「ブルックラディ アイラ・バーレイ 2011」が到達した、新たなテロワールの真骨頂

March 18, 2019

ウイスキーの聖地アイラ島で、妥協のない独自路線を歩み続けるブルックラディ。テロワールの真価を体現した最新作「ブルックラディ アイラ・バーレイ 2011」が発売間近だ。

 
文:WMJ
 

アイラ島の西岸に建つブルックラディ蒸溜所は、アイラの風土にこだわり抜いたウイスキーづくりで知られるユニークな存在だ。モダンなボトルデザインとは裏腹に、その生産スタイルは愚直の一言。設立された1881年当時の蒸溜設備に手を入れつつ使い続け、今でも多くの工程を手作業に委ねている。

操業を再開した2001年5月29日から、ブルックラディには大きな目標があった。それはウイスキーづくりのすべてをアイラ島で完結させること。ひとつの象徴が、アイラ産大麦100%のウイスキーだ。アイラウイスキーなら当然と思われるかもしれないが、実は島の大麦を使用している蒸溜所はブルックラディとキルホーマンのみで、しかも100%ではない。古くからアイラ島の気候は大麦の栽培に向いていないと考えられ、ウイスキー用の大麦栽培が完全に廃れていたのだ。ウイスキーの聖地といえどもゼロからこの難題に挑む者はなく、実現したところでコスト面での問題も生じる。そもそも法律では蒸溜さえ国内でしていれば、原料はどこのものであろうともスコッチウイスキーを名乗れるのだ。あえてリスクを冒す必要はない。

アイラ産のウイスキーだから、アイラ産の大麦を原料に使用する。誰もが不可能だと思っていた夢を実現しただけでなく、島内のパートナー農家は15年間で17軒(19人の農夫)にまで増えた。常に情報交換し、より良い大麦栽培を目指すファミリーのような絆で結ばれている。

だがブルックラディは諦めなかった。近隣で農業を営むレイモンド・スチュワートの協力を得て、初めてウイスキー用の収穫に成功したのが2004年のこと。蒸溜所の成長もあって、契約農家は現在17軒にまで増えている。真のスコッチウイスキー、アイラのテロワールを体現するウイスキーづくりを実現し、業界の常識を覆したのだ。

しかも、ただ島内で大麦栽培を行うだけではない。どこで、どんな品種の大麦を、どのように育てるのか。ブルックラディの実験的プロジェクト「大麦探求プロジェクト」は、ほかのどの蒸溜所とも異なるアプローチだ。その3つの柱のひとつ「アイラ・バーレイ」では島内での大麦栽培によるテロワールの探求、究極のアイラウイスキーづくりへの終わりなき挑戦が続く。さらに昨年リリースされた「ジ・オーガニック」では環境負荷の少ない栽培方法の探求、「ベア・バーレイ」では古代品種の大麦から得られる風味、同時に短期栽培品種のため食糧問題解決の可能性の探求がサブテーマとなっている。

このたび4月1日に発売される「ブルックラディ アイラ・バーレイ 2011」は、シリーズ第6弾となる最新作。アイラ島の西部および中心部にある6軒の農家が育てた大麦のみを使用している。なお前作までの「アイラ・バーレイ」は黄色のパッケージだったが、本作からは「大麦探求プロジェクト」のファミリーであることを示すグレーグリーン調に衣替えした。

大麦畑に海風が吹き抜ける。この島のあるがままの姿を愛する人々が、飽くなき探求を続けながら情熱とともにつくるウイスキー。その一滴にまで、テロワールとクラフツマンシップが落とし込まれている。

本作「ブルックラディ アイラ・バーレイ 2011」に使用された大麦は、2010年にアイラ島で収穫されたパブリカン種とオックスブリッジ種。「ブルックラディ」ブランドはノンピートのため、アイラ島産の大麦の風味をそのままウイスキーに残している。

麦に究極的にこだわる一方で、ブルックラディはユニークな樽の使い手でもある。世界各地から優れた樽を取り寄せては、酒質に合わせた樽との組み合わせを試行錯誤し、その素晴らしい効果を経験と実績として蓄積している。本作では、力強い酒質を活かすファーストフィルのバーボン樽を主に使用。さらにファーストフィルのワイン樽(リヴザルト/南仏の天然甘口ワイン)、セカンドフィルおよびサードフィルのワイン樽(ソーテルヌ/オーストリア産甘口白ワイン)を使用し、柔らかな甘さや爽やかなフルーティーさをまとわせている。それぞれの樽で熟成した原酒をヴァッティングして6ヶ月間後熟し、蒸溜所内でボトリングをおこなう。加水はもちろんアイラ島の湧き水で、アルコール度数を最適な口当たりの50%に調整する。ノンチルフィルターで無着色、生粋のアイラ育ちの風味をそのまま楽しむことができる。

 

アイラ島の風土を余すところなく表現

 

まさに生粋のアイラモルトと呼ぶべきウイスキーを味わってみよう。

グラスに注ぐと、あふれんばかりの柔らかいフルーツ香とフローラルなアロマが繊細に立ち上がる。エレガントなブルックラディのスタイルが、一段と軽やかになった印象だ。口に含むと感じるのは、美しいほどに柔らかくクリーミーな口当たり。大麦由来のオイリーな感触が舌を包み込み、花々の香りや大麦糖の甘みも伴っている。柑橘系の風味が海の印象を際立たせ、黒コショウとショウガの微かなスパイスも心地よい。

舌に残る余韻も複雑で、完成までの長い道のりを想い起こさせる後味だ。

しっかりとした骨格と、贅沢なテクスチャーはブルックラディの本質だ。テロワールへの忠実を全うすることで、自然の力が魅力的なウイスキーの品質やフレーバーとして表現される。これがアイラ産大麦にこだわった「アイラ・バーレイ」ならではの醍醐味であろう。

細部にまでブルックラディの哲学を宿し、真のアイラらしさを味わえるウイスキー。進化し続ける唯一無二のヴィンテージを味わってみよう。

 

 

ブルックラディ アイラ・バーレイ 2011

ウイスキータイプ:ノンピーテッド アイラ・シングルモルト・スコッチウイスキー

ヴィンテージ:2011年

アルコール度数:50度

容量:700ml

大麦の産地:アイラ島産大麦100%

大麦の品種:パブリカン種とオックスブリッジ種

熟成樽:全期間ファーストフィル・バーボン樽75%、全期間ファーストフィル・ワイン樽(リヴザルト)10%、全期間セカンド及びサードフィルの甘口白ワイン樽(オーストリア産ソーテルヌ)15%

希望小売価格(本体):6,500円

発売日:2019年4月1日(月)

 

アイラのテロワールにこだわり抜いた究極のシングルモルトウイスキー。ブルックラディの製品情報はこちらから。

 

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