アイコンズ・オブ・ウイスキー 2016【前半/全2回】

March 25, 2016

今年で第14回目を迎えた「アイコンズ・オブ・ウイスキー(以下IOW)」は、ウイスキーマガジンを発行する英国パラグラフ・パブリッシング社が毎年開催する世界的なコンテスト。「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」がウイスキーそのものを評価するのに対し、IOWは世界のウイスキー業界に著しい貢献を果たしたメーカー、蒸溜所、人物、小売店などを表彰する。栄えある2016年の受賞者を2回に分けてご紹介。
 


 

ディスティラー・オブ・ザ・イヤー

ヘヴンヒルブランズ(アメリカ)

ヘヴンヒルブランズは、バーボンやプレミアムなアメリカンウイスキーを生産する家族経営のメーカーである。2014年、社名とロゴに「ブランズ」の文字を追加して、ウイスキーメーカーから蒸溜酒のトップメーカーへと進化した。エヴァン・ウィリアムス、エライジャ・クレイグ、パーカーズ・ヘリテージ・コレクションなどの世界的に有名なバーボンを始め、幅広いスピリッツとリキュールを生産。 シャピラ家とビーム家の協働によって家族経営ならではの利点と独立性を保ちながら、高品質なスピリッツを生産して世界中のマーケットに届けている。
 
入賞
ニッカウヰスキー(日本)
トマーティン蒸溜所(スコットランド)


ブランドイノベーター・オブ・ザ・イヤー

ダグラスレイン(スコットランド)

スコッチウイスキーを専門とする独立系ボトラーとして知られるダグラスレインは、スコットランド各地から厳選した極めて希少な最高品質のウイスキーを発売している。ひと目でそれとわかるラベルやパッケージデザインでブランドの革新性を示しながら、着色や冷却濾過を一切おこなわず、高いアルコール度数でボトリング。個性的なサブブランドを展開して「個性、魅力、最高品質」によって定義されたポートフォリオを形成している。各ブランドのストーリーは同社のウェブサイトで紹介されている。
 
入賞
コンパスボックス(イングランド)
ジムビーム(アメリカ)


ビジターアトラクション・オブ・ザ・イヤー

ティーリング・ウイスキー・カンパニー(アイルランド)

クーリー蒸溜所の従業員だったジャック・ティーリング氏とアレックス・チャスコ氏が、2015年6月にダブリンのリバティーズ地区で設立。ダブリンでは125年ぶりのウイスキー蒸溜所という話題性も手伝って、2015年12月までの半年間で25,000人もの来場者を迎えた。営業時間は9:30〜17:30で年中無休。生産プロセスを見学するガイドツアーでは、ウイスキーと禁酒法前夜のカクテルが試飲できる。さらに多彩なシングルモルトを味わえる「トリニティー」にアップグレードも可能。
 
入賞
アードベッグ蒸溜所(スコットランド)
エヴァン・ウィリアムス・バーボン・エクスペリエンス(アメリカ)


クラフトプロデューサー・オブ・ザ・イヤー

ウエストランド蒸溜所(アメリカ)

ワシントン州シアトルで2010年に設立されたウエストランド蒸溜所は、アメリカ西海岸北部でアメリカンシングルモルトウイスキーを生産する小規模メーカーだ。コアとなる製品はアメリカンシングルモルト、ピーテッドモルト、シェリーウッドの3種類で、シングルモルトウイスキーの世界にアメリカから新風を送り込んでいる。ソードー地区にほど近い敷地面積1,200平米の蒸溜所では週4日の蒸溜所ツアーを開催しており、アメリカンシングルモルトウイスキーに関するあらゆる情報が入手できる。
 
入賞
バリンダロッホ蒸溜所(スコットランド)
スティルウォーターズ蒸溜所(カナダ)


マスターディスティラー/マスターブレンダー・オブ・ザ・イヤー

ビル・ラムズデン/ザ・グレンモーレンジィ・カンパニー
(スコットランド)

