ウイスキー用語集―AからZまで【K・L】

April 7, 2014

今回のウイスキー用語特集では、KとL、とりわけ、「リンカーンカウンティ・プロセス」に関連する用語を取り上げる

ウイスキー用語集―AからZまで【H ・I・ J】

いつの時代にバーボンがバーボンではなくなったのだろうか? 誰に、そしてどこにその答えを求めるかで、答えは違ってくる。
例えば、ジャックダニエルやジョージ・ディッケルなどの「テネシーウイスキー」はバーボンの仲間からは外されている。理由は、山ほどあるバーボンの規定とは異なる道を進んだり、ケンタッキーでつくられるスピリッツよりさらによいものをと、別の工程を付け足したりしたことにある。

双方の製法の違いは、「リンカーンカウンティ・プロセス」と呼ばれるものである。
チャコール・メロウイングまたはリーチと呼ばれるリンカーンカウンティ・プロセスは、テネシーで何世代にも渡って守られてきた。起源は定かでないが、常に名前が挙がるのはアルフレッド・イートンである。彼は1800年代にこの地域で働いていたディスティラーだ。
この行程は、ニューメイクスピリッツ(アメリカではホワイトドッグと呼ばれる)を、破砕した炭で濾過するというものだ。これには細心の注意が必要とされる。樽に充填するのはその後だ。通常、メロウイングを確実に行うために、高品質のサトウカエデの木が使用される。上質の炭を得るために、製炭には途方もない労力が必要となる。

バーボンのボトルには時折「チャコール濾過」と表示されているが、これはまた別の工程である。バーボンでは、樽での熟成の後に濾過しているのだ。リンカーンカウンティ・プロセスでは、この濾過をウイスキーが樽に充填される前に行うので、フレーバーに直接影響を及ぼす。ウイスキーに滑らかさを与えるためであり、ファンは、ほかのどこの地域でも真似しようもない技法であると語る。

最近では、「テネシーウイスキーとは」という基準を設けるための論争が盛んになっている。

用語集―【K ・ L】

キーブ(Kieve)
マッシュタン(糖化槽)の昔のアイルランド語での呼び名。

キルン(Kiln)
麦芽乾燥塔。特徴的なパゴダ屋根を持つものが多い。モルトを乾燥させるための施設。ここで焚かれたピートがウイスキーにスモーキー、ピーティーな個性をもたらす。

キルニング(Kilning)
水に浸漬して発芽させた大麦を乾燥させる熱処理工程。直火で行う方法、熱風を吹き付ける方法など様々な方法が取られる。燃料も多様で、直火ではピートを使用する場合も含まれ、スピリッツにスモーキーなフレーバーを与える重要な工程である。

リーチング(Leaching)
一部のアメリカン・ウイスキーの生産工程で使用されるチャコール・メロウイングのアメリカでの呼び名。本文参照。

ローランド(Lowland)
スコットランドのウイスキー生産地域区分のひとつ。スコットランドの南部、グリーノックとスターリング、パースを結ぶ線の南側とされる。伝統的に3回蒸溜が行われており、穏やかでライトな特徴を持つ。

ローワイン(Low wines)
ウォッシュスチル(初溜釜)の中で最初の蒸溜が終わった後に作られた液体。アルコール度数は約20~30%である。スピリッツスチル(再溜釜)に入る前に、2回目の蒸溜ではじかれたスピリッツと合わされる。【H・I・J】の項参照。

ラインアーム(Lyne arm)
ポットスチルの尖端にあるアームで、スチルとコンデンサーとを結合する部分。ここを蒸気となったスピリッツが通過する。サイズ、位置、接続点の角度を変えると、スピリッツの通過量が変化するので、再液化されたスピリッツの味にも影響が出る。

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