ザ・ソサエティ ジャパニーズリリースイベント 「11人の侍」レポート

March 11, 2015

3月6日、パークホテルにてザ・スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ(以下ザ・ソサエティ)日本支部が開催したジャパニーズウイスキー11種のリリースイベント「11人の侍」をレポート。

シングルカスクのジャパニーズウイスキーが11種発売されるということは、世界的にも例を見ないことだ。世の中にボトラーズは数あれど、このようなリリースが出来るのは日本支部を持つザ・ソサエティだけであろう。

この日、イベント「11人の侍」に先駆けて、プレス向けテイスティングセッションが行われた。
その中でザ・ソサエティ日本支部代表 デービッド・クロール氏
「世界的に注目を集める日本の4蒸溜所からの8つの樽、そして今回新規登録となったグレーンのシングルカスク3アイテム。このようなリリースができたのは、ザ・ソサエティ日本支部としての20年を超える活動において、ジャパニーズウイスキーメーカーの方々と築いた信頼関係の賜物と思っています」と語った。

今回のリリースのうち、2月25日に発売された2アイテムのテイスティングとともにチーフブレンダーによるミニセミナーが行われた。
サントリースピリッツ株式会社 チーフブレンダー、福與 伸二氏「119.14 山崎 2003(タイトル:ラズベリー・インペリアルスタウト)」について「このウイスキーはバットよりも長さの短いスパニッシュオークの樽、ボタコルタという樽で熟成されています。スペイン語で『ボタ』は『樽』、『コルタ』は『短い』という意味で、シェリーバットを短く、ずんぐりした形にしたものです。中味は2003年蒸溜、11年熟成でシェリー樽らしいジャム、ドライフルーツなどの濃厚な味わいの中にエスプレッソのようなほろ苦さもあり、非常に華やかです。シングルカスクであってもトップからフィニッシュにかけての複雑さが楽しめるものだと思います」と説明。
そして今回は初めて知多蒸溜所からグレーンをリリースしたことについて「サンプルをいくつか送ってザ・ソサエティの本部で選んだいただいたわけですが、意外なことに比較的若めの、2009年蒸溜のものが選ばれました。近江クーパレッジ製作の新樽で熟成した、ヘビータイプのグレーンです。『響』などに使われている原酒とはまた異なるタイプですので、ぜひこちらもお試しください」と、世界で唯一の知多グレーンのシングルカスクを紹介した。

続いて、ニッカウヰスキー株式会社 チーフブレンダー、佐久間 正氏「116.19 余市 1994(タイトル:スイーツショップのそばのタバコ店)」を紹介。
「これはアメリカンホワイトオークの新樽で20年熟成しております。栃木のクーパレッジでつくった樽です。新樽由来のバニラやシナモン、オレンジピールのようなスパイス系の香りが立ちあがりますが、20年の間に非常に穏やかになっています。味わってみますとミルクチョコレートのような丸い甘み、ピートの香りがふんわりと舌の周りに感じられると思います」と説明した。
今回新たに登録された宮城峡蒸溜所のカフェグレーンカフェモルトについては「宮城峡のカフェ式スチルは、連続式蒸溜機でも最新式のものと違って非常に様々な風味を残せるスチルです。グレーンと比較するとモルトは原価が非常に高いため、通常では連続式蒸溜機を使用することはあまりないんです。でもこのカフェモルトはとても複雑なアロマやしっかりとした味わいを残しています。このカフェモルト、カフェグレーンは海外市場から発売しましたが、お陰様で非常に好評です。国内でももっとこのスチルの良さをお伝えして味わっていただきたいですね」と語った。

プレスイベントの後、19時半からは一般向けのイベントが行われた。参加者はウェルカムドリンクの他に配られた20枚のチケットを使用し、100本以上のザ・ソサエティモルトの中から好みのウイスキーを選び、じっくりと愉しんだ。

  

世界的にもストックは減少し、ボトラーズでもシングルカスクでのリリースは難しくなりつつある。もちろん、サントリー、ニッカからのオフィシャルとしてシングルカスクがボトリングされることは、数年前からかなり限定されている。
そのような状況のなかでザ・ソサエティがジャパニーズ・シングルカスクを11種もリリースしたことは、奇跡的と言っていいかもしれない。
2月25日の第一弾(2アイテム)に続いて3月10日に発売となった9アイテムも、一部を除きほぼ完売状態とのことだが、ぜひバーで見かけた際にはこの希少なボトルとの一期一会をお試しいただければと思う。

カテゴリ: Archive, features, TOP, イベント, 最新記事