魔法を織り上げる – ディーンストン蒸溜所 【後半/全2回】

April 10, 2013

話題の映画「天使の分け前」に登場したことで、また一層の注目を集めているディーンストン蒸溜所。独特な設備を誇る蒸溜所の最新レポート、後半をお送りする。

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蒸溜所を歩き回ると、見慣れたものと意外なものがいい具合に混在していることに気付く。巨大なオープンスタイルのマッシュタンには、思わず足が止まってしまう。そして、明らかにコンピューター化の気配がない。

しかし、何と言ってもツアーで一番の見所は、人けのない通路をしばらく歩き回った後で訪れる、蒸溜所に隣接した貯蔵庫だ。足を踏み入れた直後はダンネージ式貯蔵庫のような臭いを感じ、目が薄暗がりに慣れてくるにつれて、天井が素晴らしいアーチ型になった部屋にいることが分かる。ウイスキー界では他に類を見ない。

ここは織物小屋だったが、土で遮蔽された鋳鉄製の「ドーム」屋根がウイスキーの熟成にはとても効果的で効率がよいと判明した。目を閉じて立っていると、かつてここにあった1,000台の織機の耳を聾する轟きが聞こえてくるようだ。ディーンストン蒸溜所の歴史は触れそうなほど鮮明に息づいている。

ディーンストン水力事業

・ディーンストン蒸溜所には18世紀後期から水を利用した発電設備がある。

・石の重力式取水堰(せき)を使ってティース川から必要な量の水を水路に引く。水はこの水路でタービンに送られた後、蒸溜所のすぐ下を流れるティース川に戻される。

ティース川の平均流量はおよそ26立米/秒、タービンの水使用量はフルパワー時で最大6立米/秒。

魚の動きを邪魔しないように、取水堰には大きな魚はしご(魚梯:ぎょてい)が置かれている。また、魚が入り込むのを防ぐために仕切りも設置されている。

テイスティングノート
ディーンストン 12年

香り:綿菓子、ラム&レーズンファッジ、バニラクリーム。刈った草とハーブのエッジ。焼きリンゴとバターをかけたポップコーン。
:ソフトで優しく、快い甘いエッジ。クリーミー。木材の味も少し、シナモンとクミン。
フィニッシュ:ホワイトチョコレートと砂糖がけアーモンド。

ディーンストン バージンオーク

香り:ダンネージ式貯蔵庫、少しカビ臭い、シーダー材の箱、そしてレモンがピリッと走って全体が清々しくなる。オークの樹液たっぷり。とても深い泉のよう、オレンジマーマレードとデメララシュガー。
:まず氷砂糖が来て、次にペストリーのノート、クロワッサンとバター。トロピカルフルーツのエッジ、マンゴー、パッションフルーツ。最後にメンソールが少し。
フィニッシュ:ハーブと少しの土っぽさ。

ディーンストン トーステッドオーク

香り:深く豊かで、濃く、豊饒。焦がした砂糖とアーモンド、ハニーローストピーナツ、シロップ漬けのイチジク。レモンがピリッと効いた後で炭塵に近いノート、木炭と軽く燻した肉。
:スパイスが押し寄せる、クミン、シナモン、ナツメグそして微かにカスタードクリーム。焼いたレモンパイ。素晴らしい複雑さ、そしてオークとスパイスと蒸溜所の特徴の程よいバランス。
フィニッシュ:シナモン風味のベイクトアップルと温かいライブレッド。

ディーンストン スパニッシュオーク

香り:葉、マルチ、秋の森林、湿ったオークとシガーボックス。それから洋梨のスパイスソテー、オイルドレザー、バブアージャケットに糖蜜の甘さがたっぷり。
:リンゴとシナモンのペストリー、クリーミーなオークに続いてオレンジの皮の砂糖漬けとスパイス。プラムプディング、シェリー漬けレーズンとダークハニー。
フィニッシュ:暖かくスパイシー。

 

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