竹鶴政孝とリタの結婚100周年を祝うシングルモルトが発売
ニッカウヰスキーが「シングルモルト余市」と「シングルモルト宮城峡」の数量限定商品を発売した。フィニッシュに使用した樽は、ニッカ創業時代を支えたりんごへの敬愛を象徴している。
文:WMJ
ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝が、ウイスキーづくりを学ぶためにスコットランドへ渡ったのは1918年のこと。学友の妹だったリタことジェシー・ロバータ・カウンと出会い、1920年1月に現地で結婚した。今年は、2人の結婚から100周年という記念すべき年にあたる。
竹鶴政孝は、結婚した1920年の11月にリタを伴って日本に帰国した。理想のウイスキーをつくろうと、かねてからの希望だった北海道の地に生産拠点を立ち上げたのは1934年のこと。ウイスキーは熟成に時間がかかるため、その間の運転資金を得ようと大日本果汁株式会社を創業してりんごジュースを販売した。そもそもニッカウヰスキーの社名は、「大日本果汁」という旧社名の略称に由来している。
竹鶴政孝とリタの結婚100周年は、ジャパニーズウイスキーにとっても重要なアニバーサリーだ。ロマンチックな記念年を祝うため、3月24日に発売されたのが2つの特別なシングルモルトウイスキー。「シングルモルト余市 アップルブランデーウッドフィニッシュ」と「シングルモルト宮城峡 アップルブランデーウッドフィニッシュ」である。
竹鶴政孝の夢の結晶ともいえる2つのシングルモルト。それぞれの原酒を通常通りに熟成し、ヴァッティング後にアップルブランデー樽で約6か月間後熟したのが今回の特別ボトルだ。フィニッシュに使用しているのは、ニッカの隠れた人気商品であるアップルブランデーを28年間以上熟成させた樽。ニッカウヰスキーの黎明期を支えたりんごへの深い敬愛が感じられるプロジェクトである。華やかで複雑な味わいを守るため、冷却ろ過をせずにボトリングしている。
甘く華やかな香りと、フルーツケーキの甘酸っぱさ
それぞれの味わいを紹介しよう。「シングルモルト余市 アップルブランデーウッドフィニッシュ」は、力強く厚みのある余市蒸溜所の原酒を、アップルブランデーの樽でさらに熟成させたウイスキー。芳醇な甘さとピートのコクが調和した味わいが魅力だ。りんごのコンポートのような甘い芳香と、モルティで豊かな香り。アップルパイやフルーツクッキーを思わせる焼き菓子のような香ばしさもある。長い余韻の中に、ほのかなピートと麦の甘さが心地よく残る。
また「シングルモルト宮城峡 アップルブランデーウッドフィニッシュ」は、華やかな宮城峡蒸溜所の原酒をアップルブランデーの樽で後熟することで、爽やかな甘さとやわらかな渋みが調和した味わいに仕上がっている。落ち着いたウッディな樽の香りと甘く華やかな香り。そしてフレッシュなりんごのみずみずしさ。フルーツケーキを思わせる甘酸っぱい味わいがあり、樽のほろ苦さと甘さがシナモンのようなスパイスを伴って余韻を引き伸ばす。
ラベルには「APPLE BRANDY WOOD FINISH」のゴールド文字が刻まれ、竹鶴政孝と妻リタの結婚100周年を祝うゴールドのリボンがあしらわれている。りんごのイラストとドット模様は、アップルブランデー樽の華やかな味わいを表現。りんご柄のドットの中には、ハートマークも紛れ込んでいるので探してみよう。大切な年を祝いながら、りんごへの思慕と遊び心も感じさせるデザインだ。
ニッカウヰスキーの父母を称え、理想のジャパニーズウイスキーづくりを夢見た創業の物語に思いを馳せる。長い時を超えて結実したロマンチックな味わいを、この記念すべき年にゆったりと楽しんでみたい。
シングルモルト余市
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シングルモルト宮城峡
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アルコール分:47%
容量:瓶700ml
発売日:2020年3月24日(火)
価格:オープン価格(参考小売価格:税別15,000円)
販売数量:余市6,700本、宮城峡6,450本
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