ボウモア蒸溜所をヴァーチャル体験

December 4, 2017

「ウイスキーフェスティバル2017」(11月26日開催)で、日本初となるボウモア蒸溜所のヴァーチャルリアリティ(VR)体験が公開された。来場者を魅了した驚きの内容とは?

文:WMJ

 

ヘッドセットとヘッドフォンを装着して椅子に座るだけ。視界360度、切れ目のないリアルなのVR体験が待っている。

晴れ渡る空の下、海岸の蒸溜所に向かって波が打ち寄せる。漆喰の白壁には「ボウモア」の文字。背後を振り返ると、陽光に輝く海原が遥か水平線まで続いている。

ここはスコットランドのアイラ島ではない。ウイスキーフェスティバル(11月26日、東京ベルサール高田馬場)の会場に出現した、特設コーナーの椅子の上だ。居ながらにしてボウモア蒸溜所を訪問できるヴァーチャルリアリティ(VR)体験が、日本で初公開されているのである。

観客は大きなゴーグルのようなヘッドセットとヘッドフォンを装着するだけ。アイラへの旅は、すぐにウイスキーづくりのリアルな体験へと続いていく。今では珍しくなったフロアモルティングや、ボウモアらしい風味を生み出すピート採掘の現場。糖化、発酵、蒸溜も、視界360度なので設備の全貌が見渡せる。ニューメイクスピリッツが流れ出す様子は、まるで精密な巨大生物の営みを見るようで感動的だ。

 

伝説の貯蔵庫や熟成樽の内部にも潜入

 

だが、お楽しみはこれからだ。圧巻は「No.1 Vaults(ヴォルト)」、つまり第1貯蔵庫の内部である。このボウモア最古の貯蔵庫は海抜0メートルの場所にあり、天候によっては外壁に大西洋の波しぶきが打ちつけられる。周囲はいつも海水のアロマに包まれ、貯蔵庫内にもかすかに潮の香りが漂う伝説の貯蔵庫だ。

憧れだったボウモアの聖地に侵入し、周囲をキョロキョロと眺めてみる。樽に記された文字を読めば、なかには50年以上も熟成されている原酒もある。ここは1779年創業の蒸溜所が、あのウイスキーの気品と力強さを育んできた場所なのだ。

最後にもうひとつ驚きが待っていた。実際の蒸溜所ツアーでもありえない、樽の内部に飛び込んで外界を見上げる体験である。熟成を待つウイスキーになった気分を味わってフィナーレへ。ボウモア蒸溜所に行ったことがある人も、この超現実的な演出は一見の価値があるだろう。

2018年は日本各地のイベントでも設置を予定。直後にボウモアを味わえば、これまでにない気づきがあるかもしれない。

VR体験が終わると、瞬時に現実へと引き戻される。だがありがたいことに、すぐ隣はボウモアの試飲ブース。リアルな蒸溜所体験の直後に味わうアイラモルトの女王はまた格別である。

このVR体験は、イギリス本国で制作されたコンテンツを日本市場向けに編集したもの。「製造編」が2分15秒、「貯蔵庫編」が2分25秒と、短時間で濃密な体験が満喫できるのが嬉しい。ビギナーからマニアまで、すべてのウイスキーファンが楽しめる内容である。

このたび日本初公開となったボウモアのVR体験は、今後もウイスキー関連のイベントを中心に公開していく予定だという。会場で見つけたら、唯一無二のウイスキートリップに出かけてみよう。

 

 

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