ニュージーランド「ドラムフェスト」レポート

March 8, 2014

ニュージーランド南島にあるクライストチャーチで開催された、NZ最大のウイスキーイベント「ドラムフェスト」をレポート。

ニュージーランド(以下NZ)で2年に1度開催開催される「ドラムフェスト」。4回目となる今年は、2月28日~3月2日の3日間の会期で行われた。驚いたことに、会場はクライストチャーチ郊外にある「空軍博物館(Air Force Museum)」であった。過去の開催は同市のシンボルである「クライストチャーチ大聖堂」を会場としていたが、2011年の地震で損壊した後復旧しないため、新たな会場として空軍博物館が選ばれた。
ちなみに大聖堂の修復に関しては、以前の通りに修復することを希望する人たちと、時代に則した新しい建築を希望する人たちとで、意見が割れているそうだ。しかし、この空軍博物館は天井も高く、広さも十分。航空機を横に見ながらウイスキーを飲むというのも面白い趣向だ。

主催者によれば、このドラムフェストは規模が毎回拡大しているとのこと。3日構成で、金曜日は前夜祭、土曜日はメインとなる展示試飲会、日曜日は「セッション」と呼ばれるセミナーと、それぞれ異なるプログラムで開催。土曜日だけで1,350枚のチケットが完売し、3日合わせて延べ1,860人の来場であった。NZは日本の約30分の1の人口、さらにクライストチャーチがNZ一の都市ではないことを考えると、この数字は驚きだ。
来場者のおよそ半分がクライストチャーチ市民。この街はスコットランド移民も多いそうで、ウイスキー好きが多いそうだ。加えて、主催者自身がクライストチャーチ内外で年間60回ものイベントをし、啓蒙活動をしているのだとか。熱意のほどがうかがえる。
そして、イベント記念ボトルも発売されていた―「ベンリアック1999」ペドロヒメネスホグスヘッドである。 限定ボトルファン垂涎のシングルカスクボトリング、これもまたイベントの醍醐味である。

試飲が行われた土曜日の会場は大盛況。ブースではスコットランドの蒸溜所やボトラーだけでなく、地元ニュージーランドの蒸溜所も出展。アジアからはインドのアムルートと、ジャパニーズウイスキーとしてナンバーワンドリンクスが参加しており、秩父蒸溜所のウイスキーと軽井沢が紹介されていた。秩父蒸溜所からは「ダブルディスティラリーズ」「モルト&グレーン」ホワイトラベルとブラックラベル、そしてさらに国外では初となる「ピーテッド」「ON THE WAY」もサーブされた。
加えて、『ドリーム・ドラム』として、同じくNZ初上陸となる「ジョーカー」のカラーラベルも登場。来場者は、入場時にひとり1枚「ドリーム・ドラム・トークン」なるコインを受け取って好みの『ドリーム・ドラム』と引き換えられるのだが、「ジョーカー」はほどなく無くなってしまうほどの人気であった。

  

翌日の日曜日には「セッション」が行われた。ここではブルイックラディ、アラン、グレングラッサ、ハンターレイン、キルホーマン、アデルフィ、スプリングバンク、秩父の8つがセミナーが開催され、各40名限定のチケットは早々に完売。会場を近くのホテルに移し、優雅な雰囲気で各セッションが行われた。
秩父蒸溜所のセミナーを取材させていただいたが、熱心なウイスキーファンが集まるセミナールームの熱気に圧倒されてしまった。講師を務めた肥土伊知郎氏は、秩父蒸溜所の成り立ちから丁寧に説明。
テイスティングアイテムは、秩父ニュースピリッツ、「ON THE WAY」、そしてその構成原酒が3つ続く。中でも5年モノの原酒「ミズナラのフレーバーには参加者は皆驚いたようだ。6つ目のウイスキーは、秩父ウイスキー祭でも大好評だった「ジョーカー」のモノクロラベル。今回初めて秩父蒸溜所のウイスキーを味わう参加者も多かったようだが、その深い味わいに酔いしれていた。

3日間を通じて日本人の姿を見かけることはなかったが、それは日本はバラエティ豊かなウイスキーイベントに恵まれていることの証明なのかもしれない。しかしながら、「ドラムフェスト」は世界の有名ブランドが集結する南半球の一大ウイスキーイベントだ。
次回は2年後となる2016年開催の予定。気が早いかもしれないが、訪れる人が皆「また行きたい」と口を揃えるNZへの観光旅行と合わせて、ぜひ渡航を検討されてはいかがだろうか。羊の多い緑豊かな国はスコットランドを髣髴とさせてくれ、新たなウイスキー文化の息吹を感じる有意義な旅となるだろう。

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