甘い誘惑

February 28, 2013

チョコレートとウイスキーは多くの人々にとって伝統的な組み合わせだ。バルヴェニーとチョコレートのマリアージュに注目する。

Report:ロブ・アランソン

私たちはカカオの含有量が高く、色がより黒いチョコレートは、夜が更けてからの「贅沢な飲物」と絶妙なマリアージュを成す事を知っている。

バルヴェニーもその例外ではない。
同社はサー・ハンス・スローン・チョコレート・カンパニーの主任ショコラティエ、ビル・マカリックと協力して、ロンドンの高名な紳士服店のギーブス&ホークスの顧客のために、チョコレートとウイスキーのテイスティング会を開催した。

高級手作りチョコレートとウイスキーには非常に多くの類似点があり、また、作っている途中での細部へのこだわりや、製作過程の1段階ごとに手仕事の要素があることを忘れるわけにはいかない。
『ウイスキーマガジン』としては今回、チョコレート作りを支える知恵と、なぜビルがウイスキーとの共同作業へ関心を向けることになったのかについて、より詳しく話を訊きたいと考えた。

ビルが父の跡を追って米国のフィラデルフィアで家業の肉屋を継がなかったことは、私たちにとっては幸運だった。29年間チョコレートに携わり、その結果世界中を回り、ハロッズで働いた後、アジア、オーストラリア、ドバイの最高級ホテルで働くことになった。


ビルはチョコレートとウイスキーを組み合わせることの真の提唱者のひとりだ。しかしこのマリアージュに着手したとき、すでに決まった考えがあったわけではない。

彼は次のように述べる。「私は、これまでスピリッツを含むたくさんのアルコール飲料を試しましたが、この考えの形が見えてきたのは、バルヴェニーの人々が共同企画を持ちかけてきた時です。それまで、私にとってウイスキーはいつも何か特別の機会に飲むものでしたが、今では、もっと飲むようになっていますし、感触、質感、アロマを含めてチョコレートと類似するものが多くあると思います」

「チョコレートはウイスキーへの素晴らしい架け橋です。両方が結びつくと、チョコレートがウイスキーの強烈なエッジを取り去り、花のような香りをより強めます。どちらも優位に立とうとすることなく協調するのです」

ビルは続ける。「この企画は興味深い展開をしました。非常にたくさんの可能性があるのは明白です」

ウイスキー愛好者となったビルは、チョコレートを媒体としてウイスキーをもっとうまく普及できると考えている。

「ウイスキーが嫌いだ、という人に出会うと、少しのチョコレートを一緒に試してもらいます。するとチョコレートとウイスキーが互いに美味しさを高めあうことに、みなさん驚きますね」

「感動的な口触りになり、舌にべとべとした感じやまとわりつく感じを一切残しません。完全に洗い流すようで、満足感が得られます」

バルヴェニー10年とチョコレートとの相性は申し分ありませんでした。私に言わせれば、この組み合わせは、フレーバーと口触りが完璧なバランスを取っているのです」

「私は、ウイスキーの美味しさを増すのに役立てようとするときに、フルーツとプラムの特徴をたくさんそのチョコレートに留めるよう心がけます。ウイスキーを直接チョコレートに混ぜ込むと、フレーバーの出方がパリッとした感触を伴い、すっきりしてきちっとした感じを保たせることができるのです。そのおかげでウイスキーのいろいろな特徴がバターのようなべとべとした感触に邪魔されずに次々と現れます

教師としての役割はテイスティングクラスを開いて人々に働きかけることで終わらない。家族にとって喜ばしいことに、彼は自分の仕事を家に持ち帰る、つまり、子供たちにチョコレートを持って帰るのだ。

「子供たちが私の仕事を見られるように、家でもオフィスでも、チョコレートのテイスティングをたくさんします。彼らはテイスティングが上手になり、いくつかの特徴も指摘できるようになりましたよ」

材料の調達に関しては、ビルもまたディスティラーたちと似たような試練と困難を抱えている。

「材料の品質は厳しく管理しています。たしかにウイスキーの場合は、大麦畑を見渡すことができます。でもチョコレートの場合は、ほとんどが赤道の南北、20度の範囲で育つのです」

「現在、自分の使用するカカオは生産農家から直接買い付けており、そのため発酵と乾燥の工程をきちんと管理できます。少しリスクがありますが、生産者との関係を築き始めています! 彼らに出来上がったチョコレートを送ったこともあります。それは、彼らが一度も見たことがないようなものでした。通常カカオは、飲料用に、あるいは香味料理に使われているからです」

「ウイスキーとチョコレートとの間には私を感動させ続ける類似点があり、今やそれゆえにウイスキーこそ私好みのスピリッツです」

「ある時点では、是非バレルを使って私のカカオ・バターを貯蔵し、そこで何が起こるのかをみたいと思っています。今それができない唯一の理由は時間がないからです。でも、大きなことをする時間を作る予定です」

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