白州蒸溜所 新蒸溜釜設置工事開始
白州蒸溜所に新たに増設されるポットスチルの搬入作業が公開された。
昨年操業40周年を機に連続式蒸溜機を導入した白州蒸溜所。さらにポットスチル増設が4月に発表されたのは既報のとおりである。今回、設置工事の一部が公開されるとのことで、白州蒸溜所にお邪魔した。
今回新たにスチルが設置されたのは既存の蒸溜室の奥に造られた新蒸溜室で、こちらの建物自体もまだ建設中。
熱源工事と建屋工事は5月から始まっており、6月中旬から下旬にかけて再溜釜の搬入・組立・設置が行われた。
この日の搬入は朝10時より開始。
大型のトラックに乗せられて、大きなスチルの胴部が蒸溜所へ運び込まれる。設置されてからは隠れてしまう胴部の下半分もはっきりと形が分かる。
蒸溜所の裏側にあたる建設中の新蒸溜室の搬入口から、スチルを吊り下げて建屋内部にゆっくりと運び込む。これから長い期間に渡ってウイスキーを生み出すスチルの、記念すべき第一歩だ。
この後はスワンネックとラインアームが取り付けられ、コンデンサーにつながり…と徐々にポットスチルとしての完成形に近づいていく。7月下旬までに、2基の初溜釜はしっかりと新蒸溜室に設置される予定だ。
全ての工事は8月中旬に完了し、9月からテスト、本格稼働を予定している。
なお、工事期間中の新蒸溜室の一般公開・見学は行われないので、蒸溜所訪問を予定されている方はご注意いただきたい。
増設される初溜釜は既存のものと同じく直火式、再溜は間接式(蒸気)とのこと。
形は4基ともストレートヘッド型。現在白州蒸溜所では大きさの異なるストレートヘッド型7基、ランタン型5基の計6対12基のスチルで生産している。
しかし今回の4基はネック部分が低めで、既存のものの8mという高さに比べ、5mに設定されている。これによって、軽やかな白州のウイスキーの中に、よりフルボディな個性を持つ原酒が加わることとなるだろう。多様な原酒からの高品質なウイスキーづくりを目指すサントリーの方針がさらに明確になった形だ。
また、昨年9月に山崎蒸溜所でも2対4基のスチルが増設されたが、その際には再溜釜1基にバルジ型が取り入れられていた。数年後には、軽やかな個性を持つ山崎と、重厚感あふれる白州が楽しめるかもしれない。あくまで可能性にすぎないが、そんなことを考えながら新たなウイスキーの登場を待つのもまた楽しいのではないだろうか?
新設スチル | 加熱方式 | 形状 | ||
山崎 | 7号機 | 初溜 | 直火 | ストレートヘッド |
再溜 | 間接 | バルジ | ||
8号機 | 初溜 | 直火 | ストレートヘッド | |
再溜 | 間接 | ストレートヘッド | ||
白州 | 7号機 | 初溜 | 直火 | ストレートヘッド |
再溜 | 間接 | ストレートヘッド | ||
8号機 | 初溜 | 直火 | ストレートヘッド | |
再溜 | 間接 | ストレートヘッド |
9月のテスト運転が始まる時期には、完成した新蒸溜室と4基の光り輝くスチルがお披露目される予定。
この日「森の蒸溜所」の仲間入りを果たしたスチルに対面するのが非常に楽しみである。その際にはまたたくさんの写真とともにご報告するので、どうぞお見逃しなく。