ラベルを読む・5【ユーモラスなボトル 後半/全2回】

June 4, 2014

ウイスキーラベルから様々な事柄を読み取る連載。後半では「ウイスキーの医学的効能」(!?)について語られたラベルを紹介。

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「一日一個のリンゴで医者いらず」という諺があるが、「一日一杯(の酒)で医者いらず」には多くの賛同が得られるだろう。「ウイスキーは百薬の長」と誰もが思いたいところだ。
1770年にスコットランドに生まれた詩人・作家で、Ettrick Shepherd(WMJ註:Ettrick Forestというところで生まれ、羊飼いをしていたため)とも呼ばれたジェームズ・ホッグスは、これを次のように表している。

「もし自分が毎日飲むべき酒の量を正確に知ることができたなら、
そしてそれを守ったなら。

決して死ぬこともなく、永遠に生きるのではないか?
そして 医者も墓地も廃れてしまうだろう」

彼自身は1835年にまだ64歳で亡くなっているので、「彼自身の適正なウイスキーの量」を発見できなかったわけだ。
2つのラベルはこの「ウイスキーは健康に良い」というテーマで遊んでいる

次のラベルはかなり風変わりなタイプのブレンデッドウイスキーを宣伝している
(WMJ註:ANTIDIABETIC は糖尿病治療薬という意味)。
ウイスキーは糖を含まないから大丈夫という意味なのか、前述の通り「百薬の長」として適量を飲めということなのか…どちらにせよ、目を引くことは間違いない。

最後にお見せするのはクレイゲラヒ蒸溜所のコレクションの中にあった面白いラベル
エディンバラの古い港、リースのボトラーがこの名前を思いついたと言われている。STAIR HEID DYNAMITE(頭痛爆弾)…これはアルコール度数75% のウイスキーなのだ!
このブレンドが実際に売りに出されたとは思えないが、エディンバラのボトラーにしては何とも驚くべきグラスゴー風(WMJ註:「おしゃべりでおおげさな自慢屋」という意味がある)のユーモアだ。

ラベルに書かれている詩は以下の通り。
これをグラス1杯飲んだら、気を失うだろう
頭がおかしくなること請け合いだ
五臓六腑が雷みたいに爆発するだろう
だから血まみれの結末になるだろう

酒は薬なのか、毒なのか…永遠の課題である。
できれば薬であってほしいというのは酒飲みの願いで、その効能は皆さんも良くご存じのとおり… しかし恐ろしい副作用である二日酔いのことも忘れず、適量を!

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