カティサークをもっと楽しく
文:WMJ
歴史ロマンを感じさせる帆船の図案。鮮やかな黄色いラベルでおなじみのカティサークは、今年でちょうど創設100年を迎える定番のブレンデッドスコッチウイスキーだ。
その味わいは、どこまでもスムーズで軽やか。スペイサイドのモルト原酒を複数ブレンドし、アメリカンオーク樽のバニラ香で包み込む。さらにはファーストフィルのシェリー樽原酒が、ほのかにドライフルーツのような香りも加えている。過度な冷却濾過をしていない。
この爽やかな酒質は、さまざまなカクテルのベースとしても愛されてきた。万能でミキサブルなウイスキーとして、今も全世界で年間500万リットルを販売している。
古い慣習に囚われない、遊び心のあるウイスキー。どことなく漂う自由なイメージには、歴史の裏付けもある。カティサークが誕生した1923年といえば、アメリカは禁酒法時代の真っ只中。スピークイージーと呼ばれるもぐり酒場では、従来の重厚なスコッチよりも軽快でミキサブルなカティサークの個性が重宝された。禁酒法が撤廃されると、カクテル人気に乗ってさらに躍進。スコッチウイスキーブランドとして初めてアメリカで年間100万ケースを達成した。
そんなカティサークにとって、日本はスペインに次ぐ世界第2位の消費国。ラ・マルティニケーズ社でカティサークのアジアエキスポートディレクターを務めるユベル・ド・ラ・シャベル氏は、ウイスキーの香味をシンプルに楽しむ日本のハイボール文化をリスペクトしている。だが消費第1位のスペインでは主にジンジャーエール割りが好まれるなど、カティサークの楽しみ方にはまだ探求の余地があるはずだ。
爽やかな香味を自宅で楽しむヒント
いつもの飲み方に一手間を加え、この軽やかな風味をもっと自由に楽しみたい。自宅で気取らずにカティサークを味わいたい人のために、バーテンダーの森本隆介氏がいくつかの妙案を紹介してくれた。
カクテルでアレンジする前に、まずはカティサークをストレートを味わってみる。やはりすっきりと飲みやすく、滑らかな舌触りとフルーツ香も印象的だ。次に森本氏は基本の「カティサークハイボール」を作ってくれた。比率はカティサーク1:炭酸3で、濃いめなのに爽やかで飲みやすい。口当たりの良さと華やぎを高めるため、グラスに入れる順番はウイスキー、ソーダ、氷にするのが森本流だ。
このハイボールに、オレンジ果汁を入れると「カティサークオレンジハイボール」になる。比率はカティサーク1:フレッシュオレンジ果汁2:炭酸1。一口飲んでみると、ウイスキーの樽香とオレンジの香味が上品に溶け合い、香味も喉越しもひたすらに爽やかだ。森本氏がレシピの意図を説明する。
「とことん飲みやすいカティサークですが、フレーバーにオレンジの要素を感じました。その特性をシンプルに高めるため、オレンジ果汁を加えるレシピです。自宅でできる簡単さが大事なので、比率はご自分のお好みを探してみてください」
次に森本氏が用意したのは、一見してストレートのウイスキー。だがちょっと飲んでみると、高級なモルトウイスキーのように華やかなフルーツ香を感じる。これが「ドライオレンジ漬け込みカティサーク」だ。
「オレンジハイボールでは物足りないウイスキー好きの方におすすめ。カティサーク1本にドライオレンジ4枚を漬けて30分置きます。ドライオレンジは砂糖を洗い流し、水気を切ってから投入するとカティサーク本来の風味がより引き立ちますよ」
オレンジピールのかすかな苦味が、ウイスキーの香味を引き立てている。ストレートのままで上品な食後酒になるし、ソーダで割ったハイボールも飽きが来ないだろう。
森本氏が最後に作ってくれたのは、「カティサーク紅茶割」だ。温かい紅茶にカティサークを入れるだけ。今回の紅茶はアールグレイだが、ダージリンやセイロンでも相性の良さは検証済み。基本のレシピはカティサーク1:紅茶3となっているが、ウイスキーはほんの少しだけでも十分だと森本氏は言う。
「洗い物が終わって、就寝前のひとときに映画でも見ながら飲んでみてください。気分がくつろいで、体がじんわりと温まります」
ラベルに描かれているカティサーク号は、もともと中国から英国に茶葉を運んでいた快速帆船だ。気取らないホットカクテルは、熟睡に向けた滑らかな航海も約束してくれるだろう。
「カティサークは、とことんきれいな味わいのウイスキー。今回はご自宅で気軽に実践できる楽しみ方を考えました。みなさんのライフスタイルにあわせて、自由にアレンジをお楽しみください」
創設100周年を迎えた「カティサーク」をはじめ、日本と世界の銘酒が勢ぞろい。アサヒビールが取り扱うウイスキーとブランデーの商品情報はこちらから。