「2017 サントリー ザ・カクテルアワード」受賞作品が決定
軽快なシェーカーの音が鳴り響き、バーテンダーの手元に視線が集まる。10月5日、ホテルニューオータニで国内最大規模のカクテルコンペティション「サントリー ザ・カクテルアワード」が開催された。応募約1,600作品の頂点に立った傑作カクテルとは?
文:WMJ
「2017 サントリー ザ・カクテルアワード」は、プロフェッショナルのバーテンダーの創造性と技術を競う日本最大のカクテルコンペティション。カクテルを洋酒文化の大切な一要素と位置づけるサントリーが、さらなる育成と成長を目指して1994年から毎年欠かさず開催している。
24回目の開催となる今回の課題は、プレミアムバーボンウイスキー「メーカーズマーク」「メーカーズマーク 46」、ブルーアガベを100%使用した「テキーラ サウザ ブルー」「テキーラ サウザ ブルー レポサド」「テキーラ サウザ ブルー スリージェネレーション プラタ」、そしてフランス産フルーツリキュールブランド「ルジェ」14種のいずれかを20ml以上使用したカクテルである。8月中旬の1stステージ(書類審査)への応募総数は約1,600作品。ここで選抜された約30作品を9月5日の2ndステージ(応募者本人の創作による試作・試飲審査)で絞り込み、12作品(「ショートカクテル部門」6作品と「ロングカクテル部門」6作品)がファイナル(最終選考会)にノミネートされた。ファイナルの会場は、例年通りの熱気である。大勢の来場者が見守るなか、ステージでカクテルの実作パフォーマンスがおこなわれる。時間制限はショートカクテルが4分、ロングカクテルが5分。日本のバー文化を代表する8人の審査員が、「ネーミング」「味」「見栄え」「独創性」「将来性」「技術」「プレゼンテーション」の7つを基準に厳しく審査する。
司会者のアナウンスで最終選考会が幕を開けると、ステージには緊張がみなぎった。優雅な手さばきでカクテルを作るバーテンダーたち。その手元にカメラがクローズアップすると、緊張で指先が少し震えているようにも見える。完成したカクテルを、審査員が真剣な眼差しで吟味している。
このアワードの魅力のひとつが、バーテンダーと観客との一体感だ。プレゼンテーションを終えたバーテンダーたちは、隣室の宴会場に設営されたカウンターにずらりと並んで自作のカクテルをふるまう。傍らでは、過去のアワード受賞者たちも思い出の傑作を提供している。日本最高レベルの個性的なカクテルを論評しあう観客たち。別室では得点の集計と審査員の協議を経て、各部門の優秀賞1作品ずつ、最優秀賞1作品ずつが選出されているところだ。やがてメイン会場で音楽が鳴り響き、審査結果発表の時間になった。
独創性と技術の最高峰
約1,600作品の頂点に立つ最優秀作品「カクテルアワード2017」に選ばれたのは、井上新平さん(大阪府「リーガロイヤルホテル リーチバー」勤務)の「Aile d’ore(エル ドール)」。再びステージに上がった井上さんが、喜びのコメントを述べた。
「嬉しいの一言です。周囲に歴代チャンピオンが多いこともあり、先輩や上司の背中を見て何年もチャレンジしてきました。実技はただただ緊張しましたが、練習の成果をすべて出せるように頑張りました。この作品は、お客様や先輩バーテンダーの方々からアドバイスをいただき、一からつくり上げました。お世話になった皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです」
受賞作品のタイトルは、フランス語で「黄金の翼」という意味。自宅でも手軽に楽しめるよう、スーパーで材料が入手できるようなレシピにしたのだと井上さんは説明する。
「お客様が輝く瞬間をお祝いするカクテルです。桃の華やかさと杏のふくよかな味わいに、ジャパニーズクラフトジン『ROKU』の桜の香りで繊細さを加え、『オランジーナ フレンチスパークリング』の弾ける気泡で羽ばたく姿を表現しています。五感で楽しむカクテルに、お客様の第六感が加われば黄金の翼が見えるはず」
審査員として参加した雑誌「GOETHE(ゲーテ)」の舘野晴彦統括編集長も、審査の内幕を明かしながら受賞作の感想を語った。
「全作品が、プロの粋を結集した見事な仕上がり。それぞれのバーテンダーの佇まいを感じられました。そして最優秀受賞作品は、『あれ?』と何度も口をつけてしまうほど美味しかった。審査は本当に些細なことが減点の対象になるので、最優秀賞はたいへんな偉業です。これからもさらに奥深い味わいを求めて頑張ってください」
井上新平さんには「海外カクテルの旅」と賞金50万円が授与され、1年間「サントリー カクテル アンバサダー」に任命される。新しい役割に向けて井上さんが抱負を語った。「お酒にはそれぞれの味わいがあり、他の材料と合わせることで新しい世界が生まれます。そんなカクテルの楽しみを皆さんに知っていただけるよう、自分なりに活動していこうと思っています」
なお井上新平さんの作品はロングカクテル部門の最優秀賞も兼ね、ショートカクテル部門の最優秀賞は三代川義典さん(京都府「BAR 奥」勤務)の「瑞風(ミズカゼ)」、ショートカクテル部門の優秀賞は中野賢二さん(東京都「ホテル日航立川東京 All Day Dining 紗灯」勤務)の「Lejay Mariage(ルジェ マリアージュ)」、ロングカクテル部門の優秀賞は岡村朗さん(東京都「Bar Cocktail Book Shinjuku」勤務)の「Flying Bird(フライング バード)」がそれぞれ受賞した。
カクテルアワード2017「Aile d’ore(エル ドール)」<Recipe> 1.オランジーナ フレンチスパークリング以外をシェークして、氷を入れたグラスに注ぐ。 |
洋酒文化の育成と成長を支える多彩な商品レンジ。サントリーのオフィシャルウェブサイトはこちらから。
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