ウイスキーライヴ・パーティに話題のウイスキーが集結
選りすぐりのプレミアムウィスキーが一堂に会する「ウイスキーライヴ・パーティ2016」が、東京汐留のパークホテル東京で開催された。今後も定番になりそうなパーティ形式のイベントは、楽しみ方も多彩である。
文:WMJ
日中の残暑は厳しいものの、夜風に秋の気配が入り交じる9月上旬の東京。「ウイスキーライヴ・パーティ2016」の開催当日は、台風直撃の予報が外れて穏やかな夕べになった。イベントの開始30分前にパークホテル東京に到着して、1階で受け付けをする。事前の予約で完売となったため、当日券の発売はない。おそらく来年以降も事前予約は必須になるだろう。エレベーターで、会場の25階へ。開放感のある吹き抜けのロビーを見上げ、ソファーに座ってウェルカムドリンクのクラフトビール「ブリュードッグ パンクIPA」を飲む。来場者には素敵な和装やイブニングドレスの女性もちらほら。ウイスキーが大好きな20代の男女も増え、このようなイベントも活気が増している。
心地よいざわめきのなか、開宴を待ちながらメニューに目を通す。公式発表によると、この会場で提供されるウイスキーは実に91種類。一般のウイスキーファンが参加できるイベントとしては、豊富なバリエーションである。プレミアム入場券(70名限定)があれば階上のソサイエティブースでさらに48種類のボトルが味わえるが、こちらは発売後すぐに売り切れ。最新情報を見逃さないようにするには、ウイスキーマガジンに無料登録するのがいちばんだ。
7時半にパーティが開始。今年も特別なウイスキーを提供してくれた英国の関係者たちが壇上で挨拶する。ベンリアック蒸溜所のリージョナルセールスマネージャー、ダグラス・クック氏。キルホーマン蒸溜所のセールス&マーケティングマネージャー、ピーター・ウィルス氏。アラン蒸溜所のシニアブランドマネージャー、ルイーザ・ヤング氏。ベリー・ブラザーズ&ラッドのリージョナルセールスマネージャー、ルイージ・バルズィーニ氏。今年はもう2度めの来日となるウィルス氏が「日本のみなさまは私たちの最大の理解者です」という言葉に力を込めた。
ジャズの生演奏とともに、テイスティングが始まる。メインブースには色とりどりのボトルが並び、来場者たちはグラスを片手にお目当ての銘柄を探している。ビギナーであることを告げて、スタッフにおすすめを聞く人。生産者をつかまえて最新商品の説明を求める人。みな真剣な顔でグラスに鼻腔を近づけ、舌で味わうときには笑顔がこぼれている。友達同士でグラスを交換しながら、思い思いの言葉でフレーバーを批評しあう光景もパーティではおなじみだ。
ウイスキーのテイスティングはチケット制で、ウイスキーごとに各1枚~10枚の値が付いている。20枚のチケットを持っている私たちは誰もが2~20杯のウイスキーを楽しめることになるのだが、この配分が思案のしどころだ。好みのブランドの特別ボトルはもちろん、まったく未知のブランドも試してみたい。ウイスキーで使い切れない分は、美味しいフードを楽しむのもいいだろう。テイスティングチケットがなくなったら追加で購入も可能だ。
メインブースとは別に、独自のブースを構えているのは日本のメーカー3社である。サントリーは、シングルモルト山崎に欠かせないバーボンバレル原酒だけをヴァッティングした「山崎バーボンバレル2011」や、白州ファンに人気の高い「白州へビリーピーテッド2012」が目玉。希少な「山崎リミテッドエディション2014」と「白州シェリーカスク2014」も見逃せない。
事前情報がなかったニッカウヰスキーのブースには、終売後も伝説になっている「シングルカスク余市 1999」と「シングルカスク宮城峡 1991」、それにブレンデッドモルトの「竹鶴21年 ポートウッドフィニッシュ」が並んでいる。さっそく宮城峡を試飲した来場者から、溜息のような称賛の声が聞こえてきた。
また本坊酒造のマルス信州蒸溜所は、マルス山梨ワイナリーの赤ワイン樽で1年以上追加熟成した「シングルモルト駒ヶ岳 シェリー&アメリカンホワイトオーク 2011 ワインカスクフィニッシュ」と、20年以上長期熟成された古酒をヴァッティングした「シングルモルト駒ヶ岳 ネイチャーオブ信州」を出品。安定した味わいに、ユニークな個性が光っている。
メインブースには他の日本勢のボトルも並ぶ。キリンの富士御殿場蒸溜所からは、同社の真摯なウイスキーづくりを実感できるディスティラーズセレクトのシングルグレーンとシングルモルト。ベンチャーウイスキーからは、同社の過去と未来を表現するかのように「イチローズモルト ダブルディスティラリー」と「イチローズモルト 秩父 オン・ザ・ウェイ」が出品されている。
本場のスコッチ勢も、各蒸溜所の威信をかけた公式ボトルを持ってきた。そしてさらにマニアが惹かれるのはユニークなボトラーズ商品だ。もう閉鎖されてしまった蒸溜所のボトルもあれば、この日、世界で初めて公式に提供されるというウイスキーもある。モルトウイスキーが中心だが、近年のブレンデッドウイスキーやグレーンウイスキーへの関心にも応えるメニューになっているのが印象的だ。
宴も半ばを過ぎた頃、賑やかな抽選の発表に注目が集まる。 午後9時30分。最後の1杯を飲み干したテイスティンググラスには、まだ濃厚な香りが残っている。このグラスと、余ったハイランドのミネラルウォーターは自分へのお土産にしよう。
2000年に日本で初開催されて以来、いまや19ヶ国27都市までに広がった「ウイスキーライヴ」。プレミアムウイスキーがパーティ形式で楽しめる「ウイスキーライヴ・パーティ」は、参加者約200名という親密な環境で大好きなウイスキーとの出会いを演出してくれる。年に一度の貴重な体験を、これからも逃さずに楽しんでいきたい。
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