168号 テイスティングコメント 【前半/全2回】

September 3, 2020

from Issue 168

テイスティング:ロブ・アランソン、ベッキー・パスキン


世界のウイスキー業界を代表する評論家が、最近発売された多彩なカテゴリーのボトルを試飲して、詳細なテイスティングノートを作成した。今回紹介する中にも、きっとあなたを魅了する銘酒があるだろう。

※参考価格は主に英国で販売された実勢価格を表示しており、日本国内では為替の変動や入手経路によって価格が大幅に変わる場合がございます。あらかじめご了承いただき、あくまで目安としてご覧ください。


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Whisky Magazine ではウイスキー専門家、作家、愛飲家によるテイスティングを毎号開催し、その情報を皆さんにお届けしています。

およそ700種類に及ぶ世界中から集められたウイスキーのテイスティングノートや情報はこちらからご覧いただけます。現在は多くのテイスティングコメントを皆様にお届けするために、バッチ(製造年)違いである同一商品のテイスティングも掲載しておりますので、現在発売されているウイスキーの評価とは限りません。予めご了承ください。


推奨ボトル

テイスターが判定したポイントの規定によってSilver Recommended(銀賞)もしくは Gold Editors Choice(金賞)が毎号決定します。

※テイスティングの対象ボトルには、日本国内では入手ができない銘柄も含まれますのであらかじめご了承ください。なおテイスティングノートの内容は、あくまでテイスティングをした評論家の個人的な感想です。

エライジャ・クレイグ バレルプルーフ ストレートバーボン    63.6%

  • 蒸溜所名: ヘヴン・ヒル蒸溜所
  • 地域: ケンタッキー
  • 価格帯: £181〜
  • 入手可能場所: 全世界

ロブ・アランソンSCORE9.4

香り
最初にアルコールの一撃があるものの、やがて香りは落ち着いて、シナモン、クローブ、ロースト唐辛子などの力強いスパイスを放った後で、爽やかなオーク香に行き着く。時間が経つにつれて、アップルパイやカスタードの匂いもしてくる。かすかなキャラメルとチョコレートソースも感じさせる。
チョコレートでコーティングしたピーナッツとレーズン。乾燥ココナッツ、ゴールデンシロップ、ターメリック漬けのオーツ麦。焼いたメープルシロップや、ベーコンのような肉っぽい味わいもかすかにある。バニラ風味をまとったコーヒーの粉。
フィニッシュ
盛大にフルーティーな後味が、レモンのような刺激と共に立ち上がる。スパイス香が流れ込んできて、しばらく滞まりながらゆっくりと消え失せてゆく。
コメント
ゆっくりと時間をかけて楽しみたいバーボン。馬たちが駆ける平原、どこまでも続く青い芝、白いフェンスなどの情景を思い浮かべながら。

ベッキー・パスキンSCORE8.5

香り
ダークラムを思わせるような香り。ねっとりとしたレーズン、乾燥ベリー、ペストリーのスパイスなどがたっぷりと積まれているような印象。糖蜜のトフィーとメープルシロップを、蒸したバニラ味のスポンジプディングにたっぷりとかけたような匂い。
分厚くねっとりとしたリッチな口当たりで、 モラス(糖蜜酒)、糖蜜、シナモン、ダークチョコレートなどの風味を想起させる。ストレートで飲むとかなり刺激が強い。水を入れると、乾燥モレローチェリー、ブラックベリー、カシスのようなフルーツ風味で唾液を誘う。
フィニッシュ
ダークな甘みを感じさせる後味。ふんだんなスパイスの余韻。
コメント
バーボン界のモンスター的な味わい。フレーバーのスペクトラムでいえば、黒い果皮のフルーツを代表とするダークな味わいを指向している。



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