甘やかでディープなブラックニッカの新境地
文:WMJ
60年以上の歴史を持つ「ブラックニッカ」は、ウイスキーファンの幅広い嗜好に応えてくれるブレンデッドウイスキーだ。すっきりとした軽やかな味わいが特長の「クリア」、華やかな香りと芳醇なコクが特長の「リッチブレンド」、濃厚でしっかりとした飲みごたえが特長の「ディープブレンド」という3アイテムを中心に構成され、時折リリースされる限定ボトルがニッカらしいブレンディングの妙を感じさせる。
アサヒビールの奥田大作マーケティング第三部長によると、「ウイスキー本来の味わいを楽しみたい」と考える消費者はますます増えている。ハイボールだけでなく、ゆったりとオンザロックやストレートで楽しむのに適したブラックニッカといえば「ディープブレンド」だ。このたび開発された「ブラックニッカ ディープブレンド エクストラスイート」は、定番「ディープブレンド」の個性をさらに際立たせた限定商品である。
新しいブレンドの開発にあたり、ニッカウヰスキーのブレンダー室では既存の「ディープブレンド」の個性を改めて検証した。佐久間正チーフブレンダーが経緯を振り返る。
「グラスから立ち上がる甘い香りを強調しようとブレンドを進めていくうち、ある壁にぶつかりました。もともと『ディープブレンド』の骨格が強固な分、単に熟成感の豊富な新樽モルトをプラスするだけでは違いをもたらせないことがわかったのです」
そこでブレンドの基礎を安定させるため、まずは長期熟成のグレーンウイスキーの比率をアップ。さらに新樽で10年以上熟成させた余市モルトと宮城峡モルトを加え、バニラのように濃密な甘い香りを表現した。
「ウイスキーとしての厚みや力強さを高めることで、香りのボリュームがアップしました。こうして『ディープブレンド』の個性をさらに際立たせた『エクストラスイート』の味わいに到達できたのです」
2種類の「ディープブレンド」を比較テイスティング
それでは佐久間正チーフブレンダーの手引きで、定番ボトルと限定ボトルを飲み比べてみよう。
まずは定番「ブラックニッカ ディープブレンド」の香りを確かめる。濃醇でウッディな香りとバニラを思わせるやわらかな甘さ。これは新樽熟成のモルト原酒から来る要素なのだと佐久間氏は説明する。「口に含んでみましょう。深みのある樽のコクに、豊かなモルトの甘みを感じます。シナモンやナツメグのスパイスや、熟成されたカフェグレーンの存在感もありますね。香りでは隠れていたピートのスモークが鼻に抜け、ビターな余韻と混じり合う様子がわかりますか?」
アルコール度数45%でありながら、あくまでバランスに優れた飲みやすさを改めて実感する。
次はいよいよ数量限定「ブラックニッカ ディープブレンド エクストラスイート」の番である。
まず香りで感じるのは、熟成されたカフェグレーンの甘い香ばしさ。その後から、モルトや樽を由来とする複雑な香りが幾重にも広がっていく。口に含むと、深くコクのある味わいに驚いた。
「新樽のウッディなほろ苦さと甘味をうまく調和させています。舌ではビターな味わいを感じながら、商品名の通り甘い余韻がいつまでも続くはずです」
鼻の上方で感じるピートのスモーク香も増加し、まさにウイスキーの深みが進化した印象だ。オンザロックで味わえば、新樽モルト特有の甘いバニラ香がゆっくりと開いていく過程が楽しめる。またハイボールなら、背後に潜んでいたピート香が泡とともに湧き上がり、ビターな個性が顕在化されて面白い。
この限定ボトルの発売に合わせ、定番「ブラックニッカ ディープブレンド」のパッケージも大幅にリニューアルされた。初採用の透明なスクエアボトルは高級感があり、手に取りやすいデザインでもある。評判の高い中味のブレンドに変更はない。
本格的な味わいの「ブラックニッカ ディープブレンド」と「ブラックニッカ ディープブレンド エクストラスイート」は、夕食後にくつろいで楽しむウイスキーとしても秀逸だ。この秋は甘やかな香りとビターな余韻で、夜の深みをゆったりと味わってみよう。
ウイスキーって、おもしろい。ブラックニッカの歴史、商品、キャンペーンなどの詳細がわかるオフィシャルサイトはこちらから。