スモーキーなウイスキーのファンなら、いつかはたどり着く反骨のシングルモルト。スーパー・ヘビリー・ピーテッド・ウイスキーの「オクトモア」から、待望の新エディション2種類が数量限定で発売される。

文:WMJ

 

スモーキーなシングルモルトウイスキーの聖地として知られるスコットランドのアイラ島。なかでも世界で一番ヘビーにピートを効かせたシングルモルトウイスキーが、ブルックラディ蒸溜所で生産される「オクトモア」だ。

ブルックラディ蒸溜所で生産されているシングルモルトウイスキーは現在3種類。ノンピーテッドの「ブルックラディ」、ヘビリー・ピーテッドの「ポートシャーロット」、そしてスーパー・ヘビリー・ピーテッドの「オクトモア」だ。可能な限りピートを焚き込んだモルトを、背の高いスチルで蒸溜しエレガントな酒質に仕上げた「オクトモア」は、誕生以来15年にわたってその力強いフレーバーが注目を集めてきた。あえて均一性を求めない革新的な実験精神で、エディションごとに異なる価値を提示している。

シングルモルトのマスタークラスを追求した「オクトモア 08」シリーズ発売から1年、待望の新エディション「オクトモア 09.1 スコティッシュ・バーレイ」が、2019年2月4日から発売される。これは2011年に収穫された100%スコットランド産コンチェルト種の大麦を2012年に蒸留し、全期間をファーストフィルのアメリカンウイスキー樽で熟成したもの。5年熟成、フェノール値156ppm、アルコール度数59.1%という数値はすべて型破りだが、味わってみればその洗練された見事なバランスに驚くことだろう。

年数をはるかに凌駕する熟成感と、ヴェルヴェットのように滑らかな舌触り。分厚いスモーク香にナッツや花の香りが融合した充足感は、緻密なウイスキーづくりの賜物だ。世界限定42,000本のエディションとなる。
 

テロワールにこだわった最新作を連続リリース

 
そして3月4日には、もうひとつの新エディション「オクトモア 09.3 アイラ・バーレイ」が発売される。こちらはアイラ島のオクトモア農場にあるアイリーン・フィールド(畑)で育った大麦のみを使用した「シングルファーム、シングルフィールド、シングルヴィンテージ」のアイラモルト。まさしくテロワールへのこだわりを極めた新作だ。

アイラ島の大麦は過酷な気象条件のもとで育ち、収穫量も少ない。「オクトモア 09.3」に使用された大麦は52トンのみで、収穫後に蒸溜されて134樽の原酒となった。収穫年と蒸溜年は「オクトモア 09.1 スコティッシュ・バーレイ」と同じだが、こちらはフレンチワイン樽を含むセカンドフィルの樽を主体にすることで、スピリッツの個性を明確に提示。これまでより低めのフェノール値(それでも133ppm、通常の3~4倍だが)も新たな特徴である。マスターディスティラーのアダム・ハネットは次のように説明している。

「これまでよりやや低いフェノール値に仕上がり、様々な種類の樽を使用したことで、このウイスキーに使われた大麦が“あるべき姿”へと到達しました。リリースごとに新たな創造や進化を自然に任せることができるのは、我々の仕事の喜びです」

均一化したものを造ろうと悪あがきするのではなく、与えられたものを最大限に表現するのがオクトモアのコンセプトである。希少なアイラ育ちの大麦フレーバーをしっかりと引き出したヴィンテージなら、アイラ島の大地と人が織り上げた唯一無二の味わいが堪能できるだろう。
 

比類のないコンセプトで未来へ進む

 
一貫性を重視する他のウイスキーブランドとは異なり、オクトモアの各リリースはひとつひとつ異なる様々な条件が組み合わさってできあがる。そのどれもが、決して同じものにはなりえない。ある時は直観にまかせ、ある時は自然の力に委ねる孤高のウイスキーづくりだ。

今回発売される2つのエディションに、ブルックラディは「ダイアローグ(対話)」というテーマを冠した。対話とは、自分の判断を一時留保し、相手の意見に耳を傾けて、仮定や思い込みを問い直しながら真理を探求する態度。既成概念にとらわれず、いつも新しい試行錯誤を続けながらウイスキーの世界を広げてきたブルックラディらしいテーマだ。

熟成年が短すぎる。ピートが強すぎる。度数が高すぎる。パッケージがウイスキーらしくない。そんなシングルモルトウイスキーの常識をことごとく覆し、どこまでも個性的な味わいを実現しているのが「オクトモア」の真骨頂。エディションごとに異なる価値を見出し、多様なウイスキーの在り方を認めて進化を続ける。このウイスキーに対峙するとき、誰もが自分のウイスキー観を問われることになるだろう。固定観念にとらわれることなく、様々な個性を受け入れて、豊かなウイスキーライフを楽しんでほしい…そんなメッセージも感じられるのではないだろうか。

 

 

オクトモア 09.1 スコティッシュ・バーレイ

フェノール値:156ppm

熟成年数:5年

アルコール度数:59.1%

容量:700ml

大麦の産地:スコットランド産コンチェルト種大麦100%

熟成樽:全期間ファーストフィルのアメリカンオーク樽で熟成(ジムビーム51%、ジャックダニエル26%、クレアモント15%、オールド・グランダッド8%)

希望小売価格:16,000円(税抜)

発売日:2019年2月4日(月)

オクトモア 09.3 アイラ・バーレイ

フェノール値:133ppm

熟成年数:5年

アルコール度数:62.9%

容量:700ml

大麦の産地:アイラ島オクトモアファームで育ったコンチェルト種大麦100%

熟成樽:全期間アメリカンウイスキー樽とフレンチワイン樽で熟成(ファーストフィルアメリカンウイスキー樽25%、サードフィルのヴァージンオーク樽25%、セカンドフィルのフレンチワイン樽(リヴザルト20%、シラー20%)、セカンドフィルのバーボン樽10%の原酒をブレンドして使用)

希望小売価格:22,000円(税抜)

発売日:2019年3月4日(月)

 

 

世界最高のピート香を放つ「オクトモア」など、手づくりのシングルモルトウイスキーにこだわるブルックラディの製品情報はこちらから。