プレミアムテキーラの大物が日本新登場

March 26, 2017

テキーラの老舗ブランド「クエルボ」から、同社を代表するプレミアムテキーラ2商品が発売された。テキーラのプロフェッショナルとともに、その深い味わいを体験する。

文:WMJ

 

1795年創業のクエルボは、200年以上の歴史をもつテキーラの老舗だ。世界90ヶ国以上で販売され、販売量も世界一の「ベスト・オブ・テキーラ」として日本でも親しまれている。クエルボがあるメキシコのハリスコ州テキーラ地区にはテキーラの原料となるアガヴェの畑が広がり、その美しい景観は2006年にユネスコ世界遺産に登録された。

ハリスコ州の大地で育つアガヴェ(リュウゼツラン)は、甘くフルーティなジュースをふんだんに含んでいる。これは古代の火山噴火で降り積もった火山灰が、ミネラルたっぷりの土壌を用意してくれる賜物だ。アガヴェのジュースを醸造した「プルケ」という酒は、西暦200年頃から飲まれていたらしい。このプルケを蒸溜してつくるテキーラは、エルナン・コルテス以降の1600年頃から歴史に顔を出す。

毎年収穫できる麦、コーン、サトウキビなどの原料とは異なり、アガヴェの栽培には平均で6~8年もかかる。クエルボの本拠地であるラ・ロヘーニャ蒸溜所では、手摘みで収穫されたアガヴェをレンガ製のオーブンに入れ、まずは48時間かけてゆっくり蒸し上げている。その後14時間の冷却を経て60時間の発酵工程を完了し、ウイスキーやブランデーと同様に銅製のポットスチルで蒸溜される。時間短縮の技術も進んでいるが、クエルボは複雑な香味を得るためにあくまで手間のかかる伝統製法にこだわっているのだという。

「DONS OF TEQUILA」の世界チャンピオン、江刺幸治氏が「クエルボ・プラティノ」で特別なカクテルを制作。濃厚なアガヴェの風味がくっきりと引き立っていた。

いわゆるシルバーテキーラは蒸溜後すぐにでも製品化できるが、樽熟成の工程に進むテキーラもある。ラ・ロヘーニャ蒸溜所の地下セラーは、暑さが厳しいメキシコの夏でもひんやりと涼しく、熟成がゆっくりと進み長期熟成が可能。ただ一般にメキシコは寒暖の差も激しいのでウイスキーなどに比べ熟成が早く進む。熟成期間2ヶ月以上のテキーラは「レポサド」、1年以上のテキーラは「アネホ」と分類される。

熟成が済んだテキーラは、ドン・フランシスコ率いる総勢7人のブレンダーチームによってブレンドされ、カラフルなボトルに詰められて世界に出荷される。シンプルでワイルドなイメージもあるテキーラだが、実に複雑な工程を経てようやく我々のもとに届くのだ。

 

アガヴェ100%テキーラの完成形を味わう

 

今回発売となるテキーラは、クエルボが誇る2つのハイエンド商品だ。テキーラのカクテル世界一を決める「DONS OF TEQUILA」で2015年にチャンピオンとなった江刺幸治氏が、テイスティングを指南してくれる。

まずひとつめは、透明な「クエルボ・プラティノ」。アガヴェ100%のテキーラで、グラスからはすでに旺盛な香りが立ち上がっている。口に含むとアガヴェの鮮烈な風味を感じるが、口当たりは極めて滑らかだ。江刺氏が説明する。

「自社畑から10年~12年もののアガヴェを厳選しているので、6~8年ものが中心のスタンダードなアガヴェ100%テキーラよりも風味が濃密。アガヴェの香味の強い部分だけを使用するなど、相当な手間もかけています。これはシルバーテキーラの完成形といってもいいでしょう。できればストレートで味わっていただきたい美味しさです」

クエルボにとって、メキシコとアメリカを除く最大の市場が日本である。写真は左からアサヒビールマーケティング第三部長の笹原俊一氏、カルロス・アルマダ駐日メキシコ大使、クエルボ社のイアン・ストラチャン氏。

そしてもうひとつのグラスは、琥珀色の「クエルボ・レゼルヴァ・デ・ラ・ファミリア」。そもそもはクエルボ家の人々が楽しむためにつくられ、クエルボ社創業200周年を記念して発売されたというフラッグシップ商品である。上品なアガヴェの香りに、ほんのりとバニラを感じさせる落ち着いた樽香。口に含むとそのまろやかさに驚く。「クエルボ・プラティノ」と同様に10年以上のアガヴェのみを厳選し、アメリカンオーク樽とフレンチオーク樽で3年以上熟成させた「エクストラアネホ」だ。30年以上の原酒もブレンドされており、長期熟成ならではの深く複雑な味わいがある。江刺氏は語る。

「世界でいちばん歴史があり、いちばん売れていて、伝統の製法にこだわるテキーラブランドがクエルボ。そのフラッグシップ商品だから、もうテキーラの最高峰と呼んでもいいと思います。天地人の要素がすべて揃った、見事な味わいを実感してください」

テキーラをショットで楽しむスタイルは、日本のクラブカルチャーにも定着した。だがその一方で、実は「アネホ」をゆっくりと楽しむテキーラファンも増えている。メキシコ政府の統計によると100%アガヴェテキーラの消費全体に占める「アネホ」の割合は、アメリカが約7%、スペインが約5%であるのに対し、日本は17%と際立って高い。テキーラをブラウンスピリッツの一種として嗜好する層は、これからさらに増えていくかもしれない。

今回のテイスティングに、ホスト役として同席したカルロス・アルマダ駐日メキシコ大使がしみじみと語ってくれた。

「メキシコ人にとって、テキーラは流行ではありません。時間をかけて洗練された素晴らしい品質を、じっくり味わっていただきたいと思います。みずみずしいアガヴェの香りを確かめ、舌の上で転がして芳醇な風味を受け取り、メキシコの風土と文化を存分に楽しんでください」
 

 

クエルボ・プラティノ(左)

クエルボ・レゼルヴァ・デ・ラ・ファミリア(右)

 

品目:スピリッツ(テキーラ)

容量:750ml

アルコール分:40%

価格:オープン価格

 
世界ナンバーワンのテキーラブランド「クエルボ」の製品情報はこちらから。
 

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