ウイスキーライヴ台北2012 レポート

September 24, 2012

 

9月22と23日の二日間に渡り開催された「ウイスキーライヴTaipei 2012」。ウイスキーマガジンでは現地にスタッフを派遣し、急成長を遂げている台湾のウイスキー市場の「今」に迫った。

天高くそびえる摩天楼にして台北の象徴「台北101」に隣接する大規模イベント会場でウイスキーライヴTaipeiは開催された。この日のために世界各地から30人以上のパネラーが集結。オーガナイザーのエリック・ホワン氏による開会の挨拶とともに、今回で4回目となる同イベントが盛大に幕を開けた。

 

サッカーのフィールドほどの面積の会場に集まったブランドはおよそ60ブランド。大小様々なブースが並ぶ中、非常に作り込まれたブースの数々に目を奪われる。アードベッグブースではお馴染みの「アードベッグ・チョッパー」を展示し写真を撮影してくれるサービスを実施しているほか、シングルトンは「VIPラウンジ」を設置し、騒がしい会場から一歩隔てた静かでラグジュアリーな空間を提供、マッカランは会場内に「小さなマッカラン」を建てプレミアムテイスティングルームを設けるなど、各ブランドのこだわりと趣向を感じさせてくれる。このような見た目にも楽しい造形はこのウイスキーライヴTaipeiが「ただウイスキーを飲みに行くイベント」というだけでなく、みんなで楽しくお酒を飲むという極めて台湾的な文化に基づいたウイスキーイベントだという証明であろう。そのため会場の作り込みにもイベントに花を添えるキャンペーンガールたちにもエンターテイメント的要素を随所に垣間見ることができる。

参加者も台湾各地からバスで乗り付ける中高年の団体ツアー客から、成人したばかりの年頃に見える若いカップルまで、成長著しい台湾マーケットそのものを表しているように幅広いファン層だった。そこには比較的マニア向けのイベントとして捉えられがちな日本のウイスキーイベントとは明らかに違う「何か」が感じられた。

また、台湾の人々のウイスキーの知識に対する情熱も並々ならぬものがある。

各ブースで催されるセミナーはどの回もほとんどが満席で、前のセミナーが実施されている時間からすでに次のセミナーに参加するために列を作っていた。ウイスキーマガジン・ジャパン編集長であるデイヴ・ブルームもこの日はタリスカーのセミナーを受け持ち、一日に5回もの講演をこなした。初日の夜に話を聞く機会があったが、「めまぐるしい一日だったので、あっという間に時間が過ぎたよ。」とさすがに台湾のウイスキーファンの熱に圧倒された様子だった。

 

一方気になる試飲アイテムは台湾に代理店がある大手メーカーのシングルモルトを中心に、ビールやカクテル、ラムやウォッカなどのスピリッツと多種多様。華やかなカクテルブースでは比較的若いグループの来場者たちが楽しそうに様々なカクテルを飲んでいた。ウイスキーブースの前ではじっくりと香りを嗅ぎ、グラスを回し、味わいを確かめるようなファンの姿も目立った。真剣にテイスティングした後、一緒に来た友人と乾杯して語らいながらウイスキーを嗜む姿も多く見られた。この国では乾杯は礼儀であって、酒は仲間と楽しく飲むものだという文化の存在を強く感じた一幕だ。

その他では、会場でボトルを購入する人の姿が多く目立った。台湾では酒類販売の認可が取りづらく、街中で酒小売店を見つけるのが困難なため、このようなイベントは自らの好きなボトルを購入したり、コレクションを増やすにはうってつけの機会なのだ。スイートでリッチなスタイルのウイスキーを好む国民性からテイスティングではマッカラングレンドロナックのブースが特に賑わっていたが、その中でも顕著だったのが会場早々に来場者が殺到した軽井沢のブース。販売も行っていたこのブースでは1本数万円するようなボトルが次々と売れていく。その様はまるでこの国のウイスキー市場のエネルギーを体現しているかのようだった。

 

また同時にウイスキーマガジン・ジャパンでは会場を回り来台中の多くのパネラーにライヴの感想や台湾市場について個別に取材を行った。蒸溜所関係者、パネラーの生の声は後日続編記事としてお伝えするのでご期待いただきたい。

今やアジアでも屈指のウイスキー大国となり、日本とは異なるアプローチで確実にファンを増やし市場を拡大させてきている台湾。この国の動向からはまだしばらく目が離せなくなりそうだ。

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