ロンドン バーめぐり その2[全3回]

July 27, 2012

シリーズ第2回では、ロンドンのウイスキーシーン最先端のバーをさらにいくつかご紹介する。

The Coburg Bar(ザ・コバーグ・バー)

Connaught Hotel, Carlos Place, London W1K 2AL 電話:+44 (0) 20 7499 7070
時に忘れられたバー、さらに正確に言うと、1920年代のグラマラスでシックな浮かれ騒ぎの時代に連れ戻してくれるバー。ロンドン、メイフェアのザ・コノートにあるコバーグ・バーは浮き世の苦労を忘れるにはおそらく最適の場所だろう。ムードのある控えめな照明、特大の皮張り椅子、そして1日を通してパターンを変えるバックミュージックが禁酒法以前の雰囲気を醸し出している。
ウイスキーリストは申し分ない。稀少なポートエレンが、1937年製カナディアンクラブや絶えて久しく名前を聞かない古めかしいアンティークバーボンの隣に並んでいる。特に気が塞ぐときには、いにしえのバーボン、ウォーターフィル&フレイザー18年モノを使った素晴らしい「完璧な」マンハッタンを注文するといい。

The Lexington Bourbon Bar(ザ・レキシントン・バーボン・バー)

96-98 Pentonville Road, London N1 9JB 電話:+44 (0) 20 7837 5371
ロンドン初で最も専門的なバーボンバー。ペントンビル・ロードを北に進むと、エンジェル駅に着く手前の角に巨大なパブ兼ミュージックホール、ザ・レキシントンがある。ここの2階は話題のパフォーマーが出演するちょっとしたライブ会場になっているが、1階はバーボンやライなどのアメリカンウイスキーが主役で、スモールバッチ、シングルバレル、そしてエクスペリメンタル・ウイスキーの輸入モノが得意分野だ。
さらに、なみなみと注がれた1杯のジョージ・T・スタッグが15ポンドを少し上回るだけの値段なのもロンドンではおそらくここだけだろう。

The Lonsdale(ザ・ロンズデール)

48 Lonsdale Road, London W11 2DE 電話:+44 (0) 20 7727 4080
外部からの出店とはいえ、おしゃれなウェストロンドンにすっかり溶け込んでいるカクテルバー/レストラン。ロンドンでも最高の部類に入るウイスキーリストまで作ってしまった努力には頭が下がる。
ここのスタッフは膨大な種類のクラシックなウイスキーカクテルを自慢にしているが、パピー・ヴァン・ウィンクル23年や響17年のような最高級の逸品があっては、風味豊かなメーカーズマークベースのロレットレモネードにたどり着く前に、グレンケアングラスを手放せなくなってしまいそうだ。

Salt Bar & Dining Room(ソルト・バー&ダイニング・ルーム)

82 Seymour Street, London W2 2JB 電話:+44 (0) 20 7402 1155
2006年にウイスキーマガジンで「ベスト・ウイスキー・バー・オブ・ザ・ワールド」に輝いたソルト・バーはオープン以来、ロンドンで楽しむことができるウイスキーの範囲拡大に貢献してきた。
増え続けるウイスキーリストは世界各地からのおよそ220種に及び、グレンモーレンジィ1977年やボトラーズのグレンリベット1967年といったハイランドとスペイサイドの豊富な品揃えが呼び物だ。スタッフが自ら厳選して特別にボトリングした3種類の「ハウス・シングルモルト」も、入念に熟成されたグレーンウイスキーの隣に鎮座している。訪れる際には十分な時間的余裕をみておこう。必ず報われるはずだ。

SMWS(ザ・スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ)

19 Greville Street London EC1N 8SQ 電話:+44 (0) 20 7831 4447
ウイスキー愛好クラブというとマニアックになりがちだが、SMWS(ザ・スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ)は違う。1980年代初期から活動している有名なウイスキー協会であり、ハットン・ガーデンに近いこのバーは落ち着いた仕事帰りの1杯に最適な場所としてロンドンで最も人気があるウイスキーバーのひとつだ。ウイスキーについて何か知っていてもいなくても、これまでの知識はドアの外に置いておいて、経験豊富なバーテンダーがいざなう発見の旅に身を任せてみる価値は十分にある。強い風味のシェリー樽仕上げアードベッグから風変わりなポートワイン風味のペンダーリンや驚くほど複雑なグレーンウイスキーまで、並外れたウイスキーを味わったときのあのニヤリとした笑みをもたらす何かが必ず見つかるだろう。

The Whistling Shop(ザ・ウィスリング・ショップ)

63 Worship Street, London EC2A 2DU 電話:+44 (0) 20 7247 0015。
ディッケンズ風の安酒場という背景で科学と伝統が出会うところ。「モレキュラー・ミクソロジー」という言葉が広く使われ始めて数年になるが、アルコール飲料界の革新的バーテンダーの集まり「フルイド・ムーブメント」が開いたこのバーはその言葉の意味をさらに進めて、科学に挑戦するようなアルコール飲料を開発している。
ウイスキーリストは少数だが厳選され、地域や熟成期間、様式ではなく風味の特性に基づいている。マネージャーのライアン・チェティアワーダナは熟成ウイスキーをベースにしたカクテルも数多く考案していて、カウンターの後ろの棚に特注のミニチュア樽に入って置かれている。コンパスボックス社との刺激的な提携から生まれた独自のハウスブレンドも、代表的なカクテルのザ・パナシーア(「万能薬」)に完璧に生かされている。さぁ皆さん、白衣の用意はいいですか……?

シリーズ第3回、最終回は間もなく掲載。

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