香港ボナムズに2本の希少なジャパニーズウイスキーが登場

今月末のボナムズ香港で、希少なジャパニーズウイスキーが出品される。落札価格の合計が1億円を超えると予想される「軽井沢」と「山崎」の意外な来歴とは?
文:WMJ
ジャパニーズウイスキーの至宝が、再びオークションの世界を賑わせている。高級ウイスキーで定評の高いボナムズ香港に、コレクターの人気を二分する「軽井沢」と「山崎」の希少品が同時に登場するからだ。
ボナムズといえば、1793年にロンドンで設立された世界的なオークションハウスである。美術品、ジュエリー、時計、クラシックカーなど60種類以上のカテゴリーを取り扱い、世界中で年間400回以上のオークションを開催している。芸術文化への深い造詣によって、世界中のコレクターから信頼される存在だ。
特にアジア圏を代表するボナムズ香港は、幾度となく伝説的なウイスキーオークションの現場となってきた。希少なジャパニーズウイスキーやスコッチウイスキーのオークションにおいては、今や世界をリードする存在である。
マニア垂涎「軽井沢」の最高峰
今月末に開催される香港ボナムズで、第一の目玉となるのは「軽井沢 1960 カスク #5627」だ。文字通り1960年に蒸溜されたシングルカスク製品で、これまでに発売された「軽井沢」のなかでも最高酒齢の52年熟成である。

「軽井沢 1960 カスク #5627 52年熟成 トレジャーシップ」。「軽井沢」でも最長の52年熟成で、全41本という希少なシングルカスク製品だ。落札予想価格は220万~320万香港ドル(約4,400万〜6,400万円)。
同じ樽からボトリングされたウイスキーは41本のみで、ボトルネックにそれぞれ手彫りの根付が吊るされたデザインでも知られる。この根付のデザインは、41本のボトルごとに異なっている。同様のウイスキーが、2020年に36万3,000ポンド(約4,690万円)で落札された実績もある(記事中の日本円はすべて当時のレート換算)。
今回出品されるウイスキーは、「宝船」の根付が添えられた通称「トレジャーシップ」と呼ばれる1本だ。このシリーズの最高峰と目されており、日本では2013年にウイスキーマガジン主催のWhisky Live(東京インターナショナルバーショー共催)で初公開された。今回登場するのは、まさに13年前に東京でお披露目されたボトルである。ボナムズは落札予想価格を220万~320万香港ドル(約4,400万〜6,400万円)に設定している。
パッケージのデザインは、スコットランドのデザイン事務所「コンテイジャス」が担当した。ラベルの和紙は紙職人の長谷川憲人氏による手漉きで、書道家の西本宗爾氏が「軽井沢」の文字を揮毫している。日本伝統の宝箱に着想を得た特注の木製ケースは、英国の家具職人が製作した。シェリー樽の樽材に、美しい象嵌が施されている。
シェリー樽熟成の深い味わいで知られた軽井沢蒸留所のモルトウイスキーは、2011年の閉鎖によって希少性が高まった。やがて残された原酒のボトリングがウイスキーオークションを賑わせることになり、その頂点に位置づけられるのが52年熟成の「軽井沢 1960」なのである。
唯一無二の「山崎50年」非売品
そして今月の香港ボナムスに出品されるもうひとつのボトルは、「山崎50年 クラブなつめ限定ボトル」だ。
そもそも「山崎50年」は、現存するジャパニーズウイスキーのなかでも特に希少性が高い。サントリーが50年熟成の「山崎」を公式に発売したのは2005年、 2007年、2011年の3回のみ。唯一酒齢で上回る「山崎55年」は、2020年のボナムズ香港で6,200,000香港ドル(約8,500万円)の値が付いている。ジャパニーズウイスキー1本としては、同オークションの史上最高価格だ。

「山崎50年 クラブなつめ限定ボトル」。名古屋市の会員制クラブ「なつめ」の開店50周年にあわせてボトリングされた非売品。個人所有されていたためオークションには初登場となる。落札予想価格は280万~420万香港ドル(約5,600万〜8,400万円)。
極めて数量が限られる「山崎50年」の中でも、今回出品されるのは唯一無二のウイスキーといっていいだろう。サントリーが名古屋の会員制クラブ「なつめ」のためにボトリングした特別な品で、市販された他の3種類の「山崎50年」とは異なる独自の和紙ラベルが貼られている。
加瀬文恵氏が名古屋市内に設立した会員制クラブ「なつめ」は、政財界でその名を広く知られた高級店である。創業以来の取引があったサントリーは、クラブ開店50周年に感謝の印としてこのウイスキーをボトリングした。後日ボトルに福與伸二氏(サントリー元チーフブレンダー)のサインも記され、その類まれな来歴はさらに際立っている。これまで贈答品として個人所有されてきたので、市場には一度も出回ったことがない。落札予想価格は、軽井沢を上回る280万~420万香港ドル(約5,600万〜8,400万円)だ。
ボナムズでアジア地域のワイン&スピリッツ部門責任者を務めるテレンス・タンは、今回のオークションについて次のように述べた。
「これほど希少かつ重要な2本のウイスキーを委託されるのは、オークションハウスとして光栄なこと。このレベルのウイスキーが、2本同時に出品されることはめったにありません。どちらのボトルも、日本ウイスキー史における重要な瞬間を象徴しています」
楽しみなライブオークションは、5月30日の香港時間17:00(日本時間18:00)からスタート。ウイスキーの詳細は、ボナムズの公式サイトで確認できる。競売に参加したい方は、あらかじめアカウントを登録しておこう。
ボナムズによる事前の落札予想額は、2本で500万香港ドル(約1億円)以上。珠玉のジャパニーズウイスキーが、どんな価格で取り引きされるのか。関係者の注目は、かつてないほどに高まっている。
世界9カ国で毎月開催される世界的な高級品のオークション。ボナムズの公式サイトはこちらから。




