アベラワーが4アイテムで日本再登場
絶妙なバランスと複雑さで世界のウイスキーファンを魅了するスペイサイドの人気ブランドが、日本市場に公式な再登場を果たした。シングルモルトウイスキー「アベラワー」の4アイテムを、シーバスブラザーズのインターナショナルブランドアンバサダー、ダレン・ホージー氏と共に味わう。
文:WMJ
シーバスブラザーズのインターナショナルブランドアンバサダーを務めるダレン・ホージー氏は、このアベラワーの魅力を誰よりも知る人物。グラスゴーで生まれ、スペイサイドで育った生粋のスコットランド人だ。2003年よりたびたび来日し、日本のウイスキーファンの経験値に敬意を抱いている。
スペイサイドの中心地でつくられるアベラワーが、華やかな甘味やフローラルなスペイサイドらしい酒質をしっかりと備えているのは言うまでもない。特徴は蒸溜所の細部に現れる。ポットスチルは玉ねぎ型で、ネックの長さは「中くらい」だ。ザ・グレンリベットほど長くないが、ストラスアイラほど短くもない。この中庸な設計が、後の熟成において極めて重要なポイントになるのだとホージー氏は語る。
「アベラワーのスピリッツは、軽快でパイナップルのようなフルーツ香があるザ・グレンリベットと、力強く重みがあるストラスアイラのちょうど中間に位置付けられます。しっかりとしたボディに、軽やかでくっきりとしたバランスを兼ね添えているので、シェリーカスクとバーボンカスクの両方で理想的な熟成ができるのです」
酒質が軽いと、シェリーカスクのパワーに負けてしまうリスクをホージー氏は指摘する。シェリーカスクとバーボンカスクで別途に熟成した原酒をマリッジさせ、絶妙な複雑さを構築するのがアベラワーの「ダブル・カスク マチュアード」だ。2種類のカスクの恩恵を最大限に引き出して、贅沢に同居させられるのがアベラワーのアドバンテージなのである。
熟成年ごとの見事な完成度
「この開封の瞬間がいつもたまらない」と、コルク栓のキャップを外すホージー氏。まずは「アベラワー12年 ダブル・カスク マチュアード」がグラスに注がれる。ストレートでしばらく香りと味を確かめ、少しだけ水を入れる。隠れていたアロマが引き出されてきた。
すぐに感じるのは、赤いベリーやリンゴのようなシェリーカスク由来のフルーツ香だ。そしてバーボンカスク由来のクリーミーな甘さも突き抜けてくる。水を入れたときからシナモンやジンジャーなどのスパイスが花開き、口に含むとダークチョコレートの感触やバニラのような甘味に包まれる。シェリーカスクとバーボンカスクの特長が、まさに抜群のバランスで同居している。
次のボトルは「アベラワー16年 ダブル・カスク マチュアード」。香りはいっそうクリーミーな印象が強く、口に含むと12年よりも少しだけ甘味が増し、レーズン、チョコレートケーキ、フルーツケーキなどを思わせるリッチなアロマがある。シルクのような舌触りが印象的で、スパイスの感触も濃厚だ。シェリーカスクの印象がほんの少し増している。
「熟成年数が多くなるに従って、フレーバーが強まっていくと想像される方がいらっしゃるかもしえれません。でも実際には、何かの要素が強まるというより、複雑さが増して口当たりがスムーズになるのです」
3本目の「アベラワー18年 ダブル・カスク マチュアード」もグラスに入った。うっとりするほど穏やかな香り。ゆっくりと口に含んでもシャープな風味は皆無だ。3つのボトルでいちばんまろやかだが、風味は非常に複雑だ。スペイン産オレンジのような、ほんのかすかな苦味の存在をホージー氏は指摘する。これこそがクラシックなシェリーのアロマなのだ。
しばらく空気に触れさせていると、どのグラスも香りや風味に変化が現れる。18年のグラスは、洋ナシやアンズの風味が強まったようだ。口に含むと、ハチミツのような優しい甘味がそっと舌を包み込む。
「熟成年が長いほどフレーバーは複雑になります。そんなウイスキーほど、細部が花開くのを待ってあげましょう。香りもどんどん強まっています。本当にメローで素晴らしいウイスキーですね」
パワフルかつデリケートなシェリーカスクの深み
グラスからは、甘くてドライなオロロソシェリー樽の香りが力強く迫ってくる。クラシックなシェリーカスクに特有なレーズンのアロマ。口に含むと、アルコール度数を感じさせないやわらかさに驚く。甘く、ドライで、ダークチョコレートを思わせるリッチなテクスチャー。口のなかでずっと風味が留まり、その風味をいつまでも噛み締めていたい気分になる。
「驚くべきウイスキーです。ほんの少し加水すると、素晴らしいアロマが解放されて、力強さのなかにいっそう複雑さが表現されてくるのがわかるでしょう。口当たりがよいので、正体を知らなければカスクストレングスだと気づかれないほどです」
アブーナとは、ゲール語で「オリジナル」の意味。このボトルは、1879年にアベラワー蒸溜所を創業したジェームズ・フレミングへのオマージュなのだとホージー氏は語る。樽出しのカスクストレングスで、チルフィルターもおこなわない。グラスをかざすと、ほんの少しだけ霞んだように見えるのはそのためだ。クラシックなカスクの熟成から、何も引かない完全にナチュラルなウイスキーである。
「ジェームズ・フレミングは、フレーバーを包み隠さずに表現することを身上にしていました。簡素なボトルを見てもおわかりいただけるように、派手なデザインやマーケティングをしないのも創業当時からの伝統です。なぜなら、ひとたびグラスでアベラワーを飲んだ人は、必ずまたこのウイスキーを求めることになるから。経験豊かな日本のウイスキーファンの皆さんも、アベラワーを愛してくださるものと確信しています」
スペイサイドの底力が実感できる4つのボトルを、秋の夜長にじっくりと楽しんでみたい。
アベラワー12年
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アベラワー16年
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アベラワー18年
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アベラワー アブーナ希望小売価格 10,000円(税別) 容量 700ml 度数 約60度 ※カスクストレングスにつき、バッチナンバー毎に度数が異なります。 |
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