170号 テイスティングコメント 【後半/全2回】

December 24, 2020

from Issue 170

テイスティング:ロブ・アランソン、ベッキー・パスキン


世界のウイスキー業界を代表する評論家が、最近発売された多彩なカテゴリーのボトルを試飲して、詳細なテイスティングノートを作成した。今回紹介する中にも、きっとあなたを魅了する銘酒があるだろう。

※参考価格は主に英国で販売された実勢価格を表示しており、日本国内では為替の変動や入手経路によって価格が大幅に変わる場合がございます。あらかじめご了承いただき、あくまで目安としてご覧ください。


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Whisky Magazine ではウイスキー専門家、作家、愛飲家によるテイスティングを毎号開催し、その情報を皆さんにお届けしています。

およそ700種類に及ぶ世界中から集められたウイスキーのテイスティングノートや情報はこちらからご覧いただけます。現在は多くのテイスティングコメントを皆様にお届けするために、バッチ(製造年)違いである同一商品のテイスティングも掲載しておりますので、現在発売されているウイスキーの評価とは限りません。予めご了承ください。


推奨ボトル

テイスターが判定したポイントの規定によってSilver Recommended(銀賞)もしくは Gold Editors Choice(金賞)が毎号決定します。

※テイスティングの対象ボトルには、日本国内では入手ができない銘柄も含まれますのであらかじめご了承ください。なおテイスティングノートの内容は、あくまでテイスティングをした評論家の個人的な感想です。

ティーリング ブラックピッツ ピーテッド シングルモルト    40.0%

  • 蒸溜所名: ティーリング蒸溜所
  • 地域: アイルランド
  • 価格帯: £26-70
  • 入手可能場所: 全世界

ロブ・アランソンSCORE9.1

香り
甘くてスモーキーな香りに、海藻や黒糖の印象も入り混じっている。心地よいフルーツ香もあり、焼いた鱒に添えられるレモン、リンゴのシードル煮、ボンゴレスパゲッティなどの匂いもする。
口に含むと、すべてのフルーツ香が舌の上に流れ込んでくる。缶入りのエキゾチックなフルーツとバニラシュガー。やがて塩漬けハムのような刺激が全体を包み込む。
フィニッシュ
すべてのスモーク香や海藻のような匂いが鼻に抜け、ゆっくりとドライに霧散していく。
コメント
最初は、海から濡れた犬を抱き上げたような印象。だがフルーティで甘い要素とも絶妙にバランスがとれている。素晴らしい出来栄えのウイスキー。

ベッキー・パスキンSCORE9.0

香り
甘くてフルーティな香りに、エステルのアロマがある。丁寧につくられたニューメイクスピリッツのしるしだ。穏やかでほとんど海辺のようなスモーク香があり、バニラ香をたたえた繊細な樽熟成の影響も感じさせる。レモンの皮のような刺激に、くっきりとした青リンゴや洋ナシの砂糖煮。さらに潮で現れた小石や貝殻、遠くの焚き火からかすかに漂ってくるスモーク香もある。
香りで予測したよりもフルーツ風味が強く、心地よいクリーミーな舌触りがある。レモンの皮の酸味を効かせたレモンメレンゲパイと、バターたっぷりのサクサクしたペストリー。かすかに洋ナシの砂糖煮やバニラアイスクリームも感じさせ、やがて口内の中心でスモーク香が立ち上がって主役を演じる。
フィニッシュ
塩気や肉のような感触がある。焼き魚と焚き火の灰を連想させる後味。
コメント
若々しさもあるが、精緻なバランスで仕上げられている。ピートの効いたアイリッシュシングルモルトウイスキー。アイラモルトにも負けない堂々たる出来栄えだ。



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