SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」ってどんな味?【後半/全2回】

April 12, 2019

匠の技でブレンドされた新しいプレミアムブレンデッドウイスキー。福與伸二チーフブレンダーと一緒に、SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」のユニークな味わいを分析してみよう。

文:WMJ

 

世界で初めて5大ウイスキーの原酒をブレンドし、未体験の美味しさを追求した新商品。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」の味わいは、一言で語り尽くせないほど複雑だ。そこで5大ウイスキーそれぞれの個性を感じるために、サントリー5代目チーフブレンダーの福與伸二氏が特別な比較テイスティングを手引きしてくれるという。テーブルには、「碧Ao」のグラスを囲むようにして5種類のウイスキーが用意されている。

「比較用にご用意した5種類のウイスキーは、各国ウイスキーの原酒ではありません。実は5種類の構成原酒から、それぞれ1種類だけを除いた『除きブレンド』を5種類ご用意しました。それぞれを『碧Ao』と比較することで、不在の原酒が「碧Ao」でどんな役割を果たしているのか探ってみましょう」

このような「引き算」のテイスティングは、プロのブレンダーがブレンド内での原酒の振る舞いを検証するためにおこなう方法なのだという。

 

ブレンドに不可欠な各国ウイスキーの役割

 

最初に味わったのは、「スコッチウイスキー除きブレンド」だ。「碧Ao」に比べて甘い香りが目立ち、相対的に複雑さがやや後退している。味わいは甘くまろやかだが、やや平板な印象もある。余韻は早くて短い。スモーキーな香りやスパイシーな要素がなく、どこか物足りない感じだ。

「碧Ao」に使用しているスコッチウイスキーは2種類。スモーキーなアードモア蒸溜所と、ハチミツやヘザーにほのかなスパイスも感じさせるグレンギリー蒸溜所である。比較テイスティングによって、ブレンドにおけるスコッチウイスキーの役割はスモーキー、スパイシー、厚みのある味わいを付与することであるとわかった。

2つ目の比較対象は「アイリッシュウイスキー除きブレンド」。「碧Ao」に比べてトップノートがシンプルで、やや香り立ちが弱い。味わいはスパイシーだがシンプルになり、コクやボディが弱まって複雑さが後退した印象だ。フィニッシュは似ているが、ややシャープな後味がある。

「碧Ao」に使用しているアイリッシュウイスキーは、クーリー蒸溜所のノンピート原酒。大麦モルトを2回蒸溜するスコッチ流の製法を採用したアイルランドの革命児だ。このクーリーの原酒を除いたブレンドは、香りも味わいも複雑さに欠けている。ブレンドにおけるアイリッシュウイスキーの役割は、味わいの複雑さであるといえるだろう。

5大ウイスキーの魅力が同居する世界で初めてのブレンド。ハイボールの作り方によって、それぞれの原酒の表現が多彩に変化するのも魅力だ。

3つ目の比較対象は「アメリカンウイスキー除きブレンド」。「碧Ao」に比べて柔らかな香りだが、やや華やかさに欠ける。またバニラ様の甘味が減って、甘さ自体が変質した。ウッディな感触も少なく、ややシンプルな印象。余韻の苦味がわずかに弱い。

「碧Ao」に使用しているアメリカンウイスキーは、ジムビームの原酒である。ブレンドにおけるアメリカンウイスキーの役割は、トップノートの華やかな香りの広がりと、バニラ様の甘い香味なのだ。

4つ目の比較対象は「カナディアンウイスキー除きブレンド」である。「碧Ao」に比べて香りのトップノートがやや硬く、香りの立ち方がやや遅い。味わいは濃厚でヘビー。余韻はドライな印象である。

「碧Ao」に使用しているカナディアンウイスキーは、アルバータ蒸溜所の原酒。氷河が溶けた清涼な水と、地産の高品質なライ麦にこだわったスムースな味わいが特長だ。ブレンドにおけるカナディアンウイスキーの役割は、ブレンデッドウイスキーにおけるグレーン原酒の役割にも似ている。連続式蒸溜がもたらす飲みやすさや、柔らかな香りと味わいを加えているのである。

最後の比較対象は「ジャパニーズウイスキー除きブレンド」。「碧Ao」に比べて香りがスパイシーだが、全体的にシンプルで一体感に乏しい。味わいは酸味を伴った甘味が減少し、ウッディな印象も少ない。スパイシーで軽やかな余韻があり、スモーク香がやや強調された後味だ。

「碧Ao」に使用しているジャパニーズウイスキーは、山崎蒸溜所のシェリー樽熟成原酒と、白州蒸溜所のスモーキー原酒。ブレンドにおけるジャパニーズウイスキーは、複雑で柔らかな味わいによって全体のブレンドをまとめていることがわかった。

 

今年は春と秋の2回に分けて発売を予定

 

繊細なテイスティングによって、「碧Ao」における5大ウイスキーの役割が明らかになった。スコッチウイスキーの特徴は、スモーキーでスパイシーな厚み。アイリッシュウイスキーが複雑さを増幅して、アメリカンウイスキーが華やかな香りとバニラの味わいを加える。さらにカナディアンウイスキーが味わいをやわらげ、ジャパニーズウイスキーが全体をまとめる。このような風味の重なりは、水やソーダなどで割るとさらに多彩な表情を見せてくれるという。

世界初の分野を切り開いた新商品は、中身だけでなくパッケージもユニークだ。ブランドカラーは、世界をつなぐ雄大で美しい海の「碧(あお)」。珍しい五角形のボトルを採用し、書家の荻野丹雪氏による「Ao」の筆文字で世界の原酒と日本の匠の技の融合を表現している。

約1世紀にわたるウイスキーづくりの歴史の中で、幾度となく革新を繰り返してきたサントリー。ウイスキー事業部長の鳥井憲護氏が、この新商品への思いを語る。

「ひとつのウイスキーのなかに多様性が宿った新時代のブレンデッドウイスキーです。今年は春と秋の2回で年間3万ケースを提供できるように準備中。まったく新しいコンセプトなので、まずはバーテンダーや専門店の皆様のご協力をいただきながら日本市場での普及を目指します」

異なる風土、歴史、文化を持つ各国の蒸溜所で育まれた多彩な個性。これはウイスキーの地平を広げる新たな1ページだ。

 

SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」

 
発売日:2019年4月16日(火)

容量:700ml

希望小売価格:5,000円

アルコール度数:43%

※2019年は、第1期(4月16日~夏)、第2期(秋~冬)の2期に分けての出荷を予定。

※価格は販売店の自主的な価格設定を拘束するものではありません。

 

5大ウイスキーをブレンドした世界で初めての味わい。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」のホームページはこちらから。

 

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