「ディスティラー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたサントリー

November 21, 2012

先日お伝えしたISC2012の授賞式を、現地在住のライター・冨久岡ナヲさんが取材し、ウイスキーマガジン・ジャパンヘレポートをお寄せいただいた。初のダブル受賞を達成したサントリー酒類株式会社・チーフブレンダーの輿水精一氏の喜びのコメントと共にお伝えする。

2012年11月5日、世界的な酒類コンペティションとして知られる「インターナショナル・スピリッツ・ チャレンジ(ISC) 2012」において、サントリーは「ディスティラー オブ ザ イヤー」に選ばれた。世界中から集まった酒類メーカーの中でも「高い品質と、飛び抜けたクラフツマンシップがすべての製品を通じて顕著な一社」だけに与えられる賞。2010年に続く2度目の栄誉だ。

さらにサントリーのウイスキーは6点が金賞を取り、10年連続受賞となった。そして、カテゴリーごとの金賞受賞品の中から選ばれる最高賞「トロフィー」も、これまたサントリーウイスキーが選ばれた。それもひとつだけでなく、ふたつも。

部門最高賞のアナウンスが始まり、ウイスキーではシングルモルト「山崎18年」が選ばれた。粛々とした面持ちでトロフィーを受け取る、サントリー酒類株式会社チーフブレンダーの輿水精一氏。壇上から降りようとするところを、式の進行役ワイズニュスキー氏に「セイイチさん、このままステージに残っていたほうがいいですよ!」と引き止められる。会場が息をのむ中、なんと「白州25年」にも「トロフィー」を授与するという発表が。それは、同コンペティション始まって以来の「同じメーカーによるダブル受賞」記録が達成された瞬間だった。

ロンドンの高級ホテルに正装して集った200名以上の酒類業界関係者は、日本のウイスキーのこの途方もない快挙におおいに湧いた。他のウイスキーメーカーにも心から祝福の拍手を送られ、サントリーがいまや世界のウイスキーとして一目置かれていることは明らかだった。

輿水氏はこのISCの審査員でもある。
「審査の行程は、”スコッチウイスキー部門”と、”その他のウイスキー部門”に分かれています。ジャパニーズウイスキーがエントリーする今回の”その他のウイスキー部門”では、ノミネートしたウイスキーのすべてが金賞レベルの質でしたので、とても微妙な差を捉えなくてはならず、どの審査員も一心不乱に評価に取り組みました。そんな中で、原酒を大事にし、丁寧につくり続けるという基本姿勢が認められ山崎、白州ともに受賞という快挙を成し遂げたのは光栄です。サントリーはスコットランドからウイスキーを学び、その後、日本人の味覚にあうウイスキーを目指し、およそ90年にわたり独自の進化を遂げ現在の評価を得るにいたった。そして今、ウイスキーの母国イギリスのコンペティションで最高の賞をいただいことを素直に喜びたい。」と受賞の感想を語る。

筆者はフードライターとして豊かな日本の食文化を英語圏に紹介しているが、日本のウイスキーはジャパン・クオリティの高さの明らかな証だろう。ジャパニーズウイスキーはその「繊細さやバランスの良さ」が評価されているが、まさにそれは日本食への評価とも重なる。在外の日本食レストランでの、ジャパニーズウイスキーと料理とのマリアージュにもぜひ期待したい。 (冨久岡ナヲ・ロンドン)

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