ザ・グレンモーレンジィ・カンパニーのウイスキーづくりを先導するビル・ラムズデン氏は、グレンモーレンジィとアードベッグの2つの蒸溜所を管轄している。両ブランドで意外性のある新商品を開発しながら、コアな製品用のカスクを厳しく選定し、その革新性と品質を高く評価されるスコッチウイスキー界のトップランナーだ。モルトウイスキー業界きってのパイオニアであり、最上のオークを求めて世界中を飛び回りながら、世界的なアワードに輝く数々の傑作ウイスキーを世に送り出している。
 
入賞
アンディ・ワッツ(ジェームズ・セジウィック蒸溜所)
ハーレン・ウィートリー(バッファロートレース蒸溜所)


ディスティラリーマネージャー・オブ・ザ・イヤー

西川浩一/ニッカウヰスキー北海道工場(余市蒸溜所)長
(日本)

1957年に京都で生まれた西川浩一氏は、京都大学で農学を修めた後、1982年にニッカウヰスキー株式会社に入社。長いキャリアの中で西宮工場、余市蒸溜所、宮城峡蒸溜所、スコットランドのベン・ネヴィス蒸溜所などのさまざまな工場でウイスキーの生産および品質の管理に携わってきた。2015年より、ニッカウヰスキー北海道工場(余市蒸溜所)の工場長を努めている。
 
入賞
ニール・キャメロン(グレンタレット蒸溜所)
トッド・ロウ(ウッドフォードリザーブ蒸溜所)

【受賞のコメント】
ニッカウヰスキー株式会社 北海道工場余市蒸溜所 西川 浩一


このたび名誉ある賞を頂戴し、大変光栄に存じます。
「本物のウイスキーをより多くの人に飲んでもらいたい」という創業者竹鶴政孝の想いを常に持ち、歩み続けてきたことが、多くの皆様にご評価をいただけた結果だと信じます。
創業者をはじめとする多くの先人の功績に感謝をしつつ、さらなる精進を重ね、世界中の皆様に喜んでいただけるウイスキーをつくり続けることをお約束いたします。


アメリカンウイスキー・ブランド・アンバサダー・オブ・ザ・イヤー

バーニー・ラバーズ/ヘヴンヒルブランズ(アメリカ)

アメリカンウイスキーのブランドアンバサダーとして、バーニー・ラバーズ氏は消費者コミュニケーションと貿易業務を通じてヘヴンヒルが擁するアメリカンウイスキーコレクションの価値を高めている。傘下のブランドを、歴史、生産、法規、水準などの情報を交えながら伝道するのが彼の責務。特に力を注いでいるのは、ヘヴンヒルが誇るエヴァン・ウィリアムス・シングル・バレル・ヴィンテージやエライジャ・クレイグなどの特別なバーボン。ヘヴンヒル入社前は7年間にわたって仕入先で研修や教育プログラムに関わり、今も「ウイスキー教授」としてその名を知られている。
 
入賞
ジェームズ・ゴギン(マーヴェリック・ドリンクス)


アイリッシュウイスキー・ブランド・アンバサダー・オブ・ザ・イヤー

ジョン・クイン/タラモアデュー(アイルランド)

ジョン・クイン氏がタラモアデューで初めてのグローバル・ブランド・アンバサダーに任命されたのは2011年3月のこと。以来、世界中を飛び回りながらタラモアデューのブランドや品質に関する認知度を高めるのが彼の職務である。代表的なバーのスタッフ、ブランドマネージャー、消費者と緊密に連絡を取りながら、アメリカ、イギリス、フランス、チェコ、ブルガリア、スカンジナビア、アイルランドなどの主要ウイスキー市場で現地アンバサダーとチームを組み、入社35年の知見と情熱を大いに活かしている。
 
入賞
ティム・ハーリヒー(タラモアデュー)


 

 

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