スペイサイド― 命の水の心臓部を行く【全2回・後編】

February 23, 2013

ウイスキーづくりの象徴ともいうべきスペイサイド―この地には世界的に有名な蒸溜所が多数存在している。  各蒸溜所の魅力や旅の見所をジョエル・ハリソンがガイドする。

スペイサイド― 命の水の心臓部を行く【全2回・前編】

ダフタウンで地元の蒸溜所を探訪したければ、グレンフィディック蒸溜所のビジターセンターは1年中開いている。大型バスの団体も受け入れるし、ツアー、レストランにギフトショップもある。もう少し小規模な蒸溜所のこぢんまりしたツアーがよければ、グレンフィディックの姉妹蒸溜所、ザ・バルヴェニーを訪れよう。必ず予約が必要で、ツアーは午前10時と午後2時の1日2回、1回のツアーの定員は8人までだ。

旅のみやげに何か変わった、ユニークなものを探している方には、グレンフィディックのギフトショップに「フィル・ユア・オウン・ボトル(あなただけのボトリング)」コーナーがあり、ショップのために特別に取り置かれたウイスキーが特注ラベル付きのボトルに入っている。

ザ・バルヴェニーのツアーも「フィル・ユア・オウン・ボトル」を提供しているが、同蒸溜所のオンラインクラブ、「ウェアハウス24」のメンバー専用だ。メンバーであれば、3種類の異なるカスクからサンプルを選び、バルヴェニー特製の「コッパードッグ」(樽からウイスキーを抽出する銅製の筒)で自分だけの200mlボトルに詰めて、ラベルを手貼りすることができる。さらに、バルヴェニーツアーに参加した幸運な人だけが入手できる限定ボトリングがあることも多い。

ダフタウンを出てスペイ川の方に通りを進む際には、この地域で最も興味深い呼び物、スペイサイド・クーパレッジを見逃さないようにしよう。空高くピラミッド型に積み上げられた樽がはっきりと高度な職人技を象徴している。ここを訪れるとウイスキーづくりに必要な技術を知ることができ、忘れられない体験ができるだろう。

樽工場を過ぎてスペイ川沿いに出ると、ウイスキーの見事なコレクションを誇るホテル、クレイゲラヒハイランダー・インがあり、軽い昼食、立派な夕食、あるいは極上の眠りのための心地よいひとときを提供してくれる。そのどれが目的であれ、くつろぐための1、2杯に困ることはない。

そしてスペイ川の目の前に、ザ・マッカラン蒸溜所がある。スコットランドで唯一、専用のスペイ川釣り区画(ビートと呼ばれる)と案内人(ギリーと呼ばれる)を所有する蒸溜所だ。最近改装されたビジターセンターが提供するツアーは、様々な香りを体感できる工夫があるほか、専門家による複雑な蒸溜・熟成プロセスの解説付きで、スコットランドでも指折りの内容だ。そこからは、少し北のロセスの街も散策に値する。グレンロセス蒸溜所があり、スコットランド屈指の美しさを誇るスペイバーン蒸溜所の眺めが楽しめるところだ。

スペイサイドに行ったら、グレンリベット蒸溜所を訪れずに済ませることはできない。その名をもらったリベット川が流れる谷(グレン)が、グレンリベット蒸溜所の住処だ。

しかし以前には、同地域の多くの蒸溜所が「Glenlivet」という名前をボトルに表示してこの小さな地域とのつながりを示し、この特定の蒸溜所がつくるウイスキーの品質に揃えていた。

グレンリベット蒸溜所自体は最近、施設を拡張して見学しやすくし、ビジターを歓迎している。グレンリベットガーディアンクラブのメンバーであれば、専用の書斎で皮張りのチェスターフィールドソファに身を沈め、ウイスキーを楽しむこともできるのだ。

旅のヒント
アバディーン空港インバネス空港はいずれもスペイサイドに近い。アバディーン空港には多くの航空会社が乗り入れているが、インバネス空港に行っているのはEasyJetとFlybeの2社のみ。
列車は両都市とスペイサイドの心臓部を通り、キースのような場所にも停まる。ロンドンとの間を往復している寝台車も旅行にはいいだろう。
1日に2ヵ所以上の蒸溜所を回りたければ、車が不可欠だ。

関連記事
型にはまらないクラガンモア
スペイサイドのドライブコース

 

カテゴリ: Archive, features, TOP, 最新記事, 蒸溜所