新しい令和時代を迎え、5月11日と12日の2日間にわたって開催された「東京 インターナショナル バーショー 2019」。「カクテル&ミュージック」をテーマに、今年も大きな盛り上がりを見せた。

文:WMJ

 

「東京 インターナショナル バーショー」は、最新のドリンクや一流バーテンダーのデモンストレーションを体験できるバー業界最大級のイベントだ。2012年にアジア初のバーショーとして開催されて以来、東京ミッドタウン、ベルサール渋谷ガーデン、東京ドームシティ・プリズムホールと会場を移しながら大きく成長を遂げてきた。

令和時代初となる「東京 インターナショナル バーショー 2019」は、5月11日(土)と12日(日)の2日間にわたって東京ドームシティ・プリズムホール(東京都文京区)で開催。初夏の陽気にも恵まれ、入場者数は2日間で延べ約13,500人という過去最高を記録した。

バーショーはひとつの巨大なバーカウンター。新しい商品や、新しい楽しみ方の提案がおこなわれるエキサイティングな現場だ。味覚の最前線をめぐってクリエイティブな競争が繰り広げられている。

このバーショーにあわせて世界中から著名な関係者が来日するため、5月の東京は酒類業界が最も華やかになる季節でもある。今年のバーショーのテーマは「カクテル&ミュージック」。お酒の愉しみ方を多角的にとらえた切り口で、バー文化の豊かさを感じられる内容となった。

来場者たちは、各社が趣向を凝らしたブースで思い思いにドリンクとの出会いを楽しんでいる。メインステージのプログラムも豪華だ。キング・オブ・カクテルの異名を持つデイル・デグロフ氏が、壮大なカクテルの旅へと誘う。また世界的なスピリッツ評論家であるデイヴ・ブルームは、キューバの音楽とラムにまつわるプレゼンテーションで会場を大いに踊らせた。

第1回目のバーショーから出演を続けている富田晶子氏のフレア・バーテンディング・パフォーマンスは例年通りの大人気。また女性バーテンダーを対象とした第7回「なでしこカップ」では、10人の参加者が素晴らしいプレゼンテーションを披露し、東京都の大谷みゆさん(STAR BAR)がグランプリを獲得した。

その他にも日本ジン協会、カクテル文化振興会、アンバサダー・オブ・アイラ、そして各メーカーが自社製品の魅力やカクテルとの相性に関する興味深いプレゼンテーションを展開。またマスタークラスでは、各分野の専門家たちによる濃密なレクチャーが大勢の参加者で賑わった。

 

クラフトスピリッツから至高の味わいを生み出すバーテンダーたち

 

国内外を問わず、お酒の世界はクラフトブームに湧いている。消費者の期待するレベルも高く、いっそう本物の手作りが求められるようになっているのは間違いない。手間と時間をかけたスピリッツやリキュールの新商品を使って、意欲あふれるバーテンダーたちが新しいカクテルの世界を切り開く。

京都の町家をモチーフにした京都蒸溜所のブースでは、京都を代表する名バーテンダーたちが登場。西田稔氏(K6)の長時間シェイクを坪倉健児氏(バー・ロッキングチェア)がサポートし、見事な「ラモスジンフィズ」を観客に振る舞った。

バーショーは伝説のバーテンダーに出会い、新しい才能を発見する素晴らしい機会でもある。特に日曜日は日本全国から一流のバーテンダーたちが上京し、会場のあちこちで旧交を温めている。彼らがステージやブースでおこなうパフォーマンスはインスピレーションの宝庫だ。そんなクリエイティブなムードを後押しするように、各社のブースデザインも個性的に進化している。

東京の中心で世界的なバーテンダーのデモンストレーションに触れ、国内外の新しい味わいを堪能する事ができるバー業界最大級のイベント、それが「東京 インターナショナル バーショー」である。クラフトブームによって、その愉しみ方もさらに多様化を極めている。

今年もまた5月13日を「カクテルの日」と位置づけ、5月12日~18日が「National Cocktail Week」に設定された。全国で518店舗が参加し、関連イベントやフェアが各地で盛り上がりを見せている。会場で販売されたバーショーの記念ボトルも、個性的なウイスキーやジンを中心に注目を集めた。

「東京インターナショナルバーショー」には、いつもバー文化の未来を創り出すクリエイティブなパワーがみなぎっている。