ベッカムのウイスキー【後半/全2回】

January 22, 2015

デイビッド・ベッカムが新しいウイスキードリンカーに向けて提案するのはシングルグレーンウイスキー。では舌の肥えたウイスキーファンを魅了することができるのだろうか?ベッカムはその点にも自信があるようだ。ロングインタビューの後半をお届けする。

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セレブとのコラボレーションとなれば、そのウイスキーの品質に関して疑いを抱く愛好家がかなりいることは明らかだ。従って、ウイスキーはどう飲むべきかという「決まり事」のようなものも加わる上に、多くのエントリー層にとって難しそうなグレーンウイスキーというカテゴリーとなれば、ベッカムは「これらの難題に挑戦する」準備ができているのだろうか − 特に、懐疑論者たちに対して?

その質問に、「それこそが、新しいウイスキーファンを増やすことができるとディアジオ社が僕に期待したポイントだと思うよ」と彼は微笑む。

デイビッド・ベッカム(以下DB):僕ならウイスキー界に別の種類の人々…これまでウイスキーを手に取ったことのない人々を連れて来ることができると期待されている。でも最初にこのウイスキーのサンプルを僕の名前を出さずに専門家や批評家に送って、彼らがこれをどう思うか尋ねてみた。僕が関与していることで彼らの判断が曇ってしまうかもしれないからね。結果として素晴らしい感想をもらった。それを聞いたときには、本当に宝物を作り上げたような気分になったよ。

ウイスキーマガジン(以下WM)では、初めてウイスキーの世界にやって来た人に、どのような飲み方を勧めますか? あなたが考案した何か特別な飲み方はありますか?

DB:引退してから発見したんだけど、ウイスキーを飲むということは個人の好みが全てだと思う。飲み方や、いつ飲んだらベストか、人にアドバイスすることもできるだろうが、結局はその人の好み次第だ。個人的には、ストレートで飲むのが好きだよ。最高のフレーバーが味わえる気がするからね。だが、家でも試すことができる5種類のカクテルを考案したから、ストレートかオンザロックかの選択だけじゃなく、いろいろ試してほしい。「クラブマン(下記参照)」は僕のお気に入りのカクテルだね。」

WM:では、家でそれらを試したのですか?

DB:もちろん!ヴィクトリアもね。彼女は特にウイスキードリンカーというわけではないけど、ヘイグ・クラブを味わったときは、『本当に美味しいわ!』って。普段ウイスキーを飲まない人からそういう反応があることはとても嬉しいよ。

WM:昔のチームメイトで誰か試した人はいますか?

DB:まだ誰も。隠していたんだ(笑)。でも、もう発売したから、誰かが1本くれって電話してくるのを待っているよ。

予定の時間が終わりに近付くにつれて、私はデイビッド・ベッカムが彼自身のブランドだけでなくウイスキーのことになると実に謙虚で、それでいて熱心なことに驚かされた。
前夜のディナーの席で、私たちは世界中のウイスキー識者が高く評価している伝説的な名前を幾つか挙げて話し合った − ポートエレンブローラ、そして軽井沢 − 全て大きな個性を持っている。そういった巨人たちの名前が出ると、彼の目に強い輝きが宿ることに気付いた − はっきり言えば、熱烈なモルトファンに共通した眼差しだ。

WM:では、もちろんウイスキーに関してのことなのですが、あなたは今後はどうされるご予定ですか? 本気でウイスキーを探求し始めるつもりなのですか?

DB:確実に、イエスだね。ディアジオ社との関係は短いものではない。長期計画…それも特に成功を期待している計画で、僕を全く新たな世界に誘ってくれるものなんだ。自分たちがつくっているウイスキーについて熟知している人たちと話し、次に何を試したらよいかを示してもらうのは実に素晴らしいことだよ。

WM:当然ながら、お気付きでしょうね、ウイスキーの世界は深く入ってゆけばゆくほど、欲しいもののリストが増え、しかも高価になりがちだということを…。

DB:知っているよ(笑)。そこが心配なところなんだ。ヴィクトリアには手に入れたボトルの値段を言わないつもりだよ…。

ヘイグ・クラブのカクテル: ザ・クラブマン
「ザ・クラブマン」はこのシングルグレーンウイスキーのスパイシーでフルーティな香りを発展させるために考案された。
作り方は、極めて簡単。
ヘイグ・クラブ 50ml
スパークリングアップルソーダ35ml
ジンジャービターズ 6滴

①ロックグラスにクラッシュアイスを満たし、ウイスキーとアップルソーダを注ぐ。
②ビターズを振り加える。
③ショウガのスライスを飾る。

ヘイグ・クラブは日本国内では免税店のみで販売される。飛行機を利用する際には、ぜひご確認を。ベッカムというスーパースターのネームバリューだけでなく、とても興味深いシングルグレーンウイスキーであることは明らかだ。

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