南投蒸溜所が貫く職人のこだわりと台湾の味わい

February 12, 2020

ウイスキーの人気が世界的に高まる近年、日本のウイスキー産地だけでなく、台湾のウイスキー産地も世界中の関心を集めています。台湾南投蒸溜所のオマー(OMAR)ウイスキーは、2019年に出版された『ウイスキー・バイブル(WHISKY BIBLE)2020』に掲載され、世界中のウイスキー愛好家から称賛と注目を浴びました。

 

南投蒸溜所は台湾中部の、唯一海に面していない県である南投県に位置します。県内には海拔が3,000メートルを超える高山が41座あり、山地が県の総面積の83%を占めます。

山間から渓流に流れ込んだ雨水が、かの有名な日月潭など、多くの澄んだ湖沼を育みました。オマーを製造する南投蒸溜所は、まさに豊かな緑と水に恵まれたこの地にたたずんでいます。

 

琥珀の心、台湾の思い

 

TTL(前身は専売局)傘下の南投蒸溜所が造るシングルモルトウイスキーの起源は、2007年にさかのぼります。

TTLは先進のモルトミルや糖化設備をドイツから、特注のポットスチルを英国から購入し、2008年に南投蒸溜所に設置したウイスキー生産ラインで小規模生産、2009年に本格生産を始めました。

そのウイスキーを世界に届けるため生産プロセスと設備のたゆみない改善を続け、現在は工場の拡張計画も進んでいます。

南投蒸溜所ではウイスキー造りに最適なスコットランド産の大麦麦芽と、中央山脈から包尾山の原生林を通って流れ出す清らかな水を用いています。

ウイスキーは台湾特有の気候により天然の琥珀色となります。熟成期間は3~5年ですが、その芳醇な味わいは、12年以上をかけて熟成させた欧米産にも負けせん。

オマーウイスキーの名はスコットランド・ゲール語で琥珀を意味する「オマー(OMAR)」に由来します。カラメル色素を一切添加しないオマーは、その名のごとく透明で深く美しい黄金の輝きを静かに放っています。

 

ふんだんな天使の取り分で短期間の熟成

 

熟成のときに生じるエンジェルズシェア(天使の分け前)は、スコットランドでは毎年約2%、日本では約4%ですが、常春の台湾では6~7%と高く、蒸発と熟成が速く進むことが分かります。

鍵となるのはその気候。南投蒸溜所のウイスキーは蒸溜されふくよかな甘みの原酒(new make)となった後、神様にたっぷりと分け前を納めながら、短期間でオマーならではの風味を獲得していくのです。

 

台湾フルーツが醸し出す唯一無二の味わい

 

「フルーツ王国」として世界に知られる台湾は甘く美味しいフルーツの宝庫で、南投もまた「フルーツの里」と称えられます。

フルーツ酒造りで50年を超える歴史がある南投蒸溜所は、伝統的な醸造技術を継承しながら、台湾の気候風土を生かし、オマーライチカスク、プラムカスク、ブラッククイーン・ワインカスクなど、トロピカルフルーツの香り高いウッドフィニッシュを世界で初めて造り出しました。

このオリジナルのウッドフィニッシュは、フルーツ酒を熟成した樽で後熟されるとき樽に残った芳香を吸収するため、甘いトロピカルフルーツの香りに満ちています。

繊細な甘さのブラッククイーンも甘酸っぱいプラムもすべて台湾産と、「フルーツ王国」の名にふさわしい濃厚な味と香りに、農家の熱意が溢れたウイスキー。台湾の自然が生み出したその風味は世界中で愛され、毎年数量限定で販売されると、飛ぶように売れていきます。

 

オマーウイスキー、世界の舞台へ

 

2013年10月に初めて数量限定で発売したシングルカスクのカスクストレングス・モルトウイスキーは、2014年から世界各地のウイスキー品評会で高評価を得てきました。

「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」「モルト・マニアックス・アワード(MMA)」「インターナショナル・ワイン&スピリット・コンペティション(IWSC)」「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」「ブリュッセル国際ワインコンクール(CMB)」「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SFWSC)」などで、数十もの賞に輝いています。

なかでも、受賞が最も難しいとされるMMAにてデイリードラム・ベストシェリーカスク賞(Daily Dram Best Sherried)、デイリードラム・ベストナチュラルカスク賞(Daily Dram Best Natural Casks)、シュプリーム・ウィナー(Supreme Winner)を、CMBにて最高金賞(Grand Gold Medal)を獲得。

台湾の気候風土が育み、トロピカルフルーツの香りを放つオマーは、スコッチとは違った趣で五感を刺激し、世界中のウイスキーファンを感動させています。

また、近年は酒の神様とも呼ばれるウイスキー評論家、ジム・マレー(Jim Murray)氏による『ウイスキー・バイブル(Whisky Bible)2020』で「ワールドベストシングルカスク」「ベストアジアンウイスキー」ダブル受賞という最高栄誉に輝き、台湾のウイスキーとして新記録を樹立しました。創業10年でこうした快挙を成し遂げた蒸溜所に、世界から熱い視線が注がれています。

 

職人のこだわりと風土が醸す味わい

 

南投蒸溜所のシングルモルトは、伝統的なスコッチモルトの製造技術を基盤に、南投蒸溜所のフルーツ酒やブランデー造りの豊富な経験と、台湾固有の風土が結びついたときに誕生しました。

卓越した品質の追求と、たゆみない研究、開発、革新から生まれたウイスキーには、海に向かって開かれた台湾の気候風土と、その多様性、可能性が凝縮されています。

南投蒸溜所は、台湾の風土を代表するウイスキー蒸溜所になるという決意をもって、オマーブランドの「職人のこだわりと風土が醸す味わい」という理念を貫き通しています。

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