ウイスキークッキング・6 【ベーコンとプラムのジャム】

October 6, 2014

数々の賞に輝くダブリンのパブ「L・マリガン・グローサー」料理長がウイスキーとのペアリングにぴったりなベーコンのジャムをご紹介する。

ポークが様々なウイスキーと素晴らしいペアリングを創り上げることは、私が改めて説明するまでもないだろう。
まず挙げられるその理由は、汎用性だ。ソースを添えたり、漬け込んだり、燻製したり、あるいは発酵させたりして、肉に風味を付けることができる。

私はある年のウイスキーライブ・ロンドンで、スモークベーコンをセビリアオレンジマーマレードで炒めスパイスアーモンドをまぶしたものフォアローゼズ・イエローラベルにペアリングした。アーモンドの豊かな温かみが、焦げたオークの風味を引き立て、マーマレードの酸味はウイスキーのアタックを盛り上げた。そしてメインのベーコンが全体をまとめ、様々な風味が踊る脂っこくてスモーキーな一品として、フォアローゼズの楽しみをより深く大きくしてくれた。

また同時に、ブラックブッシュにはブラックプディングをペアリングした。
このブラックプディングは、かのLa Confrérie des Chevaliers du Goûte Boudin(WMJ註:ブラックプティング騎士団、フランス・ノルマンディー地方を基盤とする世界的なブラックプティングの権威のひとつ)によって「ナイトの爵位を付与された」コークの肉屋、マッカーシー・オブ・カンタークのものだ。
肉屋の店主サー・ジャック・マッカーシーのブラックプディングにかける情熱は大変なもので、”Black is the Colour”の曲に合わせて、ブラックプディングに捧げる叙情詩を歌い上げてくれるほどだ。
そのプティングの濃密な豊かさが、ウイスキーの持つ甘口シェリーの風味を引き立てる
ジャックのブラックプディングを味わう際に、お酒以外のお供として私が気に入っているのが、丸々と膨らむまでシェリーとナツメグに漬けたチェリーだ。ウイスキーをパートナーにするときは、ブラックブッシュがチェリーの代わりになり、同じくメリハリのある風味を再現する。

そのときのウイスキーライブ・ロンドンで一番広く人気を博したのは、モンキーショルダーに合わせたベーコンジャムだった。
私はアイルランド南部のティペラリーにある家族経営の養豚場、クロウズ・ファームT・J・クロウから入手した、脂肪と赤身が縞になったスモークベーコンの薄切りを使ってジャムを作る。希少種で有機飼育した豚を使用しており、加工前は甘くてマイルドだ。
クロウが使うのは地元産木材のチップ。その結果、荒削りで土っぽく、力強い香りの燻製ができる。彼らは中途半端なことはしない…優雅に漂う煙やはかないフレーバーは存在しないのだ。容赦のない顔面パンチ。私はこの強烈なベーコンを、プラムを合わせて和らげる。その柑橘系の酸味と甘さが全体的な隠し味になり、スモークとバランスを取りつつ、ウイスキーの柔らかな酸味と響き合う。

このジャムを作るには、まず最高品質のベーコンを見つけ出すことが重要だ。燻製専門のショップには素晴らしいものがあるだろう。少量のスモーキーなウイスキーを足すと、さらに風味が増すことは間違いない。
このレシピでは大量のジャムが出来上がる。必要に応じて量を調節してもOK。しかしできればこの量で作ることをお勧めする…どっさり作って皆に分けてあげよう。あなたは間違いなく有名人になれるはずだ。

「ベーコンとプラムのジャム」

レシピ:
ベーコン 500g
プラム 2個
玉ねぎ 1個
ニンニク 5片
ブラウンシュガー 100g
コーヒー 125ml
蜂密 20ml(小さじ4)
バルサミコ酢 15ml(小さじ3)
ディジョンマスタード 15ml(小さじ3)

手順
1.ベーコンを小さ目の角切りにし、大きめの鍋で火が通るまで炒める(焦がさないこと)。
2.玉ねぎとニンニクをみじん切りにする。
3.1をボウルに移し、液体を鍋に残す。
4.3の鍋で玉ねぎとニンニクを15~25分程度、しっかりと火が通り黄金色になるまで炒める。焦がさないよう常に混ぜながら炒めること。
5.プラムの種を抜き、細かく刻む。
6.4の鍋にベーコンを戻し、プラムを加える。
7.砂糖、コーヒー、蜂蜜、ビネガー、マスタードを加え、木べらでよく混ぜる。
8.中火で30分程度、とろみがつくまで煮詰める。
9.火から下ろし冷ます。好みでフードプロセッサーなどでなめらかなペースト状に仕上げても良いし、そのままでも良い。
10.パンに乗せたり目玉焼きに添えて。もちろんウイスキーとともに愉しむのが最高。

これまでに掲載した「ウイスキークッキング」はこちら

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