ウイスキー用語集―AからZまで【G】

March 6, 2014

ウイスキー用語の最新シリーズは、‘G’で始まる言葉とグレーンウイスキーについて取り上げる

ウイスキー用語集―AからZまで【E・F】

常に日陰の存在であったグレーンウイスキー。シングルモルトウイスキーが輝く衣装を身にまとったゴールデンボーイ(将来を約束された期待の星)であるならば、グレーンウイスキーは地味な裏方スタッフのようなものだ。

しかし、この相反する扱われ方イコール、グレーンウイスキーがどうあるべきかということではない。本当は、グレーンとモルトはお互いを必要とする大切なパートナーなのである。最近ではグレーンウイスキーに対する関心も高まり、単一の蒸溜所からリリースされる「シングルグレーンウイスキー」も高く評価されている。やっと日の目を見たという現状だが、もともと十分にその評価に値する存在だったのである。愛飲家としては、幅広いウイスキーを愉しめる喜ばしい兆候だ。

グレーンウイスキーは、トウモロコシや麦でつくられたウイスキーをいう。グレーンウイスキーに入れる麦芽の割合は、蒸溜製法において決まる。なぜなら「麦芽を入れる」ということは、アルコールを作るために必要となる酵素と添加するという意味合いも持つためだ。

モルトウイスキーを製造するポットスチルの‘バッチ’式と異なり、グレーンウイスキーは一般的に、ロバート・スタインによって発明され、イニーアス・コフィーによって改良された連続式蒸溜機によって製造される。モルトのウォッシュのようなピリッとしてまだ熟れていないリンゴのような果物系の風味と異なり、グレーンウイスキーのウォッシュは、温かいミルクの中のふやけたコーンフレークのような見た目と香りを持つ。連続式蒸溜機では、かなりアルコール度数の高いアルコールが作られる。しかし、軽く、シングルモルトのような突出した個性を持たないため、‘ニュートラル スピリッツ’といわれている。

ブレンデッドウイスキーをつくる際には、何種類ものモルトウイスキーをブレンドする。個性的なモルト原酒をうまくまとめあげるために、グレーンウイスキーが重要な役割を果たす。そんなグレーンウイスキーに、このままスポットライトを当てずにいて良いものだろうか?答えは簡単。Noだ。その他のウイスキーと比べて数は少ないが、シングルグレーンウイスキーのボトリングは、様々な原材料や異なるスタイルの連続式蒸溜器が使われており、バラエティに富んでいることが知られている。

今やグレーンウイスキーは脚光を浴び、より個性的で風味豊かなつくり方が試みられるようになった。ウイスキーの熱狂的なファンは、ブレンダーが長きにわたって言い続けていたことに気づきつつある。グレーンウイスキーは飲み応えがあり、人々に満足を与えてくれるものなのだ。百聞は一見(この場合は一口?)にしかず。ぜひ試してみてほしい。

用語集―【G】

ゲイジャー(GAUGER)
酒樽の検量税関吏に与えられた昔の呼称。非合法蒸溜の阻止を仕事とし、不法蒸溜所や違法ウイスキーを取り締まることを生業としていた。やがては賞金稼ぎとなり、ウイスキー製造者の天敵でもあった。

ゲール語(GAELIC)
 ケルト語に属する、スコットランド、アイルランドでかつて使われていた言語。スコッチシングルモルトの蒸溜所や銘柄名によく用いられる。現在の話者は少ないが、地名などには多く名残があり、復興の試みが続けられている。アイルランドのスコットランドでは微妙に異なり、よく使われる「乾杯」は、アイルランドでは”Slainte”(スロンチャ)スコットランドでは”Slainte mhath”(スランジヴァー)

グレン(GLEN)
スコットランドの地名に多く用いられるゲール語。「谷」を意味する。「グレンリベットは「静かな谷」、「グレンフィディック」は「鹿の谷」など。

グリーンモルト(GREEN MALT)
発芽し、大麦麦芽として乾燥される前の大麦の呼称。

グリスト(GRIST)
ウイスキーの原料となる穀物を乾燥し、ミルで荒く粉状に挽いたもの。

 

 【ショート・メモ】

連続蒸溜機では、最終的に90%以上のアルコール度数のスピリッツが出来上がる。95%以上の度数になると主原料に含まれる風味や香りが感じられなくなるため、最高でも94%前後にとどめられる。このスピリッツに水を加えて度数を下げてから樽に詰めて熟成させる。
ブレンデッドウイスキーの年数表示は使用されている中で一番熟成期間の短い原酒の年数を表示する規定があるので、12年モノであれば、その中に含まれるグレーンウイスキーももちろん12年以上熟成したものである。

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