「The Fuji Gotemba BLEND KIT」新発売

June 5, 2015

富士御殿場蒸溜所が誇るグレーンウイスキー。その蒸留方式の違いを駆使してつくった香味特長の異なる3タイプ、さらに2種類のモルトウイスキーをセットにした「The Fuji Gotemba BLEND KIT」が本日発売となる。その魅力を田中城太チーフブレンダーに伺った。

唯一無二のグレーンウイスキー生産設備を備える、富士御殿場蒸溜所。その蒸溜所の様子は以前にもお伝えした通りだが、グレーンウイスキーをつくる3つの蒸留方式が非常にユニークなのである。
1つめはライトタイプのグレーンをつくる「マルチカラム式」。これが一般的なイメージの連続式蒸留器だ。
2つめは「ケトル&カラム式」。ケトルとは蒸留釜で、ポットスチルと同じように1回ずつ蒸留を行う、グレーンでは珍しい「バッチ式」蒸留。こちらではミディアムタイプのグレーンをつくることができる。
3つめはバーボンタイプのヘビーなグレーンをつくる「ビアカラム&ダブラー式」でこれは米国のバーボン蒸溜所以外では珍しい連続式蒸留器だ。 モルトウイスキーの蒸留に使われる4基のポットスチルの他に、このようなグレーンウイスキー生産設備を有する蒸溜所は、世界的にも稀有と言っていい。

この3種の蒸留方式からつくられたそれぞれのグレーン原酒、そしてフルーティーとモルティーという2タイプのモルト原酒がセットになった「The Fuji Gotemba BLEND KIT」が本日(6月5日)キリンオンラインショップ「DRINX」限定で発売開始となった。

「ブレンドキット」としては、昨年4月にも「自然を愉しむ4種の原酒 THE HOUSKY ORIGINAL BLEND KITを発売し、大好評で即完売となっていた。
こちらは国タイプ別で分けた2種類のモルト(ジャパニーズタイプ、スコッチタイプ)と2種類のグレーン(バーボンタイプ、カナディアンタイプ)のセット。今回は蒸留方式ごとにグレーン原酒が分けられているというのがさらにウイスキーファンの心をそそる。

発売を前に、キリンビール株式会社 田中 城太チーフブレンダーにお話を伺った。
「グレーンウイスキーというと馴染が薄いかもしれませんが、トウモロコシやライ麦、小麦などを主原料にしたウイスキーということで、バーボンやカナディアンも広義的にはグレーンウイスキーなのです。また、ブレンデッドウイスキーも、一般的なもののグレーンのブレンド比率は7割程度と言われており、実は知らず知らずのうちに皆さんはグレーンウイスキーをたくさん召し上がっているのです」と田中さん。

現在、世界的にもグレーンに注目が集まっている。デイビッド・ベッカムプロデュースの「ヘイグ・クラブ」や、ザ・ソサエティからリリースされたジャパニーズグレーン3種など、本誌でも度々ご紹介している。

「グレーンウイスキーは、今世界で非常に注目されています。我々は操業当時からスコットランド、アメリカ、カナダのウイスキー蒸留技術を融合させて、香味タイプの異なる味わい豊かなグレーンを製造してきました。もちろん、当初はブレンデッドウイスキーに使用するためでしたが、このような味わい深いウイスキーがあるということをもっと知っていただきたいと思い、近年はグレーン単体(シングルグレーン)での販売にも注力しています」と田中さんは続ける。
昨年以上にグレーンの個性を打ち出した「The Fuji Gotemba BLEND KIT」を発売したのはその背景をふまえてということになる。

同蒸溜所のグレーンは、WWAでもジャパニーズベスト・グレーンを2年連続で受賞している。しかしまだまだグレーンは一部愛好家のものというのが現状だ。だからこそ、もっと気軽に手に取ってほしい…それが「DRINX」で扱う「THE HOUSKY」(気ままに愉しむ「おうちウイスキー」)のコンセプトなのだ。

「3種類の蒸留方式からつくられる個性的なウイスキーを味わっていただき、さらにそれを使ってブレンド体験…自分好みのウイスキーをブレンドする。このような楽しい体験をぜひ皆さんにしていただきたいと思っています」という田中さんの言葉通り、単一蒸溜所でモルトとグレーンの多様な原酒を揃えてブレンデッドウイスキーをつくることなど、他では非常に難しいはずだ。

それぞれの原酒を飲み比べるのも興味深いし、キットに同梱されているリーフレットに掲載されているおススメブレンドに沿ってブレンドしてみるのも楽しい。
そもそもグレーンウイスキーが手に入りやすくなったのもここ数年の話で、これまでは「飲んでみたい」と思っても、めったに出回っていなかった。それがこのように希少なジャパニーズグレーン原酒を飲み比べたりオリジナルブレンドが自宅でできたりするというのは、素晴らしい時代がやってきた!と思わずにはいられない。

さらに、「このキットに入っているテイスティンググラスは操業当時から蒸溜所で使用している、ハンドメイドのテイスティンググラスなんですよ」と田中さんが手に取ったグラスは、確かによく見ると本体の厚みや脚の部分のラインが工業製品とは違った趣がある。
富士山麓で悠久の自然に育まれた原酒を、自分好みにブレンドしたウイスキー…この一杯を愉しむひとときに、ウイスキーと同様に職人のこだわりが詰まったこのグラスが、プラスアルファの「クラフト感」を添えてくれるだろう。

ブレンディングでできあがるウイスキーはワン&オンリーでありながら、その組み合わせの可能性は無限に広がっている。そんなブレンド体験を可能にしてくれる「The Fuji Gotemba BLEND KIT」を、まもなく訪れる父の日のプレゼントとして、自分へのご褒美として、「おうちウイスキー」の仲間に迎えてみてはいかがだろう。ウイスキー好きの仲間とともに、ブレンディングパーティーというのもきっと盛り上がるはずだ。

数量限定なので、気になった方はためらわずにお申込みを。グレーンウイスキーの魅力に取りつかれてしまう心の準備もお忘れなく!

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