アイコンズ・オブ・ウイスキー 2024【第3回/全3回】
「アイコンズ・オブ・ウイスキー(以下IOW)」は、ウイスキー業界に貢献して貢献してきた人々への祝福。ノミネートから地域ごとの最高賞を選び、最終的な投票で今年の世界一を決める。最終回となる第3回は、卓越した英知や表現力でウイスキーの価値を高めてくれたチームや個人をご紹介。
マーケティングチーム・ザ・イヤー
ジェムソン/アイルランドチーム(アイルランド)
アイリッシュウイスキーを代表するブランドでありながら、ジェムソン・アイルランドのマーケティングチームはメインストリームでの成功を当然視していない。ジェムソンが輝けるニッチ市場を見い出すため、チームは新進気鋭のアイルランド人ミュージシャンとコラボし、地元の才能溢れる表現者たちをサポートしながら、文化的なつながりの形成に努めてきた。クリエイティブなストーリーテリングを通じて、ジェムソンは人々をひとつにするドリンクであることを訴求。その結果、アイルランド国内で記録的な売上を記録した。
入賞
プロダクションチーム・オブ・ザ・イヤー
ジュラ蒸溜所チーム(スコットランド)
交通手段が乏しく、人口も少ない。ジュラ蒸溜所の生産チームは、そんなスコットランドの離島でウイスキーを生産する難しさについて率直に語っている。だがそんな環境の不利をものともせずに、蒸溜所は成長している。たとえば地元のアーティストと共同制作した「アイランダーズ・エクスプレッションズ」シリーズは、ウイスキーで島の暮らしのストーリーを紹介するアプローチを展開。ウイスキーファンにとって幸福な説得力に満ちている。
入賞
セールスチーム・ザ・イヤー
サリヴァンズコーヴ/蒸溜所チーム(オーストラリア)
サリヴァンズコーヴのセールスチームは、品質を何よりも重視するというブランドの哲学を決して忘れない。消費者が購入したボトルを開けて楽しむ瞬間や、それ以降の新たな情報供給においても細やかなカスタマーサポートを提供する。厳選されたテイスティングノートを用意したり、見込み客や既存客向けの特別なテイスティングイベントを開催したりするのも、セールスチームの取り組みの一部である。
入賞
ビジターアトラクションチーム・オブ・ザ・イヤー
ティーリング・ウイスキー蒸溜所チーム(アイルランド)
ティーリング・ウイスキー蒸溜所は、ビジターアトラクションチームを成長させるためにさまざまなトレーニングを導入している。スキルを向上させながらやる気も引き出すためのサポートやリソースも十分だ。個々人の成長にフォーカスする教育プロセスは、ティーリングの理念を実践するために欠かせない要素。ビジターアトラクションチーム全体で、知識が絶え間なく交換されていることも意味する。このような投資に対する見返りとして、チームは蒸溜所を近隣や遠方からの訪問者に公開し、たくさんの人々とつながることに大きな誇りを持っている。
入賞
サスティナビリティオフィサー・オブ・ザ・イヤー
メラニー・グーリー/ウエストランド蒸溜所(アメリカ)
ウエストランドに入社した2019年以来、メラニー・グーリーは蒸溜所のサステナビリティを担う人物として活躍してきた。ウエストランドはすでに環境問題への真摯な取り組みで知られているが、昨年はグーリーの主導で廃水タンクの導入、穀物袋のリサイクルプログラム、埋立地の削減に向けた廃棄物監査などを新たに実施。サステナブルなウエストランドへの信頼をさらに高めている。
入賞
ビジターアトラクションマネージャー・オブ・ザ・イヤー
ディー・フォード/エンジェルズ・エンヴィー蒸溜所(アメリカ)
ケンタッキー州のエンジェルズ・エンヴィー蒸溜所で、7年間にわたって成長するブランドのビジター体験を強化してきたディー・フォード。その努力の結果、エンジェルズ・エンヴィーは州内でもトップクラスのビジター体験が得られる場所として知られるようになった。フォードは収容人数を倍増させる改革を指揮し、昨年だけで164,000人以上の来訪者を迎えている。
入賞
ウェアハウスマネージャー・オブ・ザ・イヤー
スコット・セル/ウエストランド蒸溜所(アメリカ)
米国ワシントン州のウエストランド蒸溜所は、スカジットバレーで貯蔵庫を管理している。そのマネージャーとして働くスコット・セルは、ラック式の貯蔵庫内で保管されているウイスキー熟成樽の守護者だ。効率的かつ着実に仕事をこなしながら、敷地内のさまざまな管理も担当する。ボトリングの監督や、ウエストランド農園の管理もセルの仕事だ。ウエストランドは自然サイクルの循環を重視しており、ヤギが住む農場にはブラックベリーを栽培中。将来の蒸溜所に使用する穀物の有機栽培も輪作で試行されている。
入賞
コミュニケーター・オブ・ザ・イヤー
バリー・チャンドラー/Stories & Sips(アイルランド)
自分自身を「ウイスキーに取り憑かれたアイルランド人」と表現するバリー・チャンドラーは、独立系ウイスキーコミュニケーターという職業にぴったりな人物である。自身のサイト「Stories & Sips」を通じてアイリッシュウイスキーの楽しさを分かち合い、ウイスキー愛好家たちのコミュニティを築いてきた。放送、旅行、クラブ限定ボトリングなどを通じて、ウイスキーの魅力を伝えている。
入賞
ブランド&パッケージング・デザインエージェンシー・オブ・ザ・イヤー
JDO(イングランド)
国際的に活躍するクリエイティブエージェンシーのJDOは、この1年でさまざまな有名ブランドのパッケージデザインを手掛けている。ウイスキーの世界で特筆すべき事例は、グレンリベットのリニュアールだ。最近はRTDのカクテル商品「ツイスト&ミックス」のシリーズもデザイン。さらにはカナディアンウイスキーのJPワイザーによる2023年のデザイン刷新も担当し、バーボンのジェファーソンズとは「ジェファーソンズオーシャン」と「ジェファーソンズトロピックス」のボトルデザインも手掛けている。
入賞
デジタルエージェンシー・オブ・ザ・イヤー
ノースポート(スコットランド)
ノースポートは、スコットランドのエルギンにあるデジタルエージェンシー。ウイスキー業界でもさまざまな作品が高い評価を得ている。近年ではダルモアとのコラボレーションで「ダルモア・カスク・キュレーション・シリーズ」を紹介する一連の動画を制作。ダルモアのコレクションを充実させるクリエイティブなビデオシリーズに結実した。ノースポートとゴードン&マクファイルの提携関係は10年に及び、ウイスキー業界とも強いつながりがある。
入賞
PRエージェンシー・オブ・ザ・イヤー
ザ・ストーリー(イングランド)
ザ・ストーリーは、ウイスキーPRのエキスパートとしてディアジオ傘下のシングルモルトやブレンデッドウイスキーを12年間にわたってサポートしてきた。市場の課題を認識し、将来を見据えたキャンペーンに昇華させることを得意としている。ディアジオが2023年に発売した特別商品のために、ザ・ストーリーはアーティストたちとのコラボを展開。さらにはスコッチウイスキーをさまざまな視点で探求する「Elusive Expressions Cocktails and Serves」も制作した。
入賞
地区別の候補者も含めたアイコンズ・オブ・ウイスキーの全容はこちらから。