プロ向けのイベント「モダンモルトウイスキーマーケット」が今年も開催。大阪と東京の2会場が、華やかなモルトの香りで満たされた。

文・WMJ

 

長い夏の余韻も一段落して、ようやく涼しい秋の風を感じる10月上旬。恒例イベント「モダンモルトウイスキーマーケット」が、今年も本格的なウイスキーシーズンの幕開けを告げた。

第18回目となる今回も、事前登録制で酒類業界の関係者のみが来場。開催当日の朝には、例年のように限定ボトルの購入権を求める来場者の列がウイスキーブームの堅調を物語っている。

限定ボトルの購入券は抽選制。グレンロセス42年(140万円)などの高級ウイスキーも注目の的になる。

今年のモダンモルトウイスキーマーケットの出展企業は、昨年よりも1社多い21社。アサヒビール、ウィスク・イー、MHDモエヘネシーディアジオ、雄山、CAMPARI JAPAN、ガイアフロー、金龍、堅展実業、小正嘉之助蒸溜所、サントリー、SAKURAO DISTILLERY、篠崎、ジャパンインポートシステム、ディアジオジャパン、都光、ブラウンフォーマンジャパン、ベンチャーウイスキー、ペルノ・リカール・ジャパン(大阪会場のみ)、ミリオン商事、山鹿蒸溜所、REMY COINTREAU JAPANという顔ぶれだ。参加するジャパニーズウイスキーも熟成を重ね、モルトウイスキーの市場はかつてないほどに充実している。

開場の時刻から、各社ブースは試飲を求めるプロフェッショナルたちで賑わい出す。会場に並んだ350アイテムの中には、ハイランドパーク54年(800万円)やグレンロセス42年(140万円)などの高額商品もある。定番商品はもちろん、発売前の最新ボトルもテイスティングできたりするので、プロフェッショナルたちには価値の高いイベントだ。

別室ではテイスティング付きのセミナーも開催され、ウイスキーの経験値に関わらず濃密な体験と知識が得られる。メーカー担当者たちとの楽しい会話は、一般消費者に商品を紹介するための有益な情報に満ちている。
 

ウイスキー市場の今を目撃する現場

 
モダンモルトウイスキーマーケットは、酒類食品総合卸売商社の三陽物産が2006年からお酒のプロ向けに開催しているウイスキーイベントである。

イベント主催者を代表して、三陽物産の松尾茂司社長が現在のウイスキー市場を分析。原酒不足と需要のマッチングにはまだ時間がかかるものの、人気を維持しながらギャップを埋めていけるという見込みを示した。

昨今のウイスキーブームに乗って始まったイベントかと思えばそうではない。第1回が開催された当時は、日本のウイスキー市場が最も低迷していた時期にあたる。苦しい時期から種を蒔き、2009年のハイボールブーム、2014年の「マッサン」放映、世界的なウイスキーブーム到来、国内ウイスキー蒸溜所の急増といったダイナミックな変化を目撃してきた。

今回グランフロント大阪で開催された大阪会場(10月1日)の入場者数は、第1部が430人、第2部が498人の計928人。アキバ・スクエアで開催された東京会場(10月4日)の入場者数は、第1部が654人、第2部が753人の計1,407人。両会場あわせて昨年を上回る2,335名が来場した。

イベントを主催する三陽物産の松尾茂司社長は、現在のウイスキー市場について次のように語った。

「円安などの逆境にも関わらず、日本におけるウイスキー市場は金額ベースで年間10%以上の成長を続けています。輸入洋酒で大容量の商品が売れていることから、いわゆる『家呑み』による家庭消費もさらに広がっているようです。原酒不足は続いており、供給力とのマッチングには時間がかかる見込みですが、この人気を維持できるように業界としての努力を続けていきます」

三陽物産によると、モダンモルトウイスキーマーケットは来秋も酒類業界関係者限定で開催される予定だ。ウイスキー市場の現在地を知る重要イベントとして、今後の動向も注目したい。