153号　テイスティングコメント　【前半／全2回】

October 11, 2018

from Issue 153

テイスティング:ロブ・アランソン、サム・コイン

世界のウイスキー業界を代表する評論家が、最近発売された多彩なカテゴリーのボトルを試飲して、詳細なテイスティングノートを作成した。今回紹介する中にも、きっとあなたを魅了する銘酒があるだろう。

※参考価格は主に英国で販売された実勢価格を表示しており、日本国内では為替の変動や入手経路によって価格が大幅に変わる場合がございます。あらかじめご了承いただき、あくまで目安としてご覧ください。

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Whisky Magazine ではウイスキー専門家、作家、愛飲家によるテイスティングを毎号開催し、その情報を皆さんにお届けしています。

およそ700種類に及ぶ世界中から集められたウイスキーのテイスティングノートや情報はこちらからご覧いただけます。現在は多くのテイスティングコメントを皆様にお届けするために、バッチ（製造年）違いである同一商品のテイスティングも掲載しておりますので、現在発売されているウイスキーの評価とは限りません。予めご了承ください。

推奨ボトル

テイスターが判定したポイントの規定によってSilver Recommended（銀賞）もしくは Gold Editors Choice（金賞）が毎号決定します。

※テイスティングの対象ボトルには、日本国内では入手ができない銘柄も含まれますのであらかじめご了承ください。なおテイスティングノートの内容は、あくまでテイスティングをした評論家の個人的な感想です。

レッドブレストドリームカスク 32年 32年 46.5%

蒸溜所名: ミドルトン蒸溜所
地域: アイルランド
価格帯: -181
入手可能場所: 全世界

ロブ・アランソンSCORE9.2

香り: 黒っぽい果皮のフルーツをたっぷりと感じさせる香り。カシスのコンポート、プラムプディング、キイチゴのジャム、フィグニュートン。後からブラッドオレンジの刺激やねっとりしたチェリーヒーリングの香りを感じ、クリーミーなオークや黒ずんだバナナの匂いもやってくる。
味: ねっとりとした舌触りがあり、素晴らしくオイリーな感覚。硬質なライムチョコレートキャンディーとジューシーなフルーツの見事な融合。熟れたイチゴ、ドーナツピーチ、ビクトリアプラム。わずかにスモーキーな風味を感じさせるが、極めて穏やかな印象だ。ベルガモットの風味もかすかにある。
フィニッシュ: 余韻は長く、濃密で穏やかな後味が徐々にフローラルな印象に変化する。かすかにスパイスとプラムの風味を感じ、しっかりとしたオークの感触もある。
コメント: 熟成年は長いのだろう。そしておそらく高価なウイスキーなのだろう。だがそれを抜きしても驚くべき何かがある。偶然から生まれた単発のボトルなのかもしれないが、それでも長期熟成のポットスチルがここまで美味しくなれるという見本を示してくれる。

サム・コインSCORE8.9

香り: 押し出しの強い大胆不敵な香り。熟れたフルーツや、フレンチプレス式コーヒーの鮮やかで快活な香り。タバコのようなアロマにも誘導される。
味: キーライムパイのような風味。焼き立てのドーナツ風味がかすかな甘味を持ち込み、柑橘系の味とバランスをとる。その後からオークの風味が台頭してきて、熱っぽい辛みと各種の調理用スパイスを思い起こさせる。さらにイチゴ、ラズベリー、いちじくなどの味でひねりも感じさせる。
フィニッシュ: 延々と続くような余韻。オーク香が戻ってきてやや全体を独占しかけるが、赤いベリー系フルーツの爽やかな印象はまだ残っている。
コメント: 端的に言って、本当に素晴らしいウイスキー。さまざまなフレーバーの世界に誘われる。ウイスキーというお酒の潜在力を疑っている友達がいたら、このウイスキーを試してもらえばいいだろう。