ザ・ソサエティ 日本支部20周年記念イベントレポート

November 27, 2013

エディンバラ本部が創立30周年、日本支部20周年を迎えたザ・スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ(以下ザ・ソサエティ)。ビッグニュースの発表も行われた記念イベントをレポート。

11月23日、パークホテル東京にて開催されたザ・ソサエティの英国本部30周年、日本支部20周年記念イベント。華やかな雰囲気の中、まずザ・ソサエティ日本支部代表、デービッド・クロール氏が挨拶。ザ・ソサエティが産声を上げた1983年、ウイスキー業界は暗黒の時代だった。その苦難の時期を乗り越え、現在は非常に活気に満ちており、新たな時代へと向かっていると説明。

その後、エディンバラ本部より来日したグローバルブランドアンバサダー ジョージー・ベル女史が世界のザ・ソサエティの歴史や各支部の活動状況を紹介した。
ザ・ソサエティでは、蒸溜所より樽を厳選して購入し、樽から出したそのままの状態でボトリングして世界中の会員に販売している。その際蒸溜所名はラベル等に表示せず、蒸溜所コードと呼ばれる数字で管理しているのだ。これは蒸溜所名にこだわらず、純粋にウイスキーを楽しむためとのこと。ボトリングされる樽は、本部の専門家によって厳格に審査されたうえで決定しており、現在では129の蒸溜所が認定されている。
その中で、2002年に初めて余市蒸溜所のサンプルが届いた際には、パネラーから「なぜスコッチの組織がジャパニーズウイスキーを」という声も上がったそうだ。しかし実際にテイスティングし、そのクオリティの高さにすぐに納得したというエピソードを披露。
さらに続けて、新たに3つの日本の蒸溜所がザ・ソサエティの仲間に加わることを発表した。
それが「秩父」「羽生」「軽井沢」である。この発表に会場内は大いに沸き、拍手に包まれた。

そしてサントリー酒類株式会社 チーフブレンダー 輿水精一氏ニッカウヰスキー株式会社 主席ブレンダー 山下英俊氏株式会社ベンチャーウイスキー 社長 肥土伊知郎氏本坊酒造株式会社 洋酒営業部長 折田浩之氏が挨拶。特に今回「秩父」「羽生」が認定に至った肥土氏は、「大変光栄に思っております。これからも諸先輩に続いてウイスキーづくりに励んでまいります」と語った。

      

その後、京都に新しいザ・ソサエティのオフィシャルバーをオープンする西田 稔氏が乾杯の挨拶。西田氏は京都で「K6」をはじめとするバーや酒販店を経営しており、この西のオフィシャルバー「Bar Keller」は、ソサエティのボトルを200本以上揃えて12月3日にオープンするとのこと。WMJでもぜひお伺いしてみたい。

パーティーでは、12月に発売となる20周年記念ボトル第4弾の先行テイスティングだけでなく、これまでにリリースされたジャパニーズウイスキーも多数出揃い、来場者はテイスティンググラスを所狭しと並べて希少なウイスキーを楽しんでいた。

本年WWAで世界一となった本坊酒造(マルス蒸溜所) 折田氏は「本日お招きいただいたことで、期待をしていただいているのが伝わってまいりました。来年には蒸溜所を再開してからの原酒が世に出せる状態になります。これからぜひいろいろとチャレンジしたいです」と語る。

四季ごとにザ・ソサエティの先行サンプリング会を開催している博多「バー・オスカー」の長友 修一氏「九州ではシングルモルトはまだまだというところもありますが、とにかくウイスキードリンカーの間口は広がってきたことを実感しています。ザ・ソサエティのような限られたシングルカスクの愉しみをもっとお客様に広げていきたいですね」と語った。

今回新たに認定された3蒸溜所のうち、「羽生」「軽井沢」はすでに閉鎖されているため、文字通り「限りある」ウイスキーだ。反対に、「秩父」は翼を広げて世界に羽ばたき始めたばかり。どちらも同じジャパニーズウイスキーとして同じボトル、同じ形式のラベルをまとって世界中の会員にシェアされる。これはザ・ソサエティならではといえよう。
新たな節目を迎え、より一層ウイスキーファンを魅了するボトルをリリースしていくザ・ソサエティ。来年の3蒸溜所ファーストボトルのお披露目が今から楽しみである。 

カテゴリ: Archive, features, TOP, イベント, 最新記事