ウイスキークッキング・4 【イチジクのポート煮】

August 18, 2014

ウイスキーにぴったりのフードをご紹介する「ウイスキークッキング」【4】と【5】ではナッツを取り上げる。まず【4】ではイチジクをポート風味で仕上げ、ナッツがまとめ上げる個性的な料理を。

最近たまたま2回続けて、あるナッツと出会った。ヘーゼルナッツの一種、コブナッツだ。

最初はウイスキーとペアリングできそうな食べ物を探して市場を物色していたときに見つけた、ソーセージの中に入っていた。ちょっと変わったコブナッツ・ソーセージを試食してみたのだ。スパイシーで素朴、ジューシーなソーセージで、「キルホーマン マキヤーベイ」とペアリングしてみた。干し草と煙る藁が積まれた農場のような風味が引き出された、至福の体験だった。

2度目の出会いは、ケント州の友人を訪ねたときだった。この友人がセントメリーズプラットという小さな村にあるコブナッツとクルミの農家に連れていってくれて、そこのアレキサンダー・ハント氏にコブナッツとクルミ、そしてそのナッツを使って地元のベーカリーに作らせたパンやお菓子を味見させてもらった。
この体験のお陰で、私のナッツとウイスキーのペアリング熱に火がついたわけだ。ヘーゼルナッツ、クルミ、アーモンド、ピスタチオ、松の実は、手軽に食材とウイスキーの風味をまとめ上げてくれる。

アイディアを少しご紹介しよう。
刻んだナッツ:
スパイスや砕いたオートケーキと混ぜて、肉や魚をローストする前のクラスト(衣)を作る。これをまぶして焼き上げるととても風味豊かな料理になる。特にラム肉が最高。
スイーツ系では、クランブルに刻んだナッツを加えている。その他の材料はバター、小麦粉、砂糖、オートミール。カリカリ感が加わって楽しい。使う前にナッツを少し煎ることがポイント。
例えばアバフェルディ(ラベルにリスが描かれているところも、ナッツに合いそうな気がしない?)やグレンギリー、ベンネビスのような、フルーティでナッティなシングルモルトとともに。

クルミ:
鶏の丸焼きなどの詰め物に入れると、素晴らしい風味と質感をもたらしてくれる。私は樽の影響が強いシェリー樽熟成ウイスキーやシングルモルトと一緒に使っている。

コブナッツとクルミ:
アペリティフ用には煎って塩を加え、ほんのりカラメル風味を付けると美味しい。あるいはコンテや熟成チェダー、オランダチーズ類などのチーズと合わせる。

ナッツオイル:
ほのかな風味のヘーゼルナッツオイルは、シーフード(ホタテ貝、エビ)のソテーや、フルーツとチーズを入れたサラダを美味しくする。クルミオイルは風味が強いので、無味無臭のオイルと混ぜて使う。鴨の胸肉、パンチェッタ、セロリ、ブルーチーズにとてもよく合う。どちらのオイルも加熱しないで使う方がよい。匂いが悪くなりやすいので、少量ずつ買うこと。保存は冷暗所に。

「イチジクのポートワイン煮 ~クルミ、ブルーチーズ、ルッコラ添え」

レシピ<6人前>
材料:
・生イチジク 9個
・レイト・ボトルド・ヴィンテージポート (良質のルビーポート) 100ml
・スパイスミックス
(胡椒、ジンジャーパウダー、シナモン、チリパウダー、スターアニス)適量
・生ハムのスライス 6枚
・ルッコラ 100g
・クルミ(半分に割ったもの) 120g
・オレンジ(絞ってジュースにする) 1/2個
・菜種油 大さじ1
・クルミオイル 大さじ1
・ブルーチーズ(薄切り) 6枚

手順
①オレンジジュースと菜種油、クルミオイルをよく混ぜ、ロケットをあえる。6枚の皿に分けて盛り付け、ブルーチーズとクルミを乗せる。好みで塩胡椒を少々。
②イチジクを半分に切る。ポートワインを鍋に入れ、同量の水とスパイスを加えて弱火にかける。軽く沸き立ったらイチジクを入れ、3・4分煮る。
③イチジクを鍋から取り出し、鍋の中の液体がシロップ状になるまで弱火で煮詰める。
④生ハムを3等分し、その一枚でイチジクの1/2個を包む。
⑤④をオーブンの耐熱皿に乗せ、シロップ状になったポートの半量をかける。表面に軽い焼き色がつくまで(5分ほど)焼く。
⑥オーブンから取り出した⑤を①に盛りつけ、残りのポートをかける。

合わせるウイスキー
もちろんポート・フィニッシュのウイスキー。食材の風味の組み合わせは、ウイスキーに含まれるポート樽のフレーバーとぴったり響き合う。このペアリングは基本的に「フルーティさ」が肝心。ピーティなウイスキーは避けた方がよいだろう。

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