「2019 サントリー ザ・カクテルアワード」受賞作品が決定

October 4, 2019

さまざまな素材を組み合わせ、日本と世界の文化を橋渡しするカクテル文化。日本一のカクテルを決める最終選考会を勝ち抜き、今年の「サントリー ザ・カクテルアワード」の頂点に立ったカクテルとは?

文:WMJ

 

カクテルを貴重な洋酒文化のひとつと位置づけ、将来にわたって育むことを目的に1994年から毎年実施されている「サントリー ザ・カクテルアワード」。プロフェッショナルのバーテンダーたちが、カクテルの創造性と技術を競い合う真剣勝負のコンペティションだ。今年の最高峰のカクテルを決める最終選考会が、2019年10月3日にグランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)で開催された。

2019 サントリー ザ・カクテルアワード」の優秀賞以上に輝いた4名のバーテンダー。左から、佐藤淳之さん(インターナショナルカクテル部門優秀賞)、田村龍さん(インターナショナルカクテル部門最優秀賞)、土屋明日香さん(カクテルアワード2019およびジャパニーズカクテル部門最優秀賞)、横山礼さん(ジャパニーズカクテル部門優秀賞)。

本年度は、初めて「ジャパニーズカクテル部門」「インターナショナルカクテル部門」の2部門に分かれて作品を募集。ジャパニーズカクテル部門は、ジャパニーズクラフトジン「ROKU」、ジャパニーズクラフトウオツカ「HAKU」、ジャパニーズクラフトリキュール「奏 Kanade〈白桃〉」「同〈抹茶〉」「同〈柚子〉」の中からいずれかを20ml以上使用して和をコンセプトに創作した作品を、インターナショナルカクテル部門は「シップスミス ロンドンドライジン」「同V.J.O.P.」、「ピナクル ウオツカ」、「テキーラ サウザ ブルー」「同 ブルー レポサド」「同 スリージェネレーション プラタ」、「メーカーズマーク」「同46」の中からいずれかを20ml以上使用して自由な発想で創作した作品が対象となった。

8月のファーストステージ(書類審査)、9月のセカンドステージ(応募者本人の創作による試作審査)を経て、ファイナル(最終選考会)へとノミネートされたのは12作品(「ジャパニーズカクテル部門」6作品および「インターナショナルカクテル部門」6作品)。日本各地から12人のバーテンダーたちが集い、グランドプリンスホテル新高輪のステージで独創性と技術を競い合う。

ステージの下に並ぶのは8人の審査員。日本の洋酒業界を代表するバーテンダーや識者たちだ。実技と試飲によって「ネーミング」「味」「見栄え」「独創性」「将来性」「技術」「プレゼンテーション」の7項目が審査される。試技が終わると各部門の優秀賞、最優秀賞を1作品ずつ選出し、最優秀賞2作品のうち1作品を「カクテルアワード2019」に選出した。

 

日本の繊細な美意識を表現した最優秀作品

 

プレゼンテーションが終わった後、隣接する会場で12人のファイナリストがカウンターで出品作をふるまう。過去の受賞者たちも自慢のカクテルを用意するのも恒例のお楽しみだ。

本年度の最優秀作品「カクテルアワード2019」に選ばれたのは、土屋明日香(ひじやあすか)さん(岡山県「Salon de Ric’s」勤務)の「春夢(しゅんむ)」。ジャパニーズクラフトウオツカ「HAKU」、サントリーリキュール「ジャポネ〈桜〉」、ジャパニーズクラフトリキュール「奏 Kanade〈白桃〉」、「わつなぎ 生姜」などをシェークして、グラスに注いだ後、レッド・チェリー、大根、レモンの皮、穂紫蘇、干しぶどうの枝、南天の葉を飾ったカクテルである。創作意図を、土屋さん自身が説明してくれた。

「満開の桜。やがて散りゆくその姿は儚く、美しい春の夜の夢。そんな幻想的な情景を表現しました。春という言葉には、新たなる始まりや門出という意味もあります。待ちわびた季節を迎える喜びや、花を愛でる和の心を表現したこのカクテルで、日本の方はもちろん、海外のお客様にも良い旅のお手伝いをさせていただけたらと思います」

また応募のきっかけや受賞の喜びについて、土屋さんは次のように語ってくれた。

「アワードにジャパニーズカクテル部門ができて、来年にはオリンピックも控えています。日本のお酒の文化を世界に広める力添えができたらいなという気持ちで応募しました。今日は緊張で手も震えてしまいましたが、『いつもどおりに舞台を楽しんでおいで』というお客さまの応援をバネに頑張りました。正直まだ実感が湧きませんが、この賞の名に恥じぬよう、これからも精進して頑張っていきますのであたたかく見守ってください」

審査員を務めた雑誌「Pen」の安藤貴之編集長も、土屋さんの受賞作品や審査の所感についてコメントした。

「受賞作はもっとも研ぎ澄まされたカクテルであり、もっとも味わい深いカクテルであるという印象です。カクテルなのでさまざまな素材がミックスされていますが、『カクテルすぎないカクテル』であり、そこがまた『カクテルらしいカクテル』であると感じました。ジャパニーズクラフトウオツカ『HAKU』の良さをうまく引き出せていたことも受賞の大きなポイントです。今回はジャパニーズカクテル部門とインターナショナルカクテル部門に分かれたエポックメイキングな大会でした。バーテンダーの皆様が『インターナショナルってなんだろう』『ジャパニーズってなんだろう』と真剣に考えて創造したことが伝わるコンペになりました」

土屋明日香さんには「海外カクテルの旅」と賞金50万円が授与され、これから1年間「サントリー カクテル アンバサダー」としての活動も待っている。

なお土屋明日香さんの作品はジャパニーズカクテル部門の最優秀賞も兼ね、インターナショナルカクテル部門の最優秀賞は田村龍(たむらりょう)さん(北海道「オーセントホテル小樽 メインバー キャプテンズバー」勤務)の「Swan’s Lake」が受賞。またジャパニーズカクテル部門の優秀賞は横山礼(よこやまれい)さん(東京都「東京ステーションホテル バー&カフェ カメリア」勤務)の「和美茶日(ワビサビ)」、インターナショナルカクテル部門の優秀賞は佐藤淳之(さとうあつし)さん(東京都「リトルスミス」勤務)の「ASTER(アスター)」がそれぞれ受賞した。

 


カクテルアワード2019
「春夢(しゅんむ)」

<レシピ>
●ジャパニーズクラフトウオツカ「HAKU」 20ml
●サントリーリキュール「ジャポネ〈桜〉」 10ml
●ジャパニーズクラフトリキュール「奏 Kanade〈白桃〉」 10ml
●「わつなぎ 生姜」 10ml
●フレッシュレモンジュース 10ml

1,シェークして、カクテルグラスに注ぐ。
2,レッド・チェリー、大根、レモンの皮、穂紫蘇、干しぶどうの枝、南天の葉を飾る。

「2019 サントリー ザ・カクテルアワード」の公式サイトはこちらから。

カクテル文化の育成と成長を支えるサントリーのオフィシャルウェブサイトはこちらから。

 

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