キングスバーンズの夢【後半/全2回】
文:クリストファー・コーツ
水は蒸溜所の下にある帯水層から井戸で汲み上げる。使用する大麦はすべてファイフ産のものだけだ。輸送にはさまざまな制約があるので、マントンズ社で製麦するためにいったん郡外に運び出す必要はある。それでも原産地へのこだわりは強く、ファイフ産以外の大麦と区別するためにウイスキー用の大麦畑を策で囲っているほどだ。
そしてキングスバーンズのウイスキーづくりにおける最初の重要なステップは、大麦モルトを粉砕して糖化することでクリアな麦汁を得る作業だ。ピーター・ホルロイドは語る。
「粉砕したモルトとお湯を投入するのに約20分かかります。その後、麦汁を再びかき混ぜてマッシュタンの上部に浮かび上がらせることでクリアになっていきます。なるべくクリアな麦汁を手に入れるのは、スピリッツの品質にとっても大切なこと。なぜならクリアな麦汁はフルーツ香が旺盛なスピリッツになり、濁った麦汁はよりナッツ香が強いスピリッツになる傾向があるからです」
次の発酵工程では、ジム・スワン博士のアドバイスに従って酵母を選んでいる。酵母株にアンカー社とルサフル社のフェルマンティスを併用しているのは、望み通りのもろみを得るための方策だ。
「アンカー社の酵母は昔ながらの頑健なタイプ。好ましい風味のプロフィールがあって希釈度も高いため、蒸溜所では何十年にもわたって使用されてきた酵母です。糖を分解して効率よくエタノールを生成し、風味をまろやかにして、バランスのいいニューメイクの特性を生み出してくれます」
だがそれだけでなく、キングスバーンズらしい個性も表現したいとチームは考えた。そこで選ばれたのが、ルサフル社の酵母である。
「両者を50%ずつ使用することで、エステル香が強まると薦めてくれたのはジム・スワンでした。フルーティーなトップノートはここから生まれています。アンカー社の酵母はほとんど野獣のように活発な発酵を見せ、混ぜるだけですぐに水面が上昇して溢れ出そうなくらいの勢いです。ところがルサフル社の酵母は、どちらかといえばゆっくりなタイプ。この酵母が最終的に発酵を締めくくる役割を果たしています」
蒸溜所は週休2日制であるため、発酵には3日コースと5日コースの2種類がある。だがもろみの仕上がりにほとんど違いはない。もろみが同質であることを証明するために、チームは時間をかけて蒸溜所内外で検証してきたのだとピーター・ホルロイドは説明する。
「3日発酵のもろみと5日発酵のもろみを、業界内のあるブレンダーに持ち込んで ブラインドノージングをしてもらいました。その結果、両者にまったく違いがみられないという回答が得られたのです」
次の蒸溜工程にも明確な特徴がある。初溜と再溜の両方で、還流を促すゆっくりとした蒸溜方針を採用しているのだ。ポットスチルは比較的長くて並行のラインアームが取り付けられ、動との接触を増やす多管式(シェル&チューブ式)のコンデンサーへとつながっている。糖化工程が部分的に自動化されているのに対し、蒸溜工程は基本的にすべてが手作業。ピーター・ホルロイドは特にこの点が気に入っているようだ。
「蒸溜工程で人間的な感覚を取り入れられることは重要ですからね」
決して急がないウイスキーづくり
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ひとたび蒸溜が始まると、誰も先を急ぐ者はいない。チームのメンバーはみな自分のシフトが蒸溜にあたった幸運を喜びながら、ゆったりとした時間の流れを満喫するのだ。初溜にはたっぷり8時間をかけ、同様の穏やかなペースは再溜にも受け継がれる。
「液化した蒸気ができるだけゆっくりとスピリットセーフに落ちていくように、蒸気圧はすぐに下げてしまいます。この弱火で約3時間半から4時間の蒸溜をおこない、度数が69%になったらそこでカットしてフェインツに。カットの度数が高いので、他の蒸溜所よりもローワインやフェインツの度数は高くなっているかもしれませんね」
蒸溜の合間にスピリットスチルを休ませることでも、銅との接触時間が最大化されるのだという。
「次のシフトが始まる約1時間半、あるいは翌日にローワインをチャージするまでの24時間はスチルの銅を冷ますチャンス。スチルを開放して、だいたい20〜30℃くらいまで温度を下げてやります。すると銅がちょっとだけ再活性化するんです」
キングスバーン蒸溜所らしいスピリッツの特性を保つために、実践している工夫はまだまだある。ローワイン、フォアショッツ、フェインツの各レシーバーには総量200~250Lほどの蒸溜液がいつも残され、毎週の掃除で空にしたり排出したりすることもない。「ローワインとフェインツは、蒸溜所のDNAみたいなものですからね」とピーター・ホルロイドは言う。
軽やかでフルーティーなローランド流のスピリッツ。そのDNA を創生して維持するために、驚くべき時間と手間がかけられている。ニューメイクスピリッツ(度数63.5%)は、香りがパパイヤ、パイナップル、ミルクチョコレート、バタークリーム。味わいは甘いシリアル、ライチ、ザクロ。青りんごのようにフレッシュで軽やかな味わいだ。アルコール度数の割りには、極めて飲みやすいのが特徴である。生産量は、純アルコール換算で年間20万Lだ。
ファイフにある新進蒸溜所のハウススタイルは、一体どのようなものになるのだろう。それを明確に示唆しているのが「ドリーム・トゥ・ドラム」である。実際にキングスバーンズのシングルモルトに使用される熟成樽は、この最初のリリースで提示されたものをかなり忠実になぞっている。使用する樽の約85%は、ファーストフィルのバーボンバレル。それ以外の15%は、シェーブ、トースト、リチャーの頭文字をとって、ジム・スワン博士がSTRカスクと名付けた再利用樽だ。さらにシェリー樽とアイラ樽も加わって、すべて蒸溜所内で樽詰めされる。
現在はまだ樽の中で眠っているキングスバーンズのスピリッツが、どんなタイミングで世に出されるのかはこれからのお楽しみだ。それでも4種類のリリースが予告されているファウンダーズクラブ向けのボトリングは、2022年までにあと3種類が発売される。このボトリングで示されるウイスキーの品質が、やがて定番となるキングスバーンズの味わいを披露してくれるはずだ。
カテゴリ: 風味