169号 テイスティングコメント 【後半/全2回】

October 1, 2020

from Issue 169

テイスティング:ロブ・アランソン、ベッキー・パスキン


世界のウイスキー業界を代表する評論家が、最近発売された多彩なカテゴリーのボトルを試飲して、詳細なテイスティングノートを作成した。今回紹介する中にも、きっとあなたを魅了する銘酒があるだろう。

※参考価格は主に英国で販売された実勢価格を表示しており、日本国内では為替の変動や入手経路によって価格が大幅に変わる場合がございます。あらかじめご了承いただき、あくまで目安としてご覧ください。


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Whisky Magazine ではウイスキー専門家、作家、愛飲家によるテイスティングを毎号開催し、その情報を皆さんにお届けしています。

およそ700種類に及ぶ世界中から集められたウイスキーのテイスティングノートや情報はこちらからご覧いただけます。現在は多くのテイスティングコメントを皆様にお届けするために、バッチ(製造年)違いである同一商品のテイスティングも掲載しておりますので、現在発売されているウイスキーの評価とは限りません。予めご了承ください。


推奨ボトル

テイスターが判定したポイントの規定によってSilver Recommended(銀賞)もしくは Gold Editors Choice(金賞)が毎号決定します。

※テイスティングの対象ボトルには、日本国内では入手ができない銘柄も含まれますのであらかじめご了承ください。なおテイスティングノートの内容は、あくまでテイスティングをした評論家の個人的な感想です。

ラーセニィ バレルプルーフバーボン バッチB520    61.3%

  • 蒸溜所名: ヘブン・ヒル蒸溜所
  • 地域: ケンタッキー
  • 価格帯: £26-70
  • 入手可能場所: 全世界

ロブ・アランソンSCORE8.3

香り
最初は盛大なアルコールの一撃を受ける。このアルコール香は時間が経つにつれてほぼ後退するが、そこになリッチ香りが立ち上がってくる。熱々のバターを塗ったコーンブレッド、唐辛子をまぶした乾燥スイートコーンの殻粒、アルコール漬けの木材などの匂いが突き抜けてくる。
最初は穀物の風味が中心で、やがて心地よくスパイシーなシナモン風味が立ち上がる。そこにはチェリーリキュールやバニラ風味の要素もある。オーク材由来のタンニンが穏やかに主張し、ココナッツ味のマカロンやミルクチョコレートの風味を感じさせる。
フィニッシュ
チョコレートとスパイスの香りがアルコールの刺激と一緒に爆発し、やがて静かに消えていく。
コメント
少しだけ水を加えてみよう。アルコールの背後に隠れている香りが、たっぷりと心地よく開いてきて楽しめる。

ベッキー・パスキンSCORE8.9

香り
最初はほとんどアロマを知覚できないが、しばらく置いて待つ(もしくは水を加える)と香りが開いてくる。フレッシュなバター、粉砂糖、レーズン、ジンジャーナッツ、削ったナツメグなどを振りかけたシナモンロールの匂い。
バタートーストや焦げたキャラメルの風味があり、かなりふんだんなスパイス風味も伴っている。加水すると印象が和らぎ、溶けかけたアイスクリーム、バターを塗った軸付きのコーン、ローストで焼いたクルミ、粉砂糖の菓子、トレイルミックスなどの風味を感じさせる。
フィニッシュ
こんがりきつね色に焼いたトーストと、かすかなライ麦由来のスパイス。
コメント
香りや風味が開くまでは辛抱も必要だ。だがひとたび開けば、その魅力がたっぷりと楽しめる。



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