世界一ラグジュアリーなウイスキーブランドの20年【前半/全2回】
文:WMJ
無数のブランドがしのぎを削るウイスキー業界だが、マーケティングの重大な判断をクリエイティブ・ディレクターに委ねている企業はごく少数だ。製品の一貫性を何よりも重視するウイスキーづくりにおいて、クリエイティブな変革は時に困難なことのようにも思われる。
「いやいや、むしろ制約があったほうがクリエイティブになれますよ。自由な発想は、いつも不自由な状況からこそ生まれますから」
そう語るのは、マッカランのクリエイティブ・ディレクターを務めるケン・グリアー氏だ。過去20年にわたって、スペイサイドの蒸溜所をラグジュアリーなウイスキーブランドに育て上げた仕掛け人である。
グリアー氏が天職に出会ったのは今から20年前。LEGOや清涼飲料水のマーケティングを経て、まだ世界的なブームが到来する前のスコッチウイスキーに興味を持った。長年タッグを組むことになるビル・ファラーの手引きで1998年にハイランド・ディスティラーズに入社。同社をエドリントン・グループが買収したことで、翌1999年にはマッカランもポートフォリオの一部になった。
「スコットランド人として、世界各地で祖国の製品をマーケティングする面白さを感じました。そしてバーで楽しむこともあれば、自宅で楽しむこともある点が、ちょうどオンプレミスとオフプレミスを等しく重視するエンターテインメント産業にも似ていることに気づいて興味が掻き立てられたのです」
エドリントンではディレクター・オブ・モルツに就任し、マッカランの収益性について徹底分析。ブランドに明確なラグジュアリー路線が必要だと判断した。やがてマーケティング・ディレクターとクリエイティブ・ディレクターを兼任しながら、大胆なアイデアを次々と繰り出すようになる。
「強力なブランディングとは何か。本当に特徴のある製品とは何か。マッカランの成功は、私たちが徹底してクリエイティブな考え方をしてきた成果です。他のウイスキーブランドとは違う独自路線を貫くには、クリエイティブであり続ける以外に方法がありませんでした」
消費者の変化に対応してブランドを拡大
かつてブレンド用のモルト原酒生産が主体だったマッカランが、シングルモルト路線に舵を切ったのは1980年代のこと。だが当時のマッカランに現在のような知名度はなかった。
「私がウイスキー業界に入った20年前、シングルモルトに興味を抱く人は少数に過ぎず、それほど大きな市場だとは思われていませんでした。それが今ではすっかり人々の認識も変わり、シングルモルトがオピニオンリーダーとしてウイスキー業界を牽引しています」
グリアー氏がマッカランのマーケティングに着手した1999年当時、マッカランの年間販売量は約15万ケースだった。それが約20年後の現在では100万ケースを超えている。シングルモルト路線に転換したマッカランを、ラグジュアリーブランドとして成長させたグリアー氏の功績は大きい。だが市場の質的な変化も、確かに追い風となったとグリアー氏は分析している。
「現在の若い世代は、かつての若者のようにホワイトスピリッツを大量に消費せず、どちらかといえばブラウンスピリッツの品質に共感しています。商品そのものより高品質のドリンクを楽しむ経験のほうが大切で、本当に価値を認めるものだけにお金を使いたい。クラフトであることや、地元産へのこだわりも高い評価の対象になります」
全体の消費量は減っていても、より品質の高いものを好むようになった消費者。そういった市場の傾向を強みとしながら、シングルモルトの分野が全体として成長できたのだとグリアー氏は説明する。他のあらゆる酒類カテゴリーと比べてもシングルモルトが存在感と競争力を増し、そのムーブメントの中心にはいつもマッカランがいた。
「SNSの力も大きいですね。従来型のイベント、PR、広告もいまだに重要ですが、Instagram、Facebook、Twitterなどで多彩な消費者に一気にリーチできるようになりました。現在の活動をリアルタイムで伝えられるメディアとして、SNSのメリットは計り知れません」
(つづく)
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