サントリーが「山崎55年」を抽選販売

February 3, 2020

日本最古のモルトウイスキー蒸溜所から、史上最高酒齢のシングルモルトウイスキーが登場。数量わずか100本という限定品のため、「山崎55年」は応募サイトでの抽選販売となる。

文:WMJ

 

シングルモルトウイスキー「山崎55年」。その商品名を聞いただけで、世界中のウイスキーファンが驚くだろう。

55年という熟成年が記されている以上、使用される原酒はもれなく1965年以前のものである。60年代前半といえば、高度成長期の真っ只中。サントリーでは、マスターブレンダーが初代の鳥井信治郎から2代目の佐治敬三に受け継がれた頃だ。当代チーフブレンダー(5代目)の福與伸二氏が時代背景を振り返る。

「1960年代前半は、日本経済の復興に合わせてウイスキーの増産に乗り出した時期。山崎蒸溜所も1924年の創設時にはポットスチル2基でスタートしましたが、1963年には8基に増やしています。そして当時は、まだ自前で製麦をおこなっていました」

山崎蒸溜所は、日本最古のモルトウイスキー蒸溜所である。看板商品ブランドであるサントリーシングルモルトウイスキー「山崎」は、山崎の地に湧く名水で仕込み、何年も木樽で熟成されたモルト原酒を匠の技でブレンドしたもの。だが長い歴史の中で、酒齢55年の商品をつくるのは初めてだ。

 

半世紀以上の徹底管理で磨かれた原酒

 

半世紀以上前に仕込まれた長期熟成モルト原酒は、もちろん非常に希少である。今回は1964年蒸溜のホワイトオーク樽原酒や、1960年蒸溜のミズナラ樽原酒など、熟成のピークを迎えた原酒を厳選して丁寧にブレンドしたのだという。

福與伸二氏によると、原酒はすべて樽ごとに熟成の進み具合を確認しながら入念に管理されている。ただ樽に入れて貯蔵庫で熟成を待つだけではない。20年を超えた頃からは涼しい場所に移動して熟成のスピードを落としたり、蒸発による影響を抑えるために別の樽へ詰め替えたりしながら熟成を継続する。そして今回は、55年を経てもなお高い熟成感を保っている原酒だけを選びだしたのだという。

「55年以上も熟成された原酒は、樽ごとの個性も際立ってきます。豊かな香りを余すところなく表現するため、配合比率は繊細に検討しました。超長期熟成の原酒なので、樽の成分が出すぎてしまわないように注意も必要でした」

奇跡のようなウイスキーを前にして、福與氏がプロフィールを解説する。色は、ミズナラ樽特有の赤味がかった深い琥珀色。香りは伽羅を思わせる芳香が力強く立ち、まるで古いお寺でお香が焚かれているような趣きだ。その背後には、ドライフルーツのような濃縮した果物の甘やかな熟成香も隠れている。

口に入れると、優しい口当たりが広がって、甘みやほろ苦さからミズナラ樽特有のウッディーな印象も感じさせる。そして長い余韻には、ほろ苦さ、微かな薫香、香木の香り、ココナッツミルクのような濃厚な甘みが含まれている。「飲み終わって数時間が経っても、まだ続いているような印象。本当に長くて大きい余韻です」と福與氏は語る。

前例のない商品をつくり上げるため、福與氏が率いるサントリーのブレンダーチームはすべての長期熟成樽をもれなくチェックした。サントリーはこれまで2005年、2007年、2011年に「山崎50年」を発売している。だが50年と55年の違いは、想像よりもはるかに大きかったと福與氏は振り返る。

「5年違うだけで完全に別物です。香味の複雑さがまったく異なり、香りの複雑さや力強さは傑出しています。このウイスキーをつくり上げる過程で、ブレンダーチーム全体の成長を実感しました」

 

原酒不足の時代だからこそ

 

サントリースピリッツのウイスキー事業部長を務める鳥井憲護氏が、このウイスキーを発売した動機について思いを語ってくれた。

「特に五輪を意識した商品ではありません。昨今のウイスキーブームで原酒供給の制約を余儀なくされ、日本最古のモルトウイスキー蒸溜所としての情報発信不足を危惧していました。こんな時期だからこそ山崎らしい商品を開発する必要があると考え、現時点で可能な最高酒齢を目指したのです」

1本300万円のウイスキーゆえ、パッケージも特別だ。国産クリスタル製ボトルには筆文字の「山崎」を1本ずつ丁寧に彫り込み、酒齢の「55」部分に金粉と漆を施している。手漉きの越前和紙で包んだ口部には、京都の伝統工芸である組紐もあしらった。特製の木箱には、駿河漆加工を施した国産のミズナラ材を使用している。

日本国内に住んでいる人なら、抽選応募サイトから購入権の抽選に応募できる。申し込み期間は、2020年2月5日(水)午前9時00分から2月14日(金)午前8時59分まで。先着順ではなく、厳正な抽選によって当選者が決定する。ウイスキーは6月30日(火)に発売され、購入者に順次発送される予定だ。

 

サントリーシングルモルトウイスキー「山崎55年」

 
容量:700ml
希望小売価格:300万円
アルコール度数:46%
発売数量:100本
発売日:2020年6月30日(火)以降順次発送
応募サイト:http://suntory.jp/YAMAZAKI55/
応募期間:2020年2月5日(水)午前9時00分~2月14日(金)午前8時59分
※先着順ではありません。抽選の上、当選者の方にはキャンペーン事務局よりご連絡いたします。
応募資格:日本国内にお住まいの20歳以上の方で、かつ商品のお届け先が日本国内の方に限定。
※サントリーグループの社員および関係者は応募できません。

 

サントリーシングルモルトウイスキー「山崎」のブランドサイトはこちらから。

 

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