アイラらしさを極めたウイスキー「ポートシャーロット」新発売【前半/全2回】
文:WMJ
ピートの効いたスモーキーなウイスキーが多いアイラ島でも、特にエレガントな味わいと手づくりへのこだわりが魅力の「ポートシャーロット」。だがアイラ島にポートシャーロットという名の蒸溜所はない。ポートシャーロットは、ブルックラディ蒸溜所で生産されるヘビリー・ピーテッド大麦を使用したシングルモルトウイスキーのブランド名なのである。
ブルックラディ蒸溜所では、年間を通して3種類のシングルモルトウイスキーを生産している。分量でいうと、ノンピーテッドの「ブルックラディ」が70%、ヘビリー・ピーテッドの「ポートシャーロット」が20%、スーパー・ヘビリー・ピーテッドの「オクトモア」が10%という配分だ。
そんな通好みのアイラモルトが、コンセプトをさらに明確化し、ブランドを一新するという。ブルックラディでアジアパシフィック地域のブランドアンバサダーを務めるクロエ・ウッドが、できたてのボトルデザインを披露してくれた。
「これまでのポートシャーロットはボトルもブルックラディに似ていましたが、大胆に差別化を図ることにしたんです。個性的なブルーのボトルのブルックラディと、世界でいちばんスモーキーなオクトモアにはさまれて、ポートシャーロットはちょっと控えめな三人兄弟の真ん中の子の役回りでしたから」
ブルックラディと同じく透明だったボトルは、濃いグリーンに変更された。丸みを帯びていた肩も角張った形状に変貌している。これは伝統的なヘビリー・ピーテッドのアイラウイスキーらしさを取り入れながらも、他とは一線を画すデザインなのだとクロエは言う。おなじみの力強いフォントはそのままに、遠くから見てもポートシャーロットだとわかるシルエットに大きく変身した。
初めて年数を表記したポートシャットの新定番
このたび日本で発売される新商品は2つある。そのひとつ「ポートシャーロット 10年」は、ブルックラディ蒸溜所史上初の年数表記をした主力定番ボトル。これまでのマルチビンテージ商品「ポートシャーロット スコティッシュ・バーレイ」の後継商品とみなしていいだろう。
モルトのフェノール値は40ppmで、ヘビリー・ピーテッドの明確なピート香がある。ブルックラディらしいエレガンスに、バーベキューの煙を思わせるスモーク風味が融合した味わいが魅力であるとクロエが説明する。樽の構成は、ファーストフィルのアメリカンオーク樽が65%、セカンドフィルのアメリカンオーク樽が10%、セカンドフィルのフレンチワイン樽が25%。このようなレシピをすべて公開するのは、公明正大なブルックラディのポリシーである。
グラスに注いだウイスキーは、明るいゴールドに輝いている。香りはアイラモルト有数の軽やかさだが、口に含むとスモーキーな喜びが弾ける。フルーツを炭火焼きしたような芳醇さから、いつまでも続く荘厳なフィニッシュで海のアロマが尻上がりに強まってくる。
「50%という度数は、舌にまったりと絡みつくオイリーさとスモーク香のバランスがちょうどいい度数なんです。グラスを少し回してみてください。内壁にしっかりとウイスキーの膜が残るでしょう? これがオイリーな口当たりの正体です」
この豪華な口当たりは、ノンチルフィルターの賜物だ。少し水を垂らすとフレーバーが開き、スモーク香がいっそう広がっていく。「ポートシャーロット 10年」は、ヘビリー・ピーテッドのアイラモルトを極限にまでエレガントに表現したウイスキーといってもいいだろう。
「ヘッド・ディスティラーのアダム・ハネットが追求した10年熟成の理想がここにあります。蒸溜所の復活から17年が経って、ようやく10年熟成のウイスキーが安定供給できるようになりました。初めての方にもおすすめしたいポートシャーロットの新しいスタンダードです」
(つづく)
エレガントなへビリー・ピーテッドの「ポートシャーロット」など、手づくりのシングルモルトウイスキーにこだわるブルックラディの製品情報はこちらから。