「ニッカ セッション」新発売【後半/全2回】
文:WMJ
ニッカウヰスキーにとって6年ぶりとなる新ブランド「ニッカ セッション」は、モルト原酒100%のピュアモルト(ブレンデッドモルト)ウイスキーである。ニッカの2本柱である余市と宮城峡の他に、ベン・ネヴィスをはじめとするスコットランドのモルト原酒もブレンドしている。
ブレンディングを手掛けたのは、主席ブレンダーの女川裕司氏。1999年にアサヒビール入社以来、ウイスキーの門外漢ともいえるキャリアを歩んできたプロフェッショナルだ。
「長くビール類や焼酎の開発に携わってきたので、ウイスキー開発について、『こうあるべき』『この組み合わせはダメ』といった先入観はありません。2年前からウイスキーのブレンダーとなり、ウイスキーの世界を深く知ることになりましたが、今でも芯の部分は大きく変わっていないと思います」
「余市」や「宮城峡」では表現しきれていないニッカウヰスキーの味わいがあるのではないか。女川氏は、そんな問題意識を抱いてきた。そんな新しいニッカらしさを引き出す鍵が、熟成を重ねたスコットランド産のモルト原酒だ。その代表が、スコットランドのハイランド地方のベン・ネヴィス蒸溜所。1825年に創業された老舗で、1989年からニッカウヰスキーが所有している。
「スコットランドと日本のモルト原酒を、先入観なく自由な発想でブレンドしてみよう。そうすれば本当に美味しいウイスキーがつくれるのではないか。そんな気持ちで試行錯誤を繰り返しました」
画期的なフレーバーをテイスティング
担当ブレンダーである女川裕司氏の手引きで、新しい『ニッカ セッション』のテイスティングが始まる。
色はナチュラルな小麦色だ。香りのトップノートは、オレンジなどの柑橘類や切りたてのりんごのようにみずみずしい。甘酸っぱい印象のほか、ドライフルーツのようにやや熟した甘さと、ドライでスパイシーな感触もある。
この最初の香りには、ベン・ネヴィスと宮城峡のモルト原酒の特徴が現れていると女川氏は説明する。
「数あるベン・ネヴィスの原酒から、比較的軽やかでフルーティーなタイプを選びました。それに対して日本の宮城峡からは、ふくよかで落ち着きがありながらも、やはり華やかで宮城峡らしいモルト原酒をあわせています」
だんだん香りが開いてくると、ねっとりしたオーク材由来の厚みも立ち上がる。バニラの甘みや、クレームブリュレやシナモンのようなしっとり感。ピートのスモーク香もほのかに漂っている。
「時間が経つと、カカオや焼きたてのパンのような温もりのある香りも立ち上がってきます。この香りが、熟成を重ねたスコットランド産モルトの特徴なのです」
口に含むと、すぐに甘い香りがふわっと広がる。口当たりはとてもやさしく、ミルクチョコレートやハチミツのようにクリーミーな甘味だ。香ばしいモルトの味わいや、樽由来の苦みも少し感じられる。
そしてフィニッシュでは、鼻の下方にチョコレートのような甘い余韻が残る。そして鼻の上方からは、ピートの香りがすっと抜けていく。余市蒸溜所の力強さが感じられる瞬間だ。
「飲みやすいだけではなく、ブレンデッドモルトらしい重層的でふくよかな味わいが調和しています。これまでさまざまなモルトウイスキーを楽しんできた方はもちろん、ブレンデッドモルトはちょっとハードルが高いと敬遠してきた方にも楽しんでいただける味わいに仕上がりました」
「セッション・ソーダ」などの自由なスタイルで楽しむ
女川氏がおすすめする「セッション・ソーダ」も味わってみよう。一口飲んだだけで、はじける炭酸とともにフルーティーな香りが湧き上がってきた。爽快な飲み口とブレンデッドモルトの重層的な味わいに、ピートのビターな余韻もしっかりと感じられる。もちろん水割りやオンザロックにしても、緻密なブレンディングをさまざまな角度から楽しめるだろう。
パッケージにも、あえてウイスキーらしからぬ青いボトルを採用した。新たな創造や潮流をイメージしたラベルデザインが、モダンアートのような躍動感を表現している。「SESSION」の「S」をわざと向かい合わせにしているのは、異なる個性のモルトが心地よくぶつかりあうイメージ。まさに音楽のセッションを想起させるパッケージだ。
「ニッカ セッション」は、9月29日より発売される。2014年の「ザ・ニッカ」ブランド以来、ニッカウヰスキーとしては6年ぶりの新ブランドだ。シーンを選ばない軽やかな味わいに、女川裕司氏は自信を持っている。
「オーセンティックなバーはもちろん、イタリアンレストランやバルなどにもマッチした味わいです。この新しいプレミアムウイスキーを、ぜひ自由なスタイルで楽しんでください」
自由を歌う、モルトのセッション。新しいプレミアムウイスキーを体現する「ニッカ セッション」のブランドサイトはこちらから。