のシングルモルトを飲み比べ

 

高水準の一貫性が求められるブレンデッドウイスキーには、常に最高品質のモルト原酒が欠かせない。バランタインが使用する原酒の数は数十種類ともいわれているが、味わいの中心となるのは4種類のキーモルト。そのうち3つの蒸溜所から、4種類のシングルモルト商品が日本国内で発売されている。

「まずはミルトンダフから試飲してみましょう。15世紀の修道院にルーツを持つ蒸溜所で、バランタインの骨格をつかさどる力強さが特徴です。ほのかにスパイスの味わいが加わったフローラルな香り。クリーミーな口当たりが特長で、やさしいリコリスの風味も印象的です」

2020年9月1日より発売された4種類のシングルモルト商品はすべて数量限定。ブレンデッドの「バランタイン17年 トリビュートリリース」は日本限定発売だ。

実際に味わってみると、スペイサイドらしいフルボディのシングルモルトだ。長くあたたかなフィニッシュも、バランタイン17年などに共通する要素である。

「次はグレンバーギー。私の大好きな蒸溜所で、バランタインのブレンドの中核です。15年と18年を飲み比べながら、濃厚なフルーツ香を楽しんでみてください」

「グレンバーギー15年」は、伝統的なスペイサイドモルトの魅力を網羅したバランスが秀逸だ。ジャム、洋ナシ、赤リンゴなどのフルーティな香りと、凝縮感のある甘さがクラシックなバランタインの魅力と一致する。そして日本新発売となる「グレンバーギー 18年」は、それより3年ほど長い熟成年のモルト原酒を使用している。

「完璧に熟成されたウイスキーと言ってもいいでしょう。赤リンゴやカシスのジャム、ハチミツや柑橘のような甘美さと果樹園のフルーツ香が、これ以上ないほど濃密に感じられるはずです」

そんな説明を聞きながら試飲すると、複雑な風味の輪郭にピントが合って嗅覚や味覚が研ぎ澄まされる。ヒスロップ氏いわく、ショウガのようなスパイスは最高品質のアメリカンオーク樽に由来するものだ。個々のウイスキーの完成度に圧倒される。

最後に味わうのはグレントファーズだ。味わいはもちろん、バランタインのウイスキーづくりに特別な意味を持つ蒸溜所でもあるのだとヒスロップ氏が語る。

愛車の日産キューブで蒸溜所やブレンダー室を頻繁に訪ねているというサンディ・ヒスロップ氏。スコッチを代表する名ブレンダーの日常をインスタグラム(@blenderdude)でチェックしてみよう。

「あえてコンピューター化されていないグレントファーズ蒸溜所では、今でも昔ながらの製法を守っています。新人は必ずここで研修をして、手作業によるウイスキーづくりの基本を学んでいるんですよ」

「グレントファーズ 15年」は、バランタインならではの繊細なナッツ香が特徴だ。ヒスロップ氏の言葉を借りると、焼いたヘーゼルナッツやタンジェリンオレンジの香り。口に含めば、ふんわりと広がるベリーの甘味も素晴らしい。飲み終えた後も、うっとりするような長い余韻を楽しめる。

「ミルトンダフ」の力強さ。「グレンバーギー」のフルーツ香。そして「グレントファーズ」のナッツ香。このような個性が折り重なることで、スコッチの王道と呼ばれるバランタインの個性が形成されるのだ。ヒスロップ氏は言葉に力を込める。

「マスターブレンダーの仕事は、バランタインの伝統の風味をしっかりと守って受け継ぐこと。同時に、時代の新しいニーズにあった味わいのウイスキーを生み出すことも目標にしています」

どこまでも精緻なブレンディング技術によって、最高のバランスを獲得したブレンデッドウイスキーとシングルモルトウイスキー。充実したバランタインの新ラインナップで、スコッチを代表するブレンディングの真髄に触れてみたい。
 

バランタイン シングルモルト グレンバーギー18年

 
容量:700ml

アルコール度数:40%

希望小売価格:12,000円(税別)

数量限定

※価格は販売店の自主的な価格設定を拘束するものではありません。

バランタイン17年 トリビュートリリース

 
容量:700ml

アルコール度数:48%

希望小売価格:10,000円(税別)

日本限定、数量限定

※価格は販売店の自主的な価格設定を拘束するものではありません。

 

卓越したブレンド技術を誇る「バランタイン」の歴史、こだわり、商品ラインナップなどを網羅した公式ホームページはこちらから。

 

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