白州蒸溜所 新蒸溜釜設置

April 26, 2014

昨年連続式蒸溜機を増設した白州蒸溜所が、さらなる増産を目指しポットスチルの増設を発表。

操業40周年を機に、昨年5月に連続式蒸溜機が本格稼働しグレーンウイスキーの生産が可能になった白州蒸溜所。本年には新たに蒸溜釜(ポットスチル)が増設される。

増設の背景についてサントリーは、
「2009年からのハイボールの本格的な展開によってウイスキー市場が活性化して以降、飲用スタイルだけでなく、個々のブランドの消費にも変化がみられる。特に2012年に発売した『新山崎』『新白州』によってプレミアムウイスキーのカテゴリーも伸長しており、この状況は中長期的に続いていくと見ている。将来を見据え安定的に、継続的に消費者ニーズに応えていく為に昨年の山崎蒸溜所に続き白州蒸溜所への投資を決定した」と説明する。

昨年9月、山崎蒸溜所には45年ぶりに4基(初溜・再溜各2基ずつの2対)の蒸溜釜が増設されたが、それに続く大規模な投資が決定したのである。
今回の増設にかかる費用は約10億円。こちらも山崎蒸溜所同様4基(初溜・再溜各2基ずつの2対)が新たに加わって、8対16基となる。この増設によって、白州蒸溜所の原酒生産能力は従来の約3割増を見込んでいる。

白州蒸溜所では昨年のグレーンウイスキー生産設備(蒸煮機1基、糖化槽1基、発酵槽6基、蒸溜機2塔;投資額約5億円)の他、近年では2012年5月稼働の木桶発酵槽(4基:投資額約1億円)が増設されている。ポットスチルの増設は1981年以来となる。

ウイスキーファンとして特に気になるのはスチルのタイプ。こちらは初溜釜・再溜釜ともにストレート型。現在白州蒸溜所では大きさの異なるストレート型7基、ランタン型5基で生産しており、こちらに新たにストレート型が増える形だ。

通常ストレート型からは重厚なフルボディタイプのウイスキーが生まれるが、標高約700mという世界でも稀な高地に位置する白州蒸溜所では、冷涼多湿の気候が異なった影響をもたらす。
熱伝導性の高い銅はポットスチル内部での気体の還流に外気温度を反映させる。
加熱され気化したアルコールは上昇する途中で最上部のアームに辿りつく前に冷やされ、再び液体となって落ちる。この過程がスピリッツの個性を決める重要なカギとなるが、冷涼な外気が銅のスチル本体(特に上部)を冷やすことにより、内部に大きな温度差を生じさせ、対流は幾度となく繰り返される。
これによって、豊かなフレーバーをもちながらもピュアで軽やかなボディのアルコールが「白州」独特の個性を持ったニューポットとして誕生するのである。

目標とする味タイプとしては、
「『白州』の味わいの特長は、硬度の低い水(硬度30程度)と高い標高によって、すっきりとした味わいを実現し、『山崎』とは異なるタイプの味わいをつくり出してきた。今回、新たに蒸溜釜を投入することで、その『白州』らしさはそのままに、さらに高品質でプレミアムウイスキーに相応しい味わいの実現を目指し、少しコクを感じていただけるような味わいを狙う」とのこと。
多様な原酒が増えることでシングルモルト「白州」のバリエーションだけでなく、ブレンデッドウイスキーにも新たなエッセンスがもたらされることだろう。

既に昨年12月に着工しており、稼働は本年9月を予定している。
熟成を経たウイスキーとなって我々の前に登場するのはまだまだ先のこととなりそうだが、進捗状況は随時レポートしていくので、楽しみにお待ちいただければと思う。

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