アメリカのウイスキートレイル【後半/全2回】
文:マギー・キンバール
バージニア・スピリッツ・トレイル:ウイスキー以外の蒸溜所もたくさん含まれているが、週末をたっぷり使ってさまざまなウイスキー蒸溜所を訪ね歩くことも可能だ。ジョージ・ワシントン大統領が創設したマウントバーノン蒸溜所とグリストミル(粉挽き小屋)、バージニア蒸溜所、カトクティンクリーク、コッパーフォックス、KOディステリング、A・スミス・バウマンなどはすべてウイスキー蒸溜所だ。このトレイルでは、蒸溜所の他に道中のアトラクションや飲食店のおすすめも提案してくれる。(virginiaspirits.org/trail)
ウイスキー・リベリオン・トレイル:アメリカ東海岸の北部には、さまざまなスタイルのライウイスキーを生産してきたことで知られる地域がある。この「ウィスキー税反乱」をテーマにしたウイスキートレイルは、アメリカの歴史のなかでも特に誤解されがちな事件を記念したルートである。ウイスキー・リベリオン(ウィスキー税反乱)は、酒税を疎ましく思ったウイスキーメーカーが税の支払いを拒否した事件として語られることが多いが、ジョージ・ワシントンが手勢の兵士13,000人を引き連れて合衆国初の税金を力ずくで徴収した歴史的事実はしばしば都合よく忘れられている。ガイド付きのトレイルツアーは、フィラデルフィアからワシントンDCやボルティモアを巡りながら当時の歴史を振り返り、オプションとして蒸溜所見学(17〜359ドル)も付けられる。(whiskeyrebelliontrail.com)
アメリカン・ウイスキー・トレイル:このウイスキートレイルは米国蒸溜酒評議会(DISCUS)が支援するルートだ。複数の州にまたがって蒸溜所と歴史遺産を訪ねるコースだが、一部の目的地はケンタッキー州内にあり、「ケンタッキー・バーボン・トレイル」とも重複している。(americanwhiskeytrail.com)
テネシー・ウイスキー・トレイル:世界でいちばん売れているアメリカンウイスキーといえばジャックダニエル。だが長らくテネシー州にはジャックダニエルとジョージディッケル以外の蒸溜所が存在しなかった。それでも近年のクラフトウイスキーブームのおかげで、今では24軒以上の蒸溜所が点在するウイスキー州に変貌している。(Tnwhiskeytrail.com)
カム・ファインド・バーボン:略して「CFB」トレイル。ケンタッキーの中でも小規模な町を網羅し、フランクフォート、コビントン、バーズタウンなどを訪ねる。いずれもウイスキーづくりが日常の中心にあるようなバーボンタウンだ。(comefindbourbon.com)
テキサス・ウイスキー・トレイル:何でもスケールが大きいテキサス州。ウイスキートレイルもあまりに長大なので3つの地域に分割されている。ノース・テキサス・トレイルでは、アイアンルートリパブリックやバルコネスなどの蒸溜所を訪問できる。ヒル・カントリー・トレールではトリーティーオークやギャリソンブラザーズ。ガルフ・コースト・トレイルはガルフコーストとMKTの2軒のみが対象だ。(texaswhiskeytrail.com)
コロラド・スピリッツ・トレイル:このトレイルはウイスキー以外の蒸溜所も含まれるが、クラフトウイスキー界では有名なストラナハン、ブレッケンリッジ蒸溜所、レオポルド・ブラザーズ、オールドエルクなどがずらりと揃ったコースである。何しろ全部で62軒もの蒸溜所があるというから驚きだ。(coloradospiritstrail.com)
ウイスキー・ワイン&エール・トレイル(オハイオ州ドレイク郡):スピリッツ、ワイン、ビールを組み合わせて、お酒好きの観光客に丸ごとアピールしようというトレイルもある。このルート上で唯一の蒸溜所はインディアンクリーク蒸溜所だが、同じ郡(カウンティ)の中で3軒のビール醸造所と4軒のワイナリーも訪問できるのだから悪い話ではない。(whiskeywineandaletrail.com)
ワシントン・ディスティラリー・トレイル:この蒸溜所トレイルが用意したインタラクティブなマップは、9種類のスピリッツにカテゴリー分けがなされている。アガヴェ、ブランデー、ジン、ウイスキーと何でもありだ。地図上のマーカーを見ればどのカテゴリーに属するのかが一目瞭然なので、ユーザーは自分が訪ねたい目的地のルートを思い思いに計画できる。ウイスキー関連で24軒以上あるが、州内にはそれ以上の蒸溜所がある。ウェストランド、ドライフライ、ベインブリッジなどが有名である。(washingtondistillerytrail.com)
ニューヨーク州・ディスティラリー・トレイル:ウィドウジェーンやキングスカウンティ蒸溜所など、ニューヨーク都市圏内にある10軒の蒸溜所を訪ねてもいい。あるいはニューヨーク州内の他の2地域へ足を伸ばしてみる選択もあるだろう。ハドソンバレー地域にはコッパーシーやヒルロックエステートなどの蒸溜所がある。またウエスタントレイルのコースを選べば、フィンガーレイクスディスティリングほか9軒のメーカーを訪ねることができるだろう。(nydistilled.com/trail)
ドリンク・ミシガン:このトレイルだけで24軒の蒸溜所があるが、ミシガン州の蒸溜所の数はもっと多い。だから訪問先をウイスキー蒸溜所だけに絞ってみたいのなら、独自にリサーチしながらトレイルを外れて足を伸ばすことも必要だ。ミシガン州には、とにかくお酒が好きな人の見どころがたくさんあるのだ。(drinkmichigan.org/spirits)
フィリー・ディスティラリー・トレイル:映画『ブラザリー・ラブ 兄弟の絆』の舞台となったフィラデルフィアには、11軒のスピリッツ蒸溜所がある。ウイスキーファンへのおすすめは、数々の受賞歴を誇るライウイスキー「ダッズ・ハット」を生産するダッズ・ハット蒸溜所だ。(phillydistillerytrail.com)
ウイスキー・ロウ・ポートランド:ヒップな都市として人気のポートランドにも、12軒のバラエティ豊かな蒸溜所がある。だがどうしてもウイスキー蒸溜所だけにこだわりたいのなら、それでもさまざまなオプションが見つかるだろう。ウェストワード・ウイスキーや、ニューディール蒸溜所でのウイスキーづくり教室は特に見逃せない。(distilleryrowpdx.com)