174号 テイスティングコメント 【前半/全2回】

May 20, 2021

from Issue 174

テイスティング:フィービー・カルバー、クリストファー・コーツ


世界のウイスキー業界を代表する評論家が、最近発売された多彩なカテゴリーのボトルを試飲して、詳細なテイスティングノートを作成した。今回紹介する中にも、きっとあなたを魅了する銘酒があるだろう。

※参考価格は主に英国で販売された実勢価格を表示しており、日本国内では為替の変動や入手経路によって価格が大幅に変わる場合がございます。あらかじめご了承いただき、あくまで目安としてご覧ください。


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Whisky Magazine ではウイスキー専門家、作家、愛飲家によるテイスティングを毎号開催し、その情報を皆さんにお届けしています。

およそ700種類に及ぶ世界中から集められたウイスキーのテイスティングノートや情報はこちらからご覧いただけます。現在は多くのテイスティングコメントを皆様にお届けするために、バッチ(製造年)違いである同一商品のテイスティングも掲載しておりますので、現在発売されているウイスキーの評価とは限りません。予めご了承ください。


推奨ボトル

テイスターが判定したポイントの規定によってSilver Recommended(銀賞)もしくは Gold Editors Choice(金賞)が毎号決定します。

※テイスティングの対象ボトルには、日本国内では入手ができない銘柄も含まれますのであらかじめご了承ください。なおテイスティングノートの内容は、あくまでテイスティングをした評論家の個人的な感想です。

ベンロマック カスクストレングス ビンテージ 2009 バッチ42009    57.2%

  • 蒸溜所名: ベンロマック蒸溜所
  • 地域: スペイサイド
  • 価格帯: £26-70
  • 入手可能場所: コアレンジ

フィービー・カルバーSCORE8.5

香り
かすかに薬っぽい匂いが漂い、それが甘い焚き火の匂いへと変化する。引き裂かれたバニラポッドと、クレームブリュレの表面で焦げている砂糖のかたまり。熟れたイチジクやフレッシュなイチゴの香り。
うっとりするほど複雑な美味しさ。イチジクの風味は味覚にも残っている。黒っぽい果皮のベリーをコンポートにして、ふわふわのメレンゲにたっぷりとかけたような趣き。ちょっと塩っぱいバーベキューのポーク、パイナップルのスライス、かすかな酵母などの風味を感じさせ、練り始めたパンの素を思い起こさせる。
フィニッシュ
イチジクとバニラポッドのクリーミーな後味。余韻には、かすかなスパイスも伴っている。
コメント
複雑でフルーティーな味わいのウイスキー。デートに連れ出して、じっくりと知り合いたい。

クリストファー・コーツSCORE8.7

香り
ベリー系フルーツのジャム、酸っぱいプラム、ブラックチェリー。少しファンキーなスパイスの香り。黒パンとかすかな酵母の匂い。ナチュラルヨーグルト、エンジンオイル、乾燥したマンゴー。かすかな柑橘の香りもあり、キーライムパイやピンクグレープフルーツの印象も感じさせる。熟れたバナナのような感触もある。
複雑な風味が、見事なまでに統合されている。パイ生地のペストリー(ちょっと焦げた味もあり)と柑橘系のフルーツ風味が香りから受け渡され、その背後にはポメロや清涼なスペアミントの味もある。ヨーグルトのような印象。乾燥したトロピカルフルーツや穏やかなアニスの風味をたっぷりと感じる。
フィニッシュ
余韻は長くて複雑。ドライフルーツにしたトロピカルフルーツのような後味が増してくる。
コメント
本物の熟成感を表現するのに、ちょうどいい力強さを保っている。それでもたっぷりフルーティーな香りを感じさせるスピリッツの酒質もはっきりと感じられる。



